在宅医療の仕事を始めて4ヶ月が経ちました。
酷暑の今夏、毎回10軒以上のお宅を訪問するのは結構なハードワーク💦
「暑いなかご苦労様です」と言って頂くお言葉が一層沁みる今日この頃です。
在宅でのお看取りで気づいたことがひとつ✨
それは、お看取り間近の患者さんが亡くなるギリギリまで意識を保ったまま、スーッとお亡くなりになること✨
病院でずっと点滴に繋がれて、長い時間意識不明の状態が続いた挙げ句に息を引き取るのとはかけ離れた“最期”なのです。
しかし。
自宅で家族や親しい人たちと最後の最後までお話が出来るという、最大の利点を活かすか活かさないかは自分次第なのも、いろんな患者さんとお会いするなかで感じています。
死を受け入れて、『愛と感謝』の気持ちで最期を迎えようとしているか、あるいは「どうせ意識がなくなるんだからどうなってもいい」と自暴自棄のまま最期を迎えているか。
その違いは歴然としていることを、側から見て感じています。
先日のこと。
ある患者さん(Tさん)の自宅に伺いました。
初めてお会いした時から、メッタ切りにされるような単刀直入な物言いをされる患者さんで、Tさんの率直さに応えようとすればするほどドツボにハマるという、毎回ヒヤヒヤな訪問診療でもありました。
癌の治療を途中で放棄されて自宅に戻られ、それから訪問診療を受けられるようになったのですが、癌の骨への転移のため手足が思うように動かせなくなったのをリハビリが足りないのだと信じてやまないTさんに、「どうして私は歩けないのですか!いつから歩く練習を始められるのですか!!」と毎度声高に迫られ、ご家族から「先生、いいです、いいです。」と助け舟を出して頂き、Tさんにはっきりと事実を伝えられない状態だったという経緯があります。
ちなみに。
私以外の先生が訪問診療される時には、Tさんは辛辣な物言いで先生に迫られることはないそうで(←ご家族談)、どうやら私を見込んで下さって、私の口から“事実”を聞きたいと思っていらっしゃったご様子…😅
そして先日の訪問で、「どうして私は歩けないのですか!足が良くなる根本的な治療をなぜしないのですか!!」とまたまた尋ねて来られ、傍で一部始終を見ていらっしゃったご家族が、「先生、今日は本人に本当のことを言って下さい🙏」と言われました。
どんな言い方をすればTさんが希望を失わずに、残りの命を燃やし続けることが出来るのか、そんなことを考える間もないまま、「癌が足の骨に転移している可能性が高いので歩けないんですよ。」とお話ししました。
するとTさんは、「じゃあ先生、私はこのまま寝たきりの状態で死ぬってことですね!そうなのですね!!」と声高に迫られ、その声の調子からTさんはすでに事実を知っていて、私からちゃんと確認したかっただけなんだと感じました。
そして…。
しばらくいろんなお話をして、在宅医療で出来ることでTさんを最後まで応援し続けること、生きる希望を失わないでほしいことを伝えて診療を終えようとすると、か細い右手をまっすぐ私に差し出して、「先生、よろしくお願いします」と力いっぱい握手を交わしました🤝
その手にはTさんのありったけの願いが込められていて、最後まで自分らしく生きる決意をガッシリと受け取りました。
私はTさんに限らず、この仕事を通して出会う患者さんやご家族の応援団でいたいなと常日頃から思っています。
それは最後の瞬間まで自分らしい人生を全うして欲しいから。
それが最も叶いやすい形が、訪問診療という仕事なんだと実感しています。
仕事の途中で見かけた風景
🌻🌻🌻🌻🌻 開催告知 🌻🌻🌻🌻🌻
9/8(日)garden & space くるくる@鎌倉 『うれしたのし未来へ』
9/15(日) 茅ヶ崎市民文化会館 『命と健康を守るお話会』