石原さとみが、新境地に挑んだと噂の、映画「ミッシング」が、WOWOWで放送されました。
これ、きっついです。
特に前半は、あまりに殺伐としており、一度見るのをやめました。
別に、エグい描写があるわけではないのです。石原さとみ扮する沙織里と、青木崇高扮する豊は、一人娘、美羽と三人家族なのですが、突然、娘の美羽が、行方不明になります。
その時、沙織里は、森優作扮する弟の圭吾に、美羽を預けて、推しのバンドのライブに行っており、ネットでは自業自得だと、ボロクソに叩かれておりました。
そのため、沙織里の心は、ささくれだっており、夫らの意見も聞かず、発する言葉も厳しいものばかりで、彼女が周囲に当たり散らす描写など、見ていてきつくなりました。
夫婦をずっと取材しているのが、地元ローカル局のワイドショーのディレクター、砂田で、演じているのは中村倫也です。砂田は上司や部下に、エキセントリックな報道はやめるべきだと主張しますが、ほとんど取り合ってもらえません。
ネットも、どんどんエスカレートしていき、豊は沙織里に、見てはダメだと諭しますが、沙織里は、意に介せず、書き込みを読んで、さらに攻撃的になっていきます。
弟の圭吾は、メディアからは犯人扱いされており、ワイドショーのクルーは、圭吾を追い続けます。
映画は、今のテレビのダメさ、特にワイドショーの酷さを、徹底的に描きます。
私の地元もそうですが、ローカル局がキー局のダメなところばかりを模倣するので、もっとダメになっております。報道とは名ばかりで、自分たちの勝手な思い込みで構成し、その報道で、ネタにされた人達が、どんなに傷つこうが知ったことではない。しかも、そんな報道をとことんやった砂田の後輩は、キー局に引き抜かれる。
おかしいことはおかしいと、上司に訴える砂田は、逆に上司に疎まれ、ヒマネタばかりをあてがわれる。これね、私の地元もその典型ですが、毎日毎日、ローカル局も生放送です。考える余裕などありません。目を引くネタを、目を引くように作り込むしかなくなるのです。だから、子供の行方不明も、街場のグルメネタも、一緒なのです。
この映画では、石原さとみの熱演に目がいっておりますが、夫の青木崇高、そして弟の森優作がいい。
特に、森優作扮する圭吾は、ある秘密を隠すために、事件当時の事で嘘をついておりました。
そのことがバレて、沙織里から徹底的に批判され、さらに世間からバッシングされ、仕事まで失いますが、気弱ですが、本当は姪っ子思いの圭吾を、見事に演じております。
繰り返し見たくなる作品ではありませんが、メッセージは強烈です。
※この作品で描かれる世間は、本当に酷い。酷いがヤフコメなどを見ていると、現実に限りなく近いと思います。沙織里に、警察だと偽って嘘の情報を流すシーンがありますが、その嘘がどんなに罪深いか、どんなに被害者を傷つけるかを、きっちり描きます。
また、小野花梨扮するキー局を全部落ちたという、新人職員の描写も辛辣です。いるんですよ、こういうのが。
まともに文章も書けない、素人同然の立場でありながら、一人前の顔で、誰が怪しいなどと平気で話す。なんの経験もないのにです。