EPISODE093の主な出演者:トランペットの男の子(高田幸季)。

 

錠一郎はトランペットを吹こうとするがかすれた音しか出ない。ひなたと桃太郎は笑うが、錠一郎は昔トランぺッターやった、レコードデビュー寸前までいったけど、謎の病気になって挫折したと言う。2人は冗談だと思うが、るいが映画のポスターの裏の1963.8.11の錠一郎のサインを見せ、本当だと告げる。

 

錠一郎「その頃お父ちゃんとお母ちゃんは結婚の約束をしてたけど、それも諦めた。トランペット取ったら何にも残らへん。そんな自分の人生に大事な人つきあわすわけいかへん思た。一遍は別れたんや。トランペット失って、大事な人失って、夢失って。もう死のかな思た。そやけどお母ちゃんが救ってくれた。(中略)桃太郎が生まれた頃かな、何か吹っ切れた言うんかなあ。まあ諦めた。それでも2人のいいお父ちゃんとして生きられたら僕は幸せや。…で、何が言いたいかというとやな。それでも人生は続いていく」。

空き地の土管に2人座って。桃太郎「お父ちゃん、そんな過去があったやなんて、全く分からへんかった」。ひなた「お母ちゃんかてただの回転焼屋のおばちゃんやなかったんや。けどよかった。お父ちゃんが死なへんかって」。桃太郎「その時お母ちゃんが止めてくれへんかったら思たら…」。ひなた「ぞっとするわ」。

 

その後、桃太郎はあかにしに謝りに行くと言うのでひなたも付いていく。2人で頭を下げるが、吉右衛門は許さない。そこへ清子が「それくらいにしとき。めでたい時なんやから。昔お父ちゃんは堪忍したげたはったえ」。そこへ吉之丞が帰宅し、「なんや姉弟そろって」と言うと、桃太郎は吉之丞に「結婚おめでとうございます」。吉之丞「小夜子がもう話したんか」と照れる。

るい「さっきはありがとう。けどうそやんね、諦めたやなんて」。錠一郎「トランペットが僕にさよならを言うてる。そんな気がするんや」。

 

錠一郎がクリスマスの福引の手伝いをしている。子どもが補助券10枚持ってきて、1回引くと5等が当たる。少年は5等の商品の中からおもちゃのラッパを選ぶ。るいはクリスマスの鶏として手羽が買えたと家路に急ぐ。そこへ客が待っていた。るい「何個しましょ?」算太「るい。るいじゃのう」。

 

EPISODE094: ひなたが帰宅するとサンタのおじさんが居た。「サンタさん。ほら、条映映画村のCMあるやん。あれに振り付けしてくれた人なん」と紹介するとるいが「お母ちゃんの伯父さんや」。算太がるいの回転焼を食べると「こらあたちばなのあんこじゃ」。50年近う住所不定じゃという算太に錠一郎は今日は泊まってくださいと勧める。

 

夕食。ひなた「あの頃名乗り出てくれてたら、私空き瓶集めなんかしいひんでもモモケンさんのサイン会行けたかも知れへんのに」。桃太郎が野球をしていてレギュラー取り返したと言うと「勇ちゃんに似たんかのう」と。勇とはるいの父方の叔父さんと説明される。今まで親戚は居ないと聞かされて育ったひなたと桃太郎だが、るいの親類のことを知り始める。桃太郎「大体それどこの言葉?」算太「岡山じゃ」。桃太郎「大阪出身やと思てた」。算太がダンサーというと桃太郎が踊ってと無茶振りする。算太はパンを使って踊りを表現する。

 

翌朝算太が起きると、るいが例の「小豆の声を聴け(以下略)」の呪文を唱えていた。算太「変わらんのう」。るい「算太さん、どこ行ってたん、あれから。雉眞の家から消えてから。伯父さんホンマのこと教えて。あの時伯父さんは何で姿消したん?何でお母さんはあないに慌てて伯父さんを追って大阪に行ったん?」算太「そねん昔の話ぁもうええじゃろう。わしもよう覚えとらん」。

商店街の福引で算太がサンタの格好をしている。ひなたがやってきて、算太が代わりに引くと4等賞が当たる。そこへ吉右衛門を見てケチヱもん、あかにしのことを思い出す。すると幼き日の安子が抱きついてきて、「お兄ちゃん、ダンサーになれた?踊って」と(算太の妄想)。そして算太は踊りだす。商店街からみんながやってきて、拍手喝さい。しかし踊り疲れて倒れる。

 

錠一郎が算太の荷物から診察券を見つける。そこから大正9年8月1日生まれと分かる。安子と5歳違いで学年は4つ上だ。その診察券を頼りに錠一郎が電話したところ、「入院してたのに逃げ出したらしい。いつどうなってもおかしくないて。それは本人も知ってるって」とるいに告げる。

 

EPISODE095の主な登場人物:雉眞勇(目黒祐樹)、雉眞雪衣(多岐川裕美)。

 

算太が布団に臥せっている。算太「すまなんだなあ、わしが悪いんじゃ。すべてわしが。安子はなーんも悪うねえ」。そこへ錠一郎が清子と吉右衛門を連れてくる。清子「やっぱり算太ちゃんやねえ」。吉右衛門「あんたがラジオを盗んだ朝に生まれた吉右衛門じゃ」。算太はるいにメリークリスマスと言って包みを渡し、息絶える。算太の弔いはモモケンこと桃山剣之介が静かに執り行ってくれた。

 

錠一郎が算太の包みはなんやったん?と聞くと、るいは「通帳。古いのと新しいの」と。古い方は昭和24年に始まっていて昭和26年に終わっている。昭和24年は算太が復員した年で、それからたちばな再建のための資金を少しずつ貯めたのだろうと。るい「昭和26年は算太伯父さんが失踪した年、そしてお母さんが出て行った年や」。新しい方は昭和59年に開設している。るい「ひなたがここへ伯父さんを連れてこようとした年やと思う。その年の秋から10年間頻繁に入金されてる。私伯父さんに聞いたんや。何であの時伯父さんは姿消したんて。何でお母さんはあないにあわてて伯父さんを追って大阪に行ったんて。けど伯父さんはそんな昔のことは忘れてしもた言うて、とうとう何にも教えてくれんかった」。錠一郎「るい、来年岡山に行こうか。ひなたと桃太郎、算太さんも連れて」。回想。るいと勇のキャッチボール。るい「私家を出らあ。家を出て岡山も出る」。

 

翌夏、雉眞家の前に到着する。桃太郎「え?この家?雉眞?あの、実業団野球で有名な?」るい「そうや」「それ早う言うてえな!」るい「聞かんさかい」。勇が玄関から出てきて、紹介もそこそこに「ええから入れ。早う。今ええとこなんじゃ」。居間のTVは岡山関西の試合をやっていて、一死三塁のチャンスだった。桃太郎「ここはスクイズじゃ」。勇「お?分かっとるのう。さすがるいの子じゃ。るいは野球の塁から取った名じゃからのう」。るいは錠一郎に「と、叔父さんは信じてはんの」。

 

そこへ雪衣が現れ、るいが使ってた部屋ではなくもっと広い部屋を案内する。るい「聞いてます。たちばなの家のお墓、勇さんと雪衣さんとで世話してくれてはるて」。そしてるいは雪衣に長年の疑問、算太はなぜ失踪したかを尋ねる。雪衣「私のせいなんじゃ、あの時算太さんがおらんようになってしもうおたんは。多分、私のせいなんじゃ」。

 

雪衣「算太は安子と一緒にたちばなを立て直すつもりでお金を貯めよったんじゃ」。雪衣の回想。算太「店を始める伊賀が手に入ったら、そこでわしと一緒に暮らしてくれんか」。現在に戻る。雪衣「私そねんしてもええかも知れん思いよった。じゃけど結局、算太さんを傷つけてしもうた。算太さんが黙って家を出て行ったんは私のせいじゃ思う。たちばな再建の通帳を持ったまま…」。るい「お母さんはホンマに伯父さんを探すために、それだけのために大阪行ったんですか」。雪衣「もちろんじゃ」。るい「ロバートさんに会うためいうことは?」雪衣「ロバートさんのこたあよう知らんのんじゃ。でも算太さんと一緒にたちばなを建て直す。あの頃の安子さんはその一心じゃった」。

 

EPISODE096の主な出演者:柳沢健一(世良公則)、柳沢慎一(前野朋哉)

※前野が演じた健一の老年期を世良が、そして健一の孫の一人・慎一を前野が演じる。

 

錠一郎「あの通帳返しに来はったんやな。謝りたかったんやと思うよ。るいとるいのあ母さんに。10年前偶然にひなたと出会うて、ひなたが京都に居ること知って、それから仕事するたびに貯めてたんやと思う」。るい「それやったらそれ言うてくれたら良かったのに」。錠一郎「最後に少しだけ欲しかったんと違うかな。家族と過ごす時間が」。

 

夕食。勇「錠一郎さんのジョーはやっぱりジョー・ディマジオから取ったんですか?」錠一郎が食べ物をこぼし、「るいとは大阪で出会うたんです。その頃るいはクリーニング屋に勤めてて、僕はそこの客でした。それからずっとすいに洗濯してもろてます」。勇「あの日。るいが岡山出る言うた日。わしにゃあ分かっとった。(回想。勇「住むとこ決まったら知らせられえよ」)るいが居場所を知らせる気も、手紙やら電話やらよこす肝ええいうこと。もう二度と岡山に返ってくる気がねえいうこと」。るい「長い間心配かけてごめんなさい」。ひなたはテーブルの傍らの机に飾ってある写真に目を止める。2枚はるいの(父方の)祖父と祖母、そしてもう1枚はるいの父の写真だった。ひなた「おばあちゃんの写真は?」と問われ、結婚式の写真を見せる。そこに写る若き日の勇を指して「この人は?」と聞くひなた。さすがに村上虹郎から目黒祐樹だからね。この年は1994年。稔の、そして多くの戦死者の50回忌に当たると勇は言う。だから夏までここに居てほしいと。

 

翌8月15日の昼、勇と桃太郎のキャッチボール。桃太郎「それでな。2年の夏にやっとレギュラー取って、告白しようと決めてん。甲子園に行けたらその人に告白しようって。そやけどその前にほかの男と結婚してしもた。それで僕の初恋は終わった」。勇「女を好きになったとき、甲子園行けたら、あれがでけたらこれがでけたら言うて先延ばしにするんじゃねえ。絶対報われんぞ」。

※1994年の大会では岡山関西は8月15日の第4試合に登場し、敗れている。翌95年の大会では8月14日第2試合に初登場して勝っている。脚本は1年勘違いしている可能性あり。

 

るいはかつての自分の部屋の机の引き出しから稔の名前入りの辞書を見つけ、バッグに入れる、ひなたが入ってきて、「お母ちゃんのお母さんて生きてはるん?」と聞くと、るいは「分からへん。子どもの頃、生き別れたんや」。るいは錠一郎と出かけると言うので、その間ひなたはるいの昔の部屋の探索をすることにする。

 

錠一郎が木暮さんから得た情報では、Dippermouth Bluesは閉店したんやけど、同じ名前の店がオープンしていると。るいと2人でその店に訪れてみると、そこには定一そっくりな老人がマスターをしていた。錠一郎「定一さん?」健一「父の知り合いじゃろか?」ということで、健一は定一の息子で、孫の一人が手伝ってくれていると説明する。健一は定一が死んだものと思って、復員したら横須賀に居ついてしまっていて、それで定一は長い間健一が戦死したと思い込んでたのだ。

 

健一「稔さんと安子ちゃんが結婚して娘が生まれたいうんは父さんから聞いとった。でもまさかこねえして錠一郎君の奥さんとして来てくれるとはのう。安子さんのことはうわさで聞いた。娘ょお捨てて進駐軍さんとアメリカ行った言うて悪う言いよう人もおったが、安子ちゃんはそねえ子じゃねえ。わしが保証する。何せわしゃあ稔さんと安子ちゃんの初デートの目撃者じゃからのう。前野朋哉演じる健一の回想。稔と安子の初デート。

 

EPISODE097の主な出演者:平川唯一(さだまさし)

※さだまさしは安子編では声のみの登場だったが、この日ひなたの幻の中で登場する。

 

健一はサニーサイドのレコードを掛ける。健一「父さんのええ供養になったわ」。健一は算太が小学校の2級上だったとるいの質問に答える。一方、ひなたはるいの部屋で英語講座のテキストを見つける。そこにはYasuko Ruiと筆記体で名前が書かれていた。ひなた「昭和21年て、古う」。

 

錠一郎とるいはかつて稔と安子が何度も通った神社に来る。錠一郎「よかったなあ、会えて。るいのお父さんとお母さんにも。すっごく腑に落ちた。定一さんの店でデートしてサッチモ聴いて、それで生まれてきた娘にるいってつけたんや」。るいの回想。安子「お父さんはなあ。るいの名前に夢を託したんじゃ。どこの国とも自由に行き来できる(以下略)」。

 

正午のサイレンが鳴る。TVで高校野球を見ていた勇と雪衣、桃太郎は立ち上がり黙とうする。一方、ひなたは英会話のテキストを見ながら窓の外を眺めていると、妄想の世界で平川唯一が現れる。平川「英語の勉強ですか。精が出ますねえ」。ひなた「あー、いやー、全然あきません。英会話学校行っても、英語の本読んでも、聞き流し教材使ても、全然英語が喋れるようにならんのです」。平川「そんなはずありませんよ。みんな英語の赤ちゃんなんですから」。

 

すると玉音放送がラジオから流れ、いつの間にか英語まじりになる。この英訳は平川がヨーロッパ向けの放送で実際に喋ったものだ。昭和21年に平川はNHKを退職し、その後英語講座の講師の依頼を受け、すぐに引き受けたという。平川「あの頃の弱り切った日本を元気づけたかった。ラジオを通して、英語を通して」。そして証城寺のリズムで英語の歌を歌った。ひなたは平川のアドバイスをメモする。「急がず 無理せず 自然に 覚えられるだけ 1回1日 新しいこと」

 

一方、神社の拝殿でるいは妄想で稔と並んでいた。るい「お父さんですか?」稔「どこの国とも自由に行き来できる。どこの国の音楽も自由に聴ける。るい。お前はそんな世界を生きとるよ」。現実世界。錠一郎「るい、どないしたん?」るいはバッグから稔の辞書を取り出し、そして言う。「ジョーさん。私、アメリカに行きたい。お母さんを探しにアメリカに行きたい」。