※この記事には性的な内容や表現が含まれています。苦手な方は無理せず読み飛ばしたり、別の記事を楽しんでいただければと思います。


うーん、書こうという気持ちはあるのだが、やはりなかなか筆が進まない。前回の記事から、もう半月近く経ってしまった。

そこからの記憶は曖昧で、正直あまり思い出したくもない。ただ一つ言えるのは、あの日、飲まず食わずで同じ口論が延々と繰り返されたということだ。落ち着いたかと思えば、また感情的になり包丁を持ち出す。取り上げてなだめると、一時は収束しかけるが、すぐにまた振り回す。

気づけばもう夕方になっていた。体も心もクタクタで、引っ越しの準備どころではない。余裕を持って予約していた新幹線の便も、結局は最終便に取り直すしかなかった。

「20時にはここを出ないと間に合わない」
そう思っていた矢先、彼女が突然こう言った。

「今の私とセックスできる?」

正直、耳を疑った。この修羅場のような一日を過ごした直後に、そんなことを言うなんて。だが「できない」と答えれば、また「やっぱり私じゃダメなんだ」と暴れ出すかもしれない。恐怖心が先に立ち、私は「もちろんできるよ」と答えるしかなかった。

昔から自分は性欲が強い方だと思っていた。友人たちの間で「よくあんな女とできるな」なんて冷やかされることもあったし、風俗で予想外の相手が出てきても、それでも行為に及ぶ自信はあった。

――ところが、だ。

いざ始めてみると、まったく反応しない。興奮どころか、萎縮して何もできない。
「やっぱり勃たないね」
そう言われた瞬間、背筋が凍った。セックスできない → 認めてもらえていない → また包丁を持ち出す――そんな連想が一気に頭を駆け巡った。

必死で勃たせようと、頭の中で無理やりエロいことを考える。だが全く効果がない。
この時ふと思い出したのは、漫画『花の慶次』のエピソード。戦場で仲間の傷口を洗うために小便をかける場面があったが、殺し合いの最中で誰も小便がでない中、慶次だけが豪快に小便を出した――という話。命のやりとりの場で興奮や小便なんて普通はできるはずがない。前田慶次の豪快さが伝わるあのシーンが妙に頭をよぎり、「今の自分も同じでこんな状況で勃つわけかない!」と思った。

ただ、直接的な刺激には反応したのか、口でされると勃ち、なんとか最後まで行為を終えることができた。

その後、彼女は言った。
「不倫相手の女より、私のほうが良かったでしょ?」

もう、恐怖でしかなかった。ここで少しでも否定すれば、何をしでかすかわからない。心にもない言葉を、必死で口にする。
「もちろん。比べものにならないくらい良かったよ」

時計を見ると、もう時間がない。新幹線の最終便に間に合わせなければならない。慌ただしく荷物をまとめて出ようとすると、彼女はこう言った。

「洗濯物は、私が洗って干しておくから」

そんなこと、もうどうでもよかった。私は逃げるように家を飛び出し、駅へと向かった。