テッド・チャン『息吹』を読んで、その評価 | フォノン通信

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2019年にヤフーブログから移行してきました。
制作した絵画、詩、読んだ本のことなど投稿していきます。

 

☆テッド・チャンの短篇集『息吹』を読了した。掲載されているのは9作品。

 

この中には中篇小説といっていい作品が2作品含まれている。

 

☆2003年に出版された短篇集『あなたの人生の物語』の評価も高かったが、僕は『息吹』の方が優れた作品が多く掲載されていると感じた。

 

☆9作品を僕はどう感じたかを☆で評価してみた。☆5つで満点です。

 

①「商人と錬金術師の門」(ヒューゴー賞、ネビュラ賞、星雲賞受賞)

 タイムトラベルがテーマの優れた作品。思わず物語の世界に入り込んでしまった。

 ☆☆☆☆  傑作です

 

②「息吹」(英国SF協会賞、ヒューゴー賞、ローカス賞、SFマガジン読者賞受賞)

 新しい世界(宇宙)を創造している。

 ☆☆☆☆  傑作です

 

③「予期される未来」

 正直よく分からない部分が多かった。

 ☆☆☆  佳作

 

④「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」(ヒューゴー賞、ローカス賞、星雲賞受賞)

 この作品は、ブログ内で取り上げて評価しました。デジタル生命体と人間の交流を描いた物語。

 ☆☆☆☆ 傑作です

 

⑤「デイシー式全自動ナニー」

 全自動ナニーというのは「赤ん坊の面倒を見るために設計された、ロボットまでは行かないマシン」のことである。このマシンをめぐる物語。

 ☆☆☆  佳作

 

⑥「偽りのない真実、偽りにない気持ち」

 ☆☆☆  佳作

 

⑦「大いなる沈黙」

 ☆☆  作品の良さがよく分からなかった

 

⑧「オムファロス」

 ☆☆  作品の良さが伝わらなかった

 

⑨「不安は自由のめまい」

量子力学の多世界解釈に基づいた物語になっている。

発想自体は珍しいものではないが

十分に読み応えのある物語になっている。

 ☆☆☆  傑作に近い佳作といえます。

 ☆3つ半といったところです

 

*やはりヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞などを受賞している作品は、僕が読んでも傑作という評価が出ました。

 

☆テッド・チャンは寡作の小説家で、短篇集2冊を読めばテッド・チャンが発表したほとんどの作品を読んだことになるそうです。