2014年7月19日。実に6年ぶりに、ここへやってきた。
ここは長野県道256号御岳王滝黒沢線、六段橋西詰。ノートさんが停まっているのが旧道だ。その向こうにはフェンスによる封鎖が見える。
実はわたくし、学生時代には毎年御嶽での夏山バイトをしていた。7月後半~8月後半、もっとも遅い時には9月初旬の閉山祭まで、ひと月ほどを標高2936m(やったっけ?)の王滝口頂上で過ごしていたんである。いや、あれほど楽しいバイトはなかったなあ…(遠い目)。
そういうわけで毎夏、木曽福島駅からおんたけ交通バスに揺られながら、この県道を田の原まで登って行ってたのだ。当時は道路趣味はほぼ皆無で、明らかに鉄分が高かったので、車窓からたまに見える木曽林鉄の軌道跡とかのほうに熱視線を注いでいたものだ。
しかしながらそれとは関係なく、バスの車窓でひときわ印象的だったのがここ、王滝村と(当時の)三岳村を分かつ王滝川の深い峡谷をまたぐ、六段橋の前後だ。
最後にこの辺りへ来た2008年8月に、印象深かったこの区間が旧道落ち…いやそれ以上の状態になっているのを目の当たりにした。が…このタイミングは自分がこの趣味に目覚めるまさに直前、特段どうこうすることもなく当地を後にした。
…あれから6年。ずーっと心に引っかかっていたその情景を記録するために、ほぼそのためだけに、ついに今回王滝へ帰ってきたのだ。
念のために書いときますが…ネタバレは今しばらくご容赦を(笑)。
そんな旧道落ちした区間には、現道にはない隧道が存在していた。まず今回は、そちらをご紹介しよう。これがまた、現役時代から印象が強かった…。
フェンスで封鎖されているということは、もはや現役ではないということ。旧道落ち以上とさっき書いた意味の一部は、そういうこと。だがもっと大きな意味は…後に。
ここで左を向いてみると、見えるもの。
現在の六段橋。親柱の銘板には平成14年11月竣工とあった。
峡谷の深さが想像できるでしょ?
さて、ここらでもうすでに見えている。
ちょうどおでこが隠れてしまってるが、のぞき込むと…
その下に設置された看板も真新しい…が、問題はその内容。
「トンネル内 急カーブ スピード落とせ」
さよう。
こりゃキツい。ここを大型の観光バスが行きかってたのだ。
コレを見れば、この区間が付け替えられた要因はこの隧道であったことが理解できる。
道路保全系の資材置き場として利用されていたようだが、
荒れた雰囲気は隠しようもない、割と長い間、資材にも手がつけられていない感じがした。
ごく短いこの隧道、鋭く右カーブしたその先には、
ロックシェッドが追加されているようだ。そう言えば確かにそんなんやった。
こんな短い隧道、さくさく行っとけや!との声が聞こえそうだが、
まあそう言わず。せっかくはるばる逢いに来たんやから、ゆっくりしましょうよ。
【後篇】に続く。