子ども・子育て新システムの基本制度案要綱を読んで 総論の3

これまで、各論について⑫までコメントしてきましたが、総論部分です。(引き続き、独断と偏見で書いています)
忙しさにかまけて、続きを書いていなかったら、政府に動きが出ました。


朝日新聞の報道によると、内閣府が24日、「子ども園」構想を示しました。『子・子新システム基本制度案』を具体化させるもので、子ども・子育て新システム検討会議の作業部会が提示した内容のようです。これによると、大幅な変更はないものの、子ども園では3歳以上の子どもの受け入れを義務づけるとなっています。


待機児童が問題になっている現状を踏まえ、希望する子どもを全員子ども園に入れることを提示しているようですが、これが本当に可能でしょうか。概念だけがあって、実際、市町村がどこまで園を指導できるのか、はなはだ疑問です。


園と利用者の契約行為で入園が決まることは、各論で見てきました。そうすると、定員を超える希望者が殺到した場合、どうするのかが全く見えていません。


一般的に考えると、園(事業者)は、経営の安定のために希望申し込みの早い利用者から入園契約を結び、定員いっぱいとなったら募集をストップすることになります(現状の無認可保育園もそうなっています)。その後に、子ども園に預ける必要度の高い利用者があらわれた場合、それまでの利用契約は契約行為なので取り消しはできません。そうすると、現物給付(入園)を保障する市町村はどうやって責務を果たすのでしょうか。


あらかじめ、想定した枠をとっておくよう園を指導するのでしょうか。もし、想定した枠が埋まらなかったら、現金給付で園(事業者)に支払うことになるのでしょうか。

現在でも、親は第一希望から第三希望まで選びに選んで申し込み、それでも入園できるかどうか、親は胃が縮む思いで入園の結果を待っているのです。幼稚園に空きがあるから、子ども園にすれば入園できる子どもの定員が増えるという机上の数あわせであれば、全くの考え違いと言わざるをえません。


保育園の定員が何故、不足しているのか、幼稚園が定員に満たないのか、現在の認定子ども園が増えない理由は何故なのか、これらの問題点・原因を明確にしないまま進めると、大きな混乱(事業者も利用者も、そして市町村も)が待ち受けているような気がします。


もっと違う観点から書きたかったのですが、内閣府の考え方が示されたので当面の思いを書きました。


たぶん、続く

子ども・子育て新システムの基本制度案要綱を読んで 総論の2


これまで、各論について⑫までコメントしてきましたが、総論部分です。(引き続き、独断と偏見で書いています)

国と都道府県が子育て支援については責任を負わないことを前回書きました。ところが、権限と責務を負わされることになる市町村ですが、実際の運営となると様々な問題があるのではないだろうか。


『子・子新システム基本制度案』では、市町村は「現金給付と現物給付の組み合わせ(配分)や給付メニューの設定(選択)など、自由度を持って地域の実情に応じた給付を設定し、新システムのサービス・給付を提供・確保する」とされている。


そうすると、子育てに熱心な首長や有力議員がいる市町村では国の配分に上乗せした手厚い子育て支援事業が期待できる(もちろん、市町村に財源のゆとりがあることが必要)。


その一方、子育てに関心のない首長の市町村では必要な子育て事業さえも削減されることも考えられないだろうか。(「自由度を持って地域の実情に応じて」他の施策に財源を使われることがないのか、この表現からはその心配が残る)


いずれにしても、住んでいる地方自治体の首長や財政状況によって、子育ての環境に差が生じてくるのは間違いないのではないか(導入当初はそれほど差はなくても、徐々に差は拡大する)。


(もちろん、子育てに関係する諸団体の存在とその活動状況、議会の構成など様々な要素は当然、あります。)


続く(後、2回で終わる予定)

子ども・子育て新システムの基本制度案要綱を読んで 総論の1


これまで、各論についてコメントしてきましたが、これからはまとめ的に書いていきます。(引き続き、独断と偏見で書いています)


この子ども・子育て新システムの基本制度案要綱(以下、『子・子新システム基本制度案』と記す)を読むと、民主党が推し進めようとしている「地域主権」の『子ども育て』版であることがよくわかる。


「子・子新システム基本制度案」の1 総論部分では、目的として「子どもを大切にする社会」「出産・就労の希望がかなう社会」「仕事と家庭、充実した生活ができる社会」「雇用創出と女性の就業促進で活力ある社会」を実現することを目的に掲げている。この内容は、日本の少子高齢化社会という現状から、女性が働き・子を産み・育て続けることのできる社会へと変革しようという崇高な理念であると思う。


この目的自体は、子どもを産み育てる環境を整備し、少子高齢化社会の弊害を最小限に抑えるためにも大切な観点であると考える。


ところが、具体的な手法となると大いに疑問が生じてくる。


方針の部分で「地域主権を前提」として子育てのニーズに応えるサービスを実現させると記述し、新システムとはの部分で「基礎自治体(市町村)の重視」と記述している。そして、Ⅱ 基本設計の前書き部分で「市町村(基礎自治体)が制度を実施」「実施主体は市町村(基礎自治体)」としている。


さらに、2 市町村の権限と責務として、「現金給付と現物給付の組み合わせや給付メニューの設定など、自由度をもって地域の実情に応じた給付を設計」し、サービス・給付を提供する5つの責務を負うこととしている。


国や都道府県は何をするのかというと、国は「子ども・子育て包括交付金(仮称)」の交付等、制度の円滑な運営のための必要な支援を行う」とし、都道府県は市町村への「情報提供」と「支援」、そして「都道府県が主体」となる事業を行うとしている。


つまり、子育てに関する事業については市町村に責任を負わせ、国はお金を交付するだけ、都道府県はとりあえず何もしませんと言っているようなものです。


続く