ケイトさんがアルコール専門病院に入院して3週間。

 

差し入れでケイトさんからのリクエスト品を鞄に入れて面会に向かいます。

久しぶりに会ったケイトさんは表情が穏やかで、安心して側にいられました照れ

午後はコートさんの施設で開催される依存症セミナーに参加予定だったため、ケイトさんに差し入れとお小遣いを渡してすぐに帰ろうとすると「駅まで送るよ」とドキドキ

 

駅までの道すがらケイトさんは色々話してくれました。(飲んでたときは文句しか言わなかったので笑い泣き、こんなにおしゃべるする人なんだと今頃知りました)

 

入院して初めて強い飲酒欲求があり、コンビニまで行ってしまったそうです。

何を飲もうか迷っていた時「何にするか決められないんだから、一旦外に出よう」と。その後近くの公園を散歩して無事に帰院。

 

でもやっぱり飲みたい気持ちが収まらず、もしかして糖分をとったら緩和するんじゃないかと「初めて自分のためにチョコを買ったよ笑」って。

お湯に溶いて少しずつ飲んだら落ち着いてきたので「甘いものって(飲酒欲求を抑える)効果あるのかも」。

 

そして、そのことを看護師に言うと直ぐに「そういう欲求を抑える薬がありますから!」と持ってきてくれたそう。人によって何分で効いてくるかわからないので報告してくださいと言われたようでした。

そして

ちゃんと正直に言ってくれてよかったですよ。そういう衝動があることを話さないで呑んでしまう人が多いから

と誉められたみたいで、嬉しそうな表情で話してくれました照れ。(大の大人でも褒められると嬉しいらしい笑)

 

仲良くしてる入院仲間たちにも話したら「そういう時は、まず食べろ」と、みんな手持ちのお菓子を次々持って来てくれたそうです爆  笑

 

更には「断酒会も大体同じメンバーだから、違うミーティングにも行ってみようかな」と言ったんです!

 

散歩するにもお酒の誘惑がない道を意識的に選んで歩いているのがとても伝わってきたりして、もうね、これらのケイトさんの変化、凄いなと思いましたし、これらは私にとって本当に嬉しい変化でした!ドキドキ

やっぱり同じ苦しみを持つ人とつながることは励みになるんだなぁと、生気が戻ったケイトさんの表情を見てしみじみと思いました。

 

そしてもう一つ。

ケイトさんは病院のプログラムでこれまでの人生の振り返りをノートに書き出していました。自分の名前しか書かない人が人生を振り返ってノートに書くとは正直驚きました。(多分、初めての経験でしょう。書きすぎて手が痛いと言っていたので笑い泣き )

文字で表現することは様々なことを気づかせてくれるものです。ケイトさんもこの作業で周囲の人々が敵ではなく、自分が味方の中で生きていることに気づいてくれたらいいな・・・

 

あ〜、ケイトさん闘っているんだなと感じました。そして、闘い続けるにはやっぱり仲間と環境も大事なんだなと。

 

一方で依存症について新たに気づいたこともありました。

ろくに働いてもいないのになぜかボーナスが支給されると思っていたケイトさんアセアセ

私が「ボーナス、出るのかな? 期待できないんじゃないかな?」と言うと、今度は「履歴書持ってきて」。

お酒の誘惑だらけの飲食業界で飲まずに働く自信があるのかな? 今の会社は辞めるつもりなのかな?

依存症のこと、お金のこと、公的支援のこと、ちゃんと学んだら安易にバイトしようなんて考えには至らないと思うけど・・

多分、そこまでは思い寄らないんだろうなぁ・・。

そもそも、そういうことを他人に相談して知恵を借りるという発想がないのかもしれない

ケイトさんは幼少期から親族や知り合いの家に転々と預けられて育ってきた人なので、何でも自分一人で決めて生きてきたから、誰かに相談したり意見を求めるという経験もないのかもしれない。

だから自分一人で抱えて、抱えきれなくなって、お酒で紛らわせるしかなかったのかも・・・

 

ケイトさんと駅まで歩いたのは短い時間でしたが、依存症の気づきを多く得られた貴重な時間でした。

 

 

 

 

 

コートさんのメールに読んで「無心されても補填しない」・・これが境界線なのだなと思いました。

CRAFTは理解できたと思っていても、やはり実践は簡単ではないこと思い知りました。

「足りない」と言われるとつい何とかしなきゃと算段してしまう・・これが罠でした。

結局ケイトさんは不労所得を得て好きなものを買い、パチンコをし、食べたいものを食べ、資金が尽きればまた無心してお金を手にいれる。

これでは負のサイクルが止まるわけがありません。

 

思えば同居を始めた頃からそうでした。

「俺は貯金なんてできない。財布に入ってたら入ってる分使っちゃうから、ぶらうすが管理して。俺は必要な時に必要な分貰えればいいから。」

 

当時、こう言われて私は「頼りにされてるんだ」と勘違いしていました。

「必要な時に必要な分もらえればいい」なんて、こんな便利なお財布はありません。

(しかもケイトさんの言う「必要な分」とはお酒とタバコとパチンコゲロー

私がケイトさんから言われたとおりにお金を渡してしまうから、ケイトさんはいつまでもお酒とパチンコに行けてしまうし、向き合うきっかけもやって来ません。

それはつまりケイトさんの回復の機会を奪うことと同じ。

イネイブリングです。

 

最初からこんな調子でスタートした暮らしだったので、こうなることは必然だったんだなと今は分かります。

そして、このお金の面でも私は存分に共依存を発揮していました…

共依存の特徴とも言える「必要とされる必要」・・・まさに私はケイトさんと出会ってからこれを満たしていたのです。

 

 

改めて境界線について考えていたとき、ケイトさんから電話が。

「今度の土曜に来るときにさぁ、・・・」と欲しい物リストを告げられた瞬間、

「ごめんね、今度の土曜はコートさんのセミナーに行くから…」と断ってしまいました。

正直、あれこれ無くて不自由でも少しは耐えてよという、ちょっと意地悪な思いも有りました。

 

珍しくケイトさんから電話がありました。

 

「この間、ぶらうすに貰ったお金使っちゃいました」

「パチンコの誘惑に負けました~」

「今度からSuicaに入金してから持ってきてください」

俺、ギャンブル依存症かな~」(軽々しく言うな!!グー

 

・・・はぁ!?びっくり  何それ!!ゲロー

Suicaに入金したってどうせくだだらないものに使うでしょうがぁ(怒)ムキームキー

しばらく来れないかもしれないから大事に使ってねって言ったのに・・

 

お金の管理に関しては本当に小学生以下です。呆れて物も言えません。

お金は大事。本当に大事。ケイトさんにもわかってもらいたいと思うのは私のエゴなの?

この調子で毎回せびられても困るので、どう対処すべきかコートさんに相談することにしました。

 

*コートさんへのメール

 

 

先週の土曜に夫と面会した際、断酒しようと意識している様子が見られ、良かったなぁと思っていたのですが…

 

先程、夫から電話があり、

「(土曜日に)貰ったお金、使っちゃいました!」と。パチンコの誘惑に負けたそうです。

「今度はギャンブル依存症かも」と笑って言うので、返す言葉もなく、私も黙ってしまいました。しかも

「今度来る時には(断酒会に通うための交通費を)スイカにチャージして来て♪  あと、煙草を10個くらい買ってきて。お菓子は我慢するから♪」と。

挙げ句の果てには

お小遣い欲しいから稼ごうと思うんだよね。建設現場の日雇いとか、ダメかな?」

もう、開いた口が塞がりません…

CRAFTのこともすっかり忘れ、ただただ呆然としてしまいました。

 

そこで、コートさんにご相談したいのが、お金についてです。

夫は断酒会への参加が始まり、実際のところ交通費もかかるし、コインランドリーなど細々とした費用が必要なのは事実ですが、ご存知のとおり自分の欲求を抑えられません

「私もバイトが始まると次はいつ来られるかわからないから、大事に使ってね」と念を押して渡したお金も翌日に消えてしまうくらいです。

現金で渡さずスイカに入金して渡したにしても、あっという間に使ってしまうのは目に見えています。一体、どのように対処したら良いのでしょうか?

ほとほと困っています…   蒼いぶらうす

 

*コートさんからの返信*

 

なんと,,

仰るとおり、開いた口が塞がらない、ですね..

 

まだ、ご主人の中で甘えが見える状況ですね。

結論として、【 必要な経費(交通費、コインランドリー等)以外は渡さない 】対応がベストです。

ご主人の依存行動を助長してしまうおそれがあるため、

 

|「(土曜日に)貰ったお金、使っちゃいました!」と。

|パチンコの誘惑に負けたそうです。

|「今度はギャンブル依存症かも」と笑って言うので、返す言葉もなく、私も黙ってしまいました。

上記によって消えてしまった分のお金については、補填しないほうがよいです。

結果、断酒会に通うお金がなくなって断酒会に行けなくても、「自分の責任である」「自分の責任は自分で取る」ということを徹底して理解させたほうが良いです。

※ただ、これをするとご主人が威圧的な態度をとったり、等が考えられる場合はしんどいのですが..

 

 |現金で渡さずスイカに入金して渡したにしても、あっという間に使ってしまうのは目に見えています。

これについても、すぐにご主人が使ってしまうのであればそれはご主人のせいであるので、ぶらうすさんが責任をとったり、サポートをする必要はありません

ここも、例によって境界線を超えない、というところですね。

ちょっと、よくわからない、でしたら電話でお話しましょう!宜しくお願い致します。   コート

 

 

カンファレンスの翌週、ケイトさんの入院先で開催されたアルコール依存症の勉強会に参加しました。

この日の講師はケイトさんが外来受診していたときの担当医ということもあり、参加してみようという気になりました。

最初にDVDを見たのですが、これが驚くくらいにまるでケイトさんのことを映し出してるんじゃないかと思うほど、アルコール依存症の病態が盛りだくさんでびっくり

(ケイトさんって立派なアルコール依存症患者だったんだポーンと衝撃でした)

 

と同時にケイトさんの心の中の葛藤や悩みを知った思いでした。

こんな風にして依存が強くなっていったんだろうな・・。ケイトさん、自分でもどうしていいか分からなかったんだろうなって。

そんなことがよく分かる作品でした。

その後、医師から依存症当事者の体と脳に起こる変化や、進行とともに現れる症状について詳しい説明があり、ケイトさんの体に何が起こっているのかが理解できました

内臓の疾患だけではなくアルコール性認知症も発症してしまうかもしれないことを知り、依存症がどれだけ難しい病気なのかがとてもよく理解できました。

 

 

勉強会後にはケイトさんが駅まで送ってくれました。

少し散歩しようと言われ、駅近辺を二人で散策ドキドキ

ケイトさんが外出届を出したら「奥さんと一緒なら安心ですね!笑って看護師に言われた。うるせぇよって思ったグラサン」と笑っていて。

 

散策しながら「この辺は飲み屋の誘惑があるからやめとこうキョロキョロ(←あなたの口からそんな言葉が出てくるなんて、信じられない!!目)」なんて普通に言ったりしていて、すごくびっくりしました。

 

またケイトさんは、断酒会のこと、院内でのこと、色々話してくれました。

喫煙所で煙草を一本くれと言われて一本あげたら、先輩患者にあげちゃダメと言われたとかで。

経済的な問題で小遣いに不自由してる人も多いから、貸し借りやあげたりするのはトラブルの元になるので良くないと。

断酒会への参加も職員の付き添いはなく、先輩患者が新入りさんを先導するとか。

「だからもう少ししたら今度は俺が指導するんだ」ってニコニコ

 

そうやって人間関係の構築の仕方を改めて学んでいく機会を増やしていくのだろうな。

入院は学びと気づきの機会なんだな。

 

ケイトさんは今、初めて本気で断酒しようと思っている・・・

この1週間でケイトさんの心の変化を感じ、お酒をやめる覚悟があるならまだ夫婦として頑張れるかも・・と思ったお散歩タイムでした。

ケイトさんがアルコール病棟に入院して2週間が過ぎ、1回目のカンファレンスがありました。

参加者は、ケイトさん・私・担当医・担当看護師・担当ソーシャルワーカーの5人です。

 

最初に看護師からケイトさんへ「入院してから自分の変化についてどう感じているか」という質問がありました。

ケイトさんは「プログラムで見るDVDは全部自分に当てはまります」「身体的には腕と脚のだるさがすっかりなくなりました」と。

次に2月から第2段階のプログラムに入る説明がありました。そして「第2プログラムに入って2週間後から自宅への外泊ができるがどうしますか」と。

先に私の意見を求められたので、私は「今は未だ難しいと感じます」と答えました。ケイトさんは私の気持ちを察したのか「僕もまだいいです」と。

すると看護師から以下の説明がありました。

外泊は自宅で生活する環境の中で、飲酒欲求をコントロールできるかどうかの練習でもあるので、一度も外泊しないまま退院するというわけにはいかないこと

・2回目のカンファレンス時に外泊の日程を決めること

 

実は、この日ケイトさんと会ってすぐに乱暴な受け答えをされて、私はとても嫌な気持ちになっていました。

”怖い”まではいかないけれど、長時間一緒にいるのは嫌だなと感じてしまっていたのです。だから外泊の話になったときにケイトさんを迎え入れる気持ちにはなれなかったのです

 

乱暴な言葉と言っても大したことではなくて。

最初は「(水筒の蓋を)閉めろよ!」にびっくりして。

次にカンファレンスのために病棟に入ったときに用紙に記入してネームを受け取ると言うシステムを知らなかったので、何もせずに待合室に立っていたら

「バッジは? 早く貰えよ!」と言われたのですが、私はケイトさんが何を言っているのか意味が分からなくて

「バッジって何?」と聞き返したら

「貰えってば!」と。

何だかお酒を飲んでいるときと変わらないなと思って悲しい気持ちになりました。そしてやっぱり強い口調は怖いと感じていたのです。

 

カンファレンスの中で、担当医から飲酒時のトラブルについてどうだったかと退院後の復職についての質問がありました。

飲むと感情がコントロールできないこと、喧嘩や物を壊したり自分を傷つけたりすることをケイトさんが振り返ると、担当医は

酒乱ですね。病的酩酊といいます。病的酩酊は人の信頼をなくすので、孤立しやすく、身体が壊れることとは違う大変さがあります。節酒ではなく断酒を目指して頑張るのが良いと思います。

 

職場復帰については、ケイトさんは「退院後すぐに復帰したい」と言っていました。今の職場がだめでも腕があれば仕事には就けるので、と。

 

私は、そういう考え方、変らないんだ、まだそんな風に思ってるんだ・・と感じました。料理にはお酒を使わないわけにはいかないのに、それでもまだ料理人ができると思ってるの?と・・・。

できれば料理人ではない他の仕事に向かってくれたらと思うけど、料理人を続けるか辞めるかはケイトさんが選択することです。

そういう境界線は認知できるようになっていました。

 

入院時の検査結果も聞きました。

糖が高い、肝機能が良くない、脳の萎縮がある・・。やっぱり、という思い。もっと早くに依存症だと受け入れていたなら、もっと早く医療に繋がっていたなら、と悔やまれました。

 

病院からの帰り道、LINEのやりとりでは優しさを感じるのに、会うと乱暴な言葉に聞こえるのは何故なんだろう?と考えていました。

多分ね、ケイトさんは私を怖がらせようなんてこれっぽっちも思っていないのです。無意識のうちに素の自分が出ている、若しくは私に甘えているだけなんだと思うのです。

それを裏付けるかのようにケイトさんはカンファレンスでもこう言っていました。

「俺、元々が短気なんで」

そして、私はそれを聞いただけで「怖い」と思ってしまっていました。

 

ただ、この日、ケイトさんにコートさんが運営する福祉施設に就職が決まったことを報告すると

「ふぅん、いいんじゃない」というだけの返答に傷付かずにいた自分に驚いていました。

以前の私ならきっと「そう! 良かったね!」と一緒に喜んでくれるはず・・という過度な期待をして、思うような反応のなさに憤りを感じていたと思います。でもこのときはなぜかそういう感情が全くなくて。

「私は私のやりたいように生きる」という意識が芽生えてきていました。