早朝、海面から立ち上る「毛嵐」が出る。
湯島では、すべてのネコに
名前がある。
島民は、ネコたちを優しく見守る。
これからのネコとヒトとの付き合い方が
見えた気がした...。
崎津教会のまわりでも、ネコと出会う。
「海月(くらげ)」という寿司屋の
ご主人が下ごしらえをしている。
ネコに優しいご主人。
店の外では、ネコたちが待っている。
【熊本のネコ...岩合光昭】
熊本県天草諸島、湯島。
有明海に浮かぶその島は、
談合島とも呼ばれている。
「天草・しまばらのらん」の際、
天草四郎を大将として、この
島で戦略会議が行われた。
周囲4kmほどの島民と、
230匹ほどのネコが、
暮らしている。
漁港でもある湯島、
定期船が出る江樋戸の港の
待合所にもネコがいた。白サバの
オス。
定期船の船長が優しく
する。船からの湯島を眺めた。
集落は島の南側、海岸沿いに
集中している。漁船が並ぶ
その岸にネコが歩いている。
絵になる光景に胸が高鳴る。
島に降りると、さっそく
ネコが出迎えてくれた。
家の前にも屋根にもネコが
いる。
岸壁を歩く漁師にも、ネコが
ついていく。夕刻、たくさんの
ネコとともに、女性が
歩いている。
島の小中学校の教頭先生。
この島のネコは、すべて
名前がついていて、管理
されていると聞く。
学校にも、ネコがいると聞く。
翌朝、訪れた...。
徒歩15分かかる細い山道を、
教頭先生が軽自動車で、
送迎してくれる。軽でなければ
通れない、崖が迫る道、
彼女の運転技術に感心する。
小学校と中学校が共有する
広い校庭、通用口にネコの
ための小屋が作られている。
校舎の入り口に3匹いた。
三毛の名はパン。
4~5歳。
黒猫のオスは、胸に白い毛がある
ことから「ムナゲ」、3~4歳。
白黒のヒカルは、2歳。
ヒカルが校庭を走り回り、
真ん中でゴロンゴロンする。
こちらに向かって走って
くると、タイヤの上に乗る。小学生が
持久走の練習をしていた。
タイヤぎりぎりに走るが、
まったく気にしない。
校庭の端、
ヒカルのいるタイヤから、
有明の美しい海が望める。
下校の時間、生徒たちが
ネコたちに挨拶をする。
膝に抱えて、時間が許す限り
ともに過ごす中学生もいる。
暮らしの中にネコがいる
島の光景は、目に優しく
心に沁みていく...。
「タケルは他の兄弟より、
大きくて活発なようだ。」
(上天草市・湯島)
備考:この内容は、
2024-1-1
発行:辰巳出版
「ネコびより」
より紹介しました。