デイヴ・グルーソン著『サイレント・アース』を読んで(2) | フォノン通信

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☆備忘録、読書ノートの2回目

☆今回は、4章から重要な記述を抜粋していこう。

4章 データで見る昆虫減少

☆人新世(アントロポセン)と呼ばれている新たな地質時代の特徴として、生物多様性の喪失が加速しているというものがある。

野生の動植物が失われているだけでなく、生物群集全体が消えているということだ。

☆近代(西暦1500年以降とされることが多い)以降に絶滅したことが分かっている哺乳類は80種、鳥類は182種にのぼる。

☆大部分の種はまだ絶滅には至っていないだろうが、全体的に野生動物はかつての数よりもはるかに少なくなっているということが明らかになってきた。

イスラエルの科学者イノン・バル=オンが最近発表した画期的な論文では、一万年前に人類の文明が生まれて以降、野生哺乳類の生物量は83%も減少したと推定されている。

言い換えれば、六匹中五匹ぐらいの野生哺乳類が消えてしまったということだ。

彼の驚くべき推定によると、いまや野生哺乳類はすべての哺乳類のたった4%しか占めていないというから、そこからも人間の影響の大きさがわかる。

ちなみに、家畜(主に牛、豚、羊)は60%、私たち人間は残りの36%を占める。

 

☆2018年には世界自然保護基金(WWF)とロンドン動物学会の「生きている地球レポート」が発表され、1970年から2014年までの44年間に世界の野生の脊椎動物(魚類、両生類、爬虫類、哺乳類、鳥類)を合計した個体数が6割も減ったと推定された。

◆わずか44年間で野生の脊椎動物の個体数が6割も減ったとは驚きである。この先、デイヴ・グルーソン教授の専門である昆虫の話になっていく。

☆野生の脊椎動物の減少は大惨事ではあるのだが、それよりもさらに激しい変化がひっそりと進行してきた。

この激変のほうが、人間の健康と幸福にとって深刻な事態を引き起こすおそれがある。

☆ご存じのとおり、世界中で知られている種の大部分は、背骨のない無脊椎動物だ。

陸上では無脊椎動物の大部分が昆虫である。

昆虫は脊椎動物に比べて研究が進んでおらず、これまでに命名された100万種の大部分について、私たちは実質的に何も知らない。

その生態、生息域、個体数がまったくわかっていないのだ。

たいていの種については、博物館でピンに刺さった「模式標本」に採集した日付と場所が記されているだけだ。

☆命名された100万種に加え、まだ発見されていない昆虫が少なくとも400万種はいると推定されている。

◆4章は、このあとドイツ、イギリス、アメリカなどの各地域において昆虫がどのくらい減少しているかを調査した研究者や研究機関などのデータが示され、それに関して著者が説明している。ここは各論となるため、ノートにまとめ難いが特に記憶しておくとよい事項について抜粋しておこうと思う。

◆ドイツのクレーフェルト昆虫学会が、1989年から2016年までにドイツ全域の自然保護区でマレーズトラップを使って飛翔性昆虫を採集してきた。

 

そのデータを解析してほしいと依頼されたデイヴ・グルーソン教授が、見解を述べている箇所から抜粋する。

☆データを調べ、簡単なグラフにしてみると、だんだん興味が湧いてくると同時に懸念が高まった。

1989年から2016年までの27年間で、トラップにつかまる昆虫の全体の生物量が76%も減少していたのだ。

ヨーロッパで昆虫の活動が一年で最も活発になる真夏には、減少幅が82%と顕著だった。


あまりにも急激な落ち込みで信じられず、最初は何か間違いがあるにちがいないと考えた。

 

野生生物が全体的に減っていることはわかっていたが、昆虫の四分の三がこれほど短い間に消え去ったことは、それまでの想像を絶するペースと規模で減少が進んでいることを示していた。

◆備忘録、読書ノートの2回目はここまでにします。