前回までのおはなし
http://amba.to/UaO8bj 「コースターのアドレス」http://amba.to/UaXOT4 「初めてメールを送った。」メールというやつは、
しかもケータイのメールというやつは、
とかく色んな気をつかう。送るときは特に。
短すぎやしないか、長すぎやしないか。
定型っぽくないか、そうでないか。
まじめすぎないか、くだけすぎてないか。
そんなことをまわりに話すと、
「考えすぎちゃうんw オレなんか読んだらすぐ消すで」とか
「いや。所詮メールっすよ。よくあるパターンが一番っすよ」とか
「それめっちゃわかる」とか・・・
結局、ひとそれぞれで・・・
「いま学校も休みなんで、年末から実家に戻ってきてる。
四国なんだ実家。なんかいまだに大阪慣れなくて。
メールありがとー。めっちゃ嬉しかったよ。」
アケオメに続いて彼女から届いた。
3分と空かず。
実際は、いろぐろの彼女の絵文字、デコ付きで。
「あ。九州なんだ。どうりで関西弁じゃなかったんだ。
てか、関西のひとって、みんなおもしろい。
店にくるひとも、学校のこも。」
「ちがうちがう。そんなことないよ。
でも妙にテンション高かったから、めっちゃ笑った。
あしたは親と成人式の着物みにいくとこ。あさってだったっけ。」
「おはよう。寝てたー。
テレビ見ながらそのまま寝ちゃってた。
いまから初詣に行ってくる。寒そー」
「今日は高校の時のともだちと
カラオケ行ってた。
このメールのやりとりのこと話したら、
お客さんにそんなプライベートなこと
話してだいじょぶって心配された。」
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
結局、仕事始めの日が過ぎても、延々と、
こんなやりとりが続いた。
結構おびただしく。
ごくごく
あたりまえの日常と化していた。
「これって、定型ですって。よくあるレスですよ。」
「いやいや、なこたない。この間隔みてみ。
ほれ。で、次がこれ。な。せやろ。」
「たしかに、オレは2日あととかザラやもんな。」
「それ、金もってない思われてるだけちゃいますのん」
「そんなはなし、どーでもええわ」
「てか、送信側も、見せろや。なんで受信だけなん。」
「ほんまや。オマエの文章も見せろや(笑)」
「で。どーしたいんすか。」
「そやそや。なにをききたいんや(笑)」
ふだんあまりケータイでメールしてることがなかったボクの
年明けからの異変に気付いたまわりの連中が、問い詰めてきた。
で。
すったもんだの末、行きがかり上の流れで、
そのメールをみんなで見て、分析しようということになった。
「で、どーするんすか」
「どーしたらいいと思う?」
「会いたい思うてるんちゃうん?」
「うん、まぁ」
「そんな時間空けん方がええで、こういうときは」
「でもまだ実家におるって書いてたろ」
「大阪いつ戻ってくるか聞けばええやん」
「ま。そやなー」
「店、いついきますのん?」
「あ。それついてこかな」
「店か。やっぱそーだわな」
「あたりまえやん。」
「いっしょに行ってくれる?」
「あ。行きます行きます」
「あほ。ひとりで行くんやないか、こういう時は」
「え?」
「ひとりで行くんや。」
「で。さっと帰ってくる」
「おー」(一同)
「そっか。ひとりでか・・・」
ひとりで行かなアカンのか・・・。
なんかえらい気合い入ったひとみたいやん。
なんか恥ずかしいなあ。
でもなー。
なんか会ったら、
めちゃ楽しいやろーなー。
いろんなこと話そう。
そうしよう。
でもなー。ひとりかー・・・
メールのやりとりは、その後も続き・・・。
明日、大阪に戻ってくる、ってことがわかった、
その日の夜。
その日の夜に、送ることにした。
メールを送ることにした。
どーだろう。
10回くらい書きなおしたと思う。
近いうちに、
お店に行こうと思うこと。
ひとりで行こうと思ってること。
それってやじゃないかってこと。
そんなことを書いて送った。
そしたら、
程なく、
返信があった。
(次回へ続く)
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≪職場の近くの道端より≫