今日は母の日
夫の母は11年前にこの家で亡くなった
最後の一週間はすべての食事をミキサーにかけて
スプーンですすってもらった
ある日呼吸の仕方が突然変わったので
もしかしたら逝ってしまうかもと覚悟した
その時主人はトイレに入っていたので
途中で切り上げて出てくるように言ったが
なかなか出てこなくて
結局最期を看取ったのは私だけだった
最期は息子に手を握ってもろうて逝きたかったんちゃうやろか
それにしても最期のイメージトレーニングって
息子はしないものなのかな
とか考えていたら
「お昼やで」
と一階から夫の声
お昼ごはんはいつも夫が作る
今日はフレンチトーストとサラダ
二人で食べていると息子がトントンと
二階から降りてきて
おもむろに「はい!これ!」
黒い紙袋を差し出た
「母の日?え~っ?ありがとう!」
「お母さんいつもありがとう!」
手を広げてハグしてくれた
私も背中をポンポンと叩いた
あ~幸せの瞬間
「開けてもいい?」
「服やで」
「あっええ色やん。」
「いつ買うてきたん?」
「昨日夕方のレッスン中」
「ほな、お父さんと一緒に?」
「うん」
「どっちが選んだん?」
「ふたりで」
「ほんまぁ。あら、おなかの出てるのを隠せる長さやん」
「そない思て」
はは~ん、デザインを選んだのは夫だな
色はどっちが選んだんやろ
どっちにしても選ぶあいだだけは二人とも
私のことを考えてくれてたんだよね
幸せだなぁ
いい母の日だった
