PISODE083: オーディション当日、29番五十嵐対30番虚無蔵。畑野助監督「それでは29番さんは左近役、30番さんは黍之丞役で」。虚無蔵「暗闇でしか(以下略)」。そして2人の殺陣が始まる。ひなたは五十嵐がうまくなっているのに気付くと、サンタが現れ「相手役がうめんじゃが。時代劇ゃあ、一流の斬られ役あっての主役じゃ」。

 

次に役割をチェンジして始めようとすると、モモケンが「30番さんは一度は左近を演じたお人。一つ私がお相手しましょう」。ひなたが「何で?」と訝ってると、サンタが「長かったのう…、20年」。

 

回想シーン。20年前、映画館でサンタが『妖術七変化 隠れ里の決闘』を見てると、斜め後ろで泣いてる声がする。うるさいなあと思い、上映後そちらをみると団五郎だった。それが団五郎との出会いだった。

サンタ「焼きもちを焼きよるんじゃろ」。団五郎「当てつけとしか思えません」。サンタ「親父っちゅうンは一筋縄ではいかんもんじゃ。許しとるようで許しとらん。許しとらんようで許しとる。あんたに黍之丞をやってもらいてえんじゃねえか。左近じゃのうて」。

 

団五郎(現モモケン)の黍之丞vs虚無蔵左近の感動の殺陣が終わり、轟監督もカットを一瞬忘れるほどだった。モモケン「これが父が見た景色なんですね、20年前に。だけどね、虚無さん。あんたじゃ駄目なんだ」。虚無蔵「私が無名だからですか。セリフが下手だからですか」。モモケン「違います。私は私の左近を探しに来たんです。あんたに頼ったんじゃ父を超えられない」。虚無蔵「ありがとうございました。文四郎とも手合わせしてやってください。拙者、これにて」。

 

するとモモケンは虚無蔵を呼び止め、「父は虚無さんのことをずっといい役者だと一目置いてたんです」。虚無蔵「長年の胸のつかえがとれました。どうして早く行ってくれなかったんです?」モモケン「どうしてって?私はスターですよ。大部屋に軽々しく声は掛けません」。

 

オーディション後、ひなたが道場に佇んでいるとモモケンがやって来る。ひなたが立ち去ろうとするとモモケンが「待って。あなたと話をしたかったんです」と。

 

EPISODE084の主な出演者:アナウンサー(泉希衣子)。

 

モモケン曰く。「私が二代目桃山剣之介を襲名したのは父が亡くなった翌年の昭和40年4月4日でした(奇しくもひなたが生まれた日)。程なくして私はTVの棗黍之丞シリーズに出演し始めましたが、私はずっと迷ってました。そんな時です。(回想シーン。モモケンサイン会でひなたが大月の回転焼を差し出し、どうしたら侍になれますかと問うた時、志を失わなければきっとなれますよと答えた)。私は気になってあの後すぐ差し入れの回転焼を食べてみました。甘~いあの味が口の中に広がって、いつかサンタさんが言っていた言葉が蘇りました」。

 

回想シーン。サンタ「小豆の声を聴け。(中略)甘えあんこの出来上がり…」。サンタは覚えとったと言って泣く。「おいしいあんこのおまじないじゃ」。モモケン「父は決して自分を見放したわけじゃない。ずっと見守ってくれてたんだ」。そして時が経ち、桃太郎誕生直前、モモケンが大月に立ち寄った際、初代の遺作のポスターが大月店内に貼られているのを見て。モモケン「草葉の陰で父は言ってたんです。いつかこの映画を撮れ。お前の左近を見つけろと。志を失わなければ侍にだって何だってなれる。それは父の口癖でした。ありがとう、ひなたちゃん。あのときあの回転焼をプレゼントしてくれて」。ひなたは自分たちが知らないうちに大月の回転焼が大好きな時代劇スターの運命を変えていたことに誇りを持った。

 

ひなたが商店街を歩いているとサンタのおじさんに出会う。サンタ「オーディションどうなった?五十嵐君選ばれるといいな。ええ人なんじゃろ?」ひなたは即否定するがサンタは「そねえなんだけ鋭いんじゃ」。また、サンタはひなたを見ると妹を思い出すという。サンタが商店街を訪れたのはモモケンお気に入りの大月を訪ねてきたと知り、ひなたはうちですと答える。その際、吉右衛門(誕生の際、算太があかにしのラジオを盗んだ)とすれ違う。店の前まで来て、ひなたの母が錠一郎に「るい」と呼ばれているのを聞いて、サンタは突然姿を消す。

 

1984年夏の甲子園決勝。延長で取手二高がPL学園を8-4で破った試合を錠一郎と桃太郎は見ている。そこへ小夜子が現れ、「清原君まだ高2でしょ。まだ来年があるやん」。※実際翌1985年夏はPL学園優勝。TVのニュースで1500名が応募した左近役のオーディションの結果が発表される。五十嵐は落選したが、伊織という役名のついた役を監督からもらう。

 

ひなたは五十嵐に読み合わせに付き合おうかと提案しているところを榊原から呼び止められる。榊原が一恵に『京都茶道家殺人事件』の茶道指導を依頼する。ひなたがそんなの条映関係でいくらでもというと、榊原がみんな断られたと。つまりすみれへの指導はお断りなのであった。一恵は母にも頼んでみると。そして榊原はひなたにすみれのサポート役を依頼する。榊原「ここがすみれさんの正念場や思うんや」。

 

EPISODE085: 一子の茶室。一子「いやー、テレビで見たことある人やわー」。すみれ「サインしましょか?」一子「いや、それはいりません」。一恵「え?」ひなた「始まる前から機嫌損ねんといてよー」。一子「去年やったか、『破天荒将軍』にゲストに出てはりましたね」。すみれ「はい、珠姫役で」。一子「あの時もお茶立ててはって、ぎこちなかったわあ」。一子はあくまで一恵の後見で、一恵に「あんたが責任持って指導しよし」と告げて去る。すみれ「何よ。お師匠さんが教えてくれるんじゃないの?」

 

道場で五十嵐は虚無蔵に稽古をつけてもらっている。稽古が終わるがひなたは来ない。読み合わせに付き合うとか言っておきながら。一方、一恵の指導。「袱紗をさばいたら、左手でお棗を取って、清めて、お茶碗のあったところに置いてください」。そして一々ダメ出しが入る。お茶碗のあったところはそこじゃありません、などなど。

 

そば処・うちいりですみれの愚痴をひなたが聞いている。ラジオからはわらべ「もしも明日が…。」が流れている。すみれ「何なのよ一恵。百恵の100分の1が偉そうに。なんで私が映画村のバイトにしごかれなきゃいけないの」。ひなた「ホンマすいません」。すみれ「タイトルが『京都茶道家殺人事件』でお茶の師匠の役お願いしますと言われたら、主役だと思うじゃないの」。※ 山村美紗の小説にありそうと思って検索すると、『京都茶道家元殺人事件』というタイトルがある。

 

ひなた「普段はお上品なお茶の師匠が殺人事件が起こると刑事顔負けの推理をしそうです」。すみれ「それが出て来て早々、お茶会の最中に殺される役だったいうじゃない。て言うかあんた全然飲んでないじゃない」。ひなた「未成年です」。すみれ「さっさと成長しなさいよ、気が利かないわね」。ひなたは居酒屋から榊原に電話して現況報告。道場の灯りが点いているか尋ねたら、さっき消えたと回答を得る。

 

別の日の茶道指導。一恵「右手前左横右横の三手で」。「もういっぺん」。ひなたはすみれがお茶をたてる度に抹茶を飲み干す。そば処・うちいりで、ラジオから中島みゆき「悪女」が流れている。すみれ「どうして茶道家なのよ。日本酒だったら適当に飲めるのに」。ひなた「『酒蔵杜氏殺人事件』に替えてもらいますか」。すみれ「いいわね」。ひなた「冗談です」。すみれ「ウーロン茶の減りが少ないけど?」ひなた「抹茶の飲み過ぎで…」。すみれ「もっと内臓鍛えなさいよ」。ひなたは一応道場に向かうがもう誰もいない。

 

またまた別の日の茶道指導。すみれ「もう嫌!やってらんない」。すみれが茶室を出ていこうとすると榊原が立ちはだかる。ここまで書かなかったが、この場には一恵、すみれ、ひなたの他に榊原も立ち会っていたのだ。榊原「稽古を続けてください。これはあなたのための企画です」。すみれ「映画やドラマならともかく映画村のショーじゃない。誰が見てるのよ。半分は子どもよ」。榊原「僕が見てます。ちゃんと僕が見てますから」。すみれ「役員ならともかく、平社員が見てるからどうしたのよ」。すると一恵が立ち上がり、「榊原さんはここがすみれさんの正念場やと思てはるんです。それはつまり榊原さんにとっても正念場なんやと思うんです。せやから私も未熟ながらお手伝いさせてもろてるんです」。すると茶室のすぐ外から一子が「はい、そこまで。みんな座りよし」。

 

道場にて。虚無蔵「今日はここまで」。五十嵐「まだ時間が…」。虚無蔵「雑念がある限りいい殺陣はできんぞ」。茶室にて。一子の淹れたお茶を左からすみれ、榊原、ひなた、一恵の順に飲む。一子「落ち着いたか?お茶は作法の正確さでもない。仕事の成功の道具でもない。相手のこと思う気持ちや。それだけのもんや」。するとひなたが泣き出す。一子は何であんたが泣くねん?と訝る。

 

ひなたは泣きながら道場に向かったが五十嵐は居なかった。まだ泣きながら家路に着くと、五十嵐が待っていた。「何なんだよ、お前。いつもうろちょろして邪魔ばっかりするくせに、映画が決まった途端姿くらませやがって」。ひなた「(泣きながら)映画村のステージにすみれさんの出番が決まって、お茶のお稽古に付き合うように榊原さんから言われて、毎日いっちゃん家の茶室で抹茶がぶのみして、すみれさんの愚痴聞かされて…」。すると五十嵐はひなたを抱きしめこう言った。「ちゃんと毎日顔見せろ。寂しいだろ、バカ!」

 

EPISODE086の主な出演者:大月桃太郎(青木柚)、武藤蘭丸(青木崇高)。

 

1985年夏、昨年準優勝のPL学園がサヨナラのチャンスを迎え、サヨナラヒットで4-3で優勝!の場面を錠一郎と桃太郎(野崎春)が見ていると小夜子が「ひなちゃん居てますか」と訪ねてくる。ひなたは五十嵐と五十嵐出演の映画を見に行っていた。おふね(演:高山理恵、条映映画村のお姫様)に五十嵐演じる伊織が「ここは危うい。逃げよう」と。そこへ鬼の仮面をかぶった左近が現れ斬られる。伊織「左近様。あなたは…」と言ってこと切れる。そこへ黍之丞が見参し、「暗闇でしか(以下略)」。立ち回り。そして左近を顔から斬ると仮面が破れ、左近の素顔が初めて露わになる。無名の新人であった武藤蘭丸だ。黍之丞が最後に「梨棗、黍に粟、つぎはうくずの後もあわんと、葵花咲く」と。

 

大月家の夕食。ひなた「ホンマにかっこよかったわー」。五十嵐「そう何度も言うな」。ひなた「黍之丞」。五十嵐「そっちか」。ひなた「うそうそ。伊織の方がかっこよかった」。ひなたが桃太郎に招待券あげると言うと、桃太郎は小夜ちゃんと行く約束したから2枚くれと言う。祭りの縁日。ひなたが風鈴を見ていると、五十嵐が「これください」と500円払って、ひなたにあげる。ひなた「文ちゃん」。五十嵐「拙者家禄もわずか。主君の覚えもめでたからず。されどそなたを幸せにしたい。ついてきてくれるか」。←これは映画村のお姫様オーディションでの芝居のセリフ。ひなたは「文ちゃん」と言って五十嵐に抱き着く。

ひなたは夢を見ている。夫となった五十嵐との朝食だ。ひなた「今日は大河ドラマ?」五十嵐「今日の朝食は豪勢だな」。ひなた「信長だって出陣の朝は(以下略)」。そこへるいから起こされる。いつの間にか1992年になり、桃太郎の高校入学式だ。村岡が記念写真を撮るついでに、桃太郎の進学先が野球の強い京都西陣高校と明かされる。

 

米米CLUBの「君がいるだけで」が流れている。榊原がひなたに資料を見せて映画村の入場者数が激減していることを知らせる。映画村は撮影所を助けるために作られたが、これでは共倒れだと。二代目モモケンと蘭丸左近の『妖術七変化 隠れ里の決闘』はヒットしたが、これは最後のあだ花になった。扮装や美術にお金がかかる時代劇はスポンサーからも敬遠されていた。『破天荒将軍V』に五十嵐は大部屋のまま出演していた。ひなたは手を下げた状態で小さく手を振る(よく女の子がやるような)しぐさをした。

 

控室にて。ひなた「文ちゃん、第2スタジオに行ってみーひん」。第2スタジオでは『茶道家水無月ぼたんの事件簿』で主演は美咲すみれだ。しかし五十嵐は「俺は時代劇以外はやらない。その志だけは変えたくないんだ」と断る。ひなた「晩御飯食べに来いひん?」と誘うが、五十嵐「ごめん。今日はやめとく」。月日はあっという間に経ち、ひなたは27歳、五十嵐は29歳になっていた。

 

EPISODE087の主な出演者:ナレーター(笑い飯・西田幸治)、カップル( 長南洸生、星加莉佐)。

 

錠一郎・ひなた・桃太郎はTVのノストラダムス大予言の番組を見ている。いよいよ予言まで7年に迫っている。ひなたの妄想。ひなたは五十嵐に「いよいよ人類は滅亡するのね。短い結婚生活だったけど幸せだった」という。

1992年度前期の朝ドラ『おんなは度胸』(泉ピン子と桜井幸子のダブル主演)を見ているとTVの映りが悪くなる。るいがTVの横っ腹を叩くと直る。

 

榊原に映画村来場者数を増やす企画考えた?と問われたひなた。「意味あるんやろか?7年後に地球が滅亡するんですよ」。榊原「たとえ7年後に地球が滅亡するとしても、僕は今映画村の来場者数を増やしたい。最後まで映画村と撮影所のため働きたい。その仕事の最中に三つ首の竜に襲われたとしても本望や」。そこへすみれが入ってきて「また榊原が生真面目なこと言ってる。私もボタンの仕事で映画村のショーにも出られなくなっちゃったしね」。榊原「すみれさんの仕事が順調やったらそれでいいんです」。榊原は大部屋の俳優の仕事も激減していることも心配しているのだ。

 

桃太郎は国語準備室に入って行く。準備室には京都西陣高校の国語教諭の小夜子がいる。小夜子「桃…大月君、何?」桃太郎「小夜ちゃん」と言うと小夜子は首を振り桃太郎は「藤井先生」と言い直す。国語が苦手だから「面白うて分かりやすい本ないかな」との問いかけに小夜子は『サラダ記念日』を渡す。部屋を出て桃太郎はすぐ、「この本読んでと君が言ったから、4月20日は小夜子記念日」と歌を詠む。

 

五十嵐は映画村の道案内で家康の扮装をしているが、終わるとたすきを投げ捨てて自分に悔しがる。それをひなたは後ろから見ている。ひなたがその日疲れて自宅近くまで来たとき、向こうから跳んでくるビニール袋に驚く。そこで映画村の企画としてお化け屋敷を思いつく。翌日榊原に提案して、榊原にありきたりと言われてしまうが、そこへ轟監督が現れ、「わしが演出したってもええで」と言ったことで、ひなたの企画が通る。

 

砂村吟のラジオでこの年の甲子園出場校を紹介している。大阪は4年ぶり2回目の近大付属、兵庫は初出場の神港学園、京都は3年ぶり4回目の京都西。それを空き地の土管に座ってラジオをイヤホンで聞いていた桃太郎に通りかかった小夜子が語り掛ける。小夜子「残念だったわね」。桃太郎「僕レギュラーやないし」。小夜子「どこのポジション狙ってるの?」桃太郎「サード」。小夜子「長嶋みたい」。その後桃太郎は詠む。「長嶋みたいねと君が言ったから、8月1日は茂雄記念日!」

 

その同じ8月1日から映画村のお化け屋敷がスタートする。大部屋俳優がお化けに扮して来場客を驚かせる。そして大部屋俳優はなにがしかの日当を得る。ひなたは五十嵐に日当を渡しながら「お客さん楽しんでたね」と言うと、五十嵐「こんなことで楽しませたって仕方ないだろう。俺は俳優だぞ」。ひなた「文ちゃん。あと7年で空から恐怖の大王が降って来る。三つ首の竜が襲ってくるんやで。あと7年、1秒でも長く文ちゃんと一緒にいたい。文ちゃんと暮らしたい。文ちゃんは?」