ネタをメモ帳に書く時は縦書きです。
なぜ、縦書きかというと、縦社会で
育ったからです。おじいちゃん、
おばあちゃんが家の中でいちばん偉くて、
わたしは、いちばん下っ端でした。
縦社会が、わたしを縦書きへと導いたのです。
それで、
雨が天から地に降り注ぐように、
わたしも上から下にしたためるように
なったのです。
わたしは、何もかも「縦」です。
男は「横」になったらおしまいです。
横にブラブラは、元気がない証拠です。
やっぱり、縦にブンブンできなければ。
泣く子も黙るブンブンシュート。
それ見たことか!? かわいいあのコも、オレの
もの...
わたしの品性が疑われそうな話は
これぐらいにしまして、日本語は、縦書きが
いちばんです。中国語も縦書きで書きます。
ちなみにに、私が横に書くのは、
英語、フランス語、ドイツ語、
ルクセンブルク語、スワヒリ語、タガログ語、
それにギャラの請求書くらいな
ものです。
やっぱり、これは世代なんでしょうか?
「ディズニーランド」を「デズニーランド」と、
言ってしまう世代は、たしか
50代なかば以上と聞いたことがありますが、
縦書きか横書きかも、その世代で
分かれるのでしょう。そう考えると、
わたしは、やっぱり旧人類なのかもしれません。
さて、考えたネタをどうするのかというと、
まず女房に見せます。ほかに
見せる愛人がいないので、仕方ありません。
なぜ、女房に見せるのかというと、
私より人生を多く歩んでいるからです。
人生の先輩なのです。もっといえば、
私のお客様であるジジ、ババの年齢に
近いので、いちばんいい「サンプル」なのです。
「うん、これはおもしろい」
「う~ん、これはもうひとつかな?」
「う~ん、これは、ひねりすぎで、
わかりにくいかも...?」
「うん」か、「う~ん」のニュアンスの違いで、
合格か、不合格かがわかります。
また、女房が笑えば採用、笑いもせず、
吹き出しもせず、ただ、じっとメモを
見つめているときは不採用です。
わたしの独りよがりで、女房がおもしろいと
思わないネタを使うと、どうなる
でしょう? 働けど働けど、暮らしが楽にならず、
じっと手を見ていた石川啄木
さんのようになってしまうかもしれません。
わたしは、石川啄木さんのような
天才ではありませんから
、愚直に歩むしかないのです。
「わたしが病気になったら、食事は
どうするのよ?」
「大丈夫だよ。外食するから」
「ソウじゃないわよ、私の食事!」
クスっと女房が笑ったら、ネタの
仲間入りです。
「夫婦仲がいいですね」と、言われる
こともありますが、我が家では、ケンカに
ならないんです。女房の邦画、一枚も二枚も
上手投げですから...。
備考:この内容は、
2009-7-27
発行:PHP研究所
著者:綾小路きみまろ
「こんな夫婦に誰がした?
謹んでお慶び申し上げます」
より紹介しました。