「きみまろさん、ネタはいつ考えるんですか?」
とよく聞かれます。
「ネタは、だいたい寝るときです」
と、答えるのですが、これ、けっこうホントです。
ネタは、寝る前に考えることが多いです。
だから、枕元には、常にメモ帳と、
筆記用具が置いてあります。布団に入って、
アッと思うたびに、ガサゴソ起き出して、
メモに書き留めるようにしています。
「アッ、オォ~、ヒッ、ウゥ~ン」
なんて、もがきながら
...
そんなわけ、ありませんよ。
夜中に布団の中で、何をしているかって?
50歳を過ぎた いい親父が、1人
密かにやることといえば、決まっています。
ネタを書いているのです。
ネタと言っても、1行か、2行の思いつきの
言葉ですから、それを、そのまま
皆様に披露するわけではありません。
しばしの熟成が必要です。毎晩毎夜、
ひらめいた言葉を書き留め、それをあっちに
持っていったり、こっちにくっつけたりして、
3分くらいの話を構成していくのです...。
わたしのライブは、だいたい1時間半
ぶっ通しで、しゃべりますから、3分と
いえば、1/30分の、ネタにすぎません。
それでも、3分のネタを完成させるのに、
1週間くらいは、かかります...。
アイデアは朝、起きがけに浮かぶことも
あります。そんなときは、やっぱり
布団の中で、もぞもぞしながら、メモにとります。
つまり、わたしにとっては、深夜と早朝、
布団の中で、モゾモゾ ガサゴソする
のが、「日課」であり、とても重要な
時間なのです。
ほかに、ネタを考えるのは、歩いているとき、
ウォーキングなんて、そんな
しゃれたものではなく、ただ河口湖畔を、
富士山を仰ぎ見つつ、ブラブラ歩いて
いるうちに、不思議といろいろなネタが、
ひらめいて参ります...。
それから、電車に乗っているとき、事務所から
東京駅に行く時とか、テレビ局に
向かうときなど、電車に揺られながら、
フッと思ったことをメモしたり
しています...。
脳科学の世界では、歩くと脳細胞が、
活性化されて、企画のアイデアもよく
浮かぶようになると言いますが、これは、
私も実感しています。
机に向かって、ウンウン悶絶しそうになりながら
脳みそからアイデアを絞り出そうとしても、
限界があるんです。外に出て、自然や街、
人の刺激を受けたほうが、脳は
働くんだなと痛感しております...。
「ネタを考えるのは、苦痛じゃないですか?」
という質問もよく受けます...。
じつは、ステージをやらせていただいて
いるときでも、もちろん楽しいのですが、
こうしてネタを考えている時も、
同じぐらい楽しいのです。夜中に、
「オッ、これはいいな、使えるかも?」とか、
1人ほくそ笑んでいるわたしは、
やっぱり漫談バカだと思います...。
漫談は、わたしにとって、
「仕事であると同時に、
自分が生きている証そのもの...」。
ちょっと真面目に言うと、
そういう存在なのです...。
備考:この内容は、
2009-7-27
発行:PHP研究所
著者:綾小路きみまろ
「こんな夫婦に誰がした?」
より紹介しました。