泣けるシリーズ「あなたともう一度」...その3 | Q太郎のブログ

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パクリもあるけど、多岐にわたって、いい情報もあるので、ぜひ読んでね♥
さかのぼっても読んでみてね♥♥

病院の待合室の写真素材 [34648466] - PIXTA

 

 

 

 それから、どれくらいの時間が経ったのか。

 

涙がすっかり乾いてしまったころ、雪絵に

 

「お母さん」と、肩をたたかれた。

 

 

 

「手術中」のランプが、消えたのだ。

 

ほどなく、オペ室の扉が開き、青い

 

手術着を来た医師が姿を表した。千賀子は、

 

雪絵に支えられながら立ち上がり、2人は医師の

 

方へ、駆け寄っていった。

 

 

 

「手術は、成功しました」

 

 

 

こわばっていた親子の頬が思わずゆるむ。

 

 

 

雪絵も、ふうっと息をついた。しかし、医師の

 

言葉は、それで、終わりではなかった。

 

 

 

「ただ、意識が戻っても、ある程度の後遺症は

 

覚悟しておいてください」

 

 

 

ふっと、医師の顔がぼやける。気がついたら、

 

ヒザから力が抜けて、床に座り込みそうになって

 

いた。

 

 

 

 雪絵が両肩を、しかかり支えてくれる。

 

もしも、1人で、電車を降りなかったら、壮一郎と、

 

一緒に帰宅していたら、救急車に乗って、

 

いるときからの後悔が、また頭をぐるぐると、

 

回りだす...。

 

 

 

 

 

 雪絵には、そのまま、病院にいてもらい、

 

千賀子は、ひとまず帰宅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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今夜は、病院に泊まるとしても、

 

壮一郎の着替えなどを、用意して置かなければ

 

ならない。

 

 

 

 雪絵も頑張っていてくれている

 

のだから、私だってしっかりしなくちゃいけない。

 

千賀子は、なんとか気力を振り絞って荷物をまとめ、

 

病院に戻るため大通りへ出て、タクシーを

 

捕まえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 夜の道は空いていて、信号やネオンは

 

なめらかに、後ろへ流れていく。こちこちにこわばって

 

いた気持ちが、ようやく少しほぐれきた。

 

 

 

気がつけばもう10時を回っている、雪絵もそろそろ

 

帰らなくては、いけないだろう。

 

 

 

「もうすぐ病院に着くからね」

 

と、連絡しておこうかと、千賀子は

 

バッグから携帯電話を、取り出した所で

 

思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スマホを操作しながら泣いている主婦の写真素材 [83015320] - PIXTA

 

 

 

 そういえば、1人で立ち寄ったデパートで、

 

電源を切ったんだった。ほんの数時間前のこと

 

なのに、もう遠い昔のように感じられる。

 

 

 

その後に、待っていた出来事が、また思い出されて、

 

喉元あたりに、じわじわと苦いものが、こみ上げてきた。

 

重い気持ちを引きずったまま、千賀子は、

 

電話の電源ボタンを押す。

 

 

 

 すると、いきなり、オルゴールのような音が

 

車内に鳴り響いた。メールの着信音だ。まさか、

 

壮一郎に、何かあったのだろうか? 千賀子は、

 

少し緊張しながらボタンを操作し、メールを

 

開いてみた、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「さっきは、すまなかった。

 

お前も私も、歳を取ったと言いたかったんだ。

 

速く帰ってこい」

 

 

 

 誰から来たものかは、発信者名を見なくてもわかる。

 

ごつごつした謝罪の言葉が一文字ずつ、

 

ひたひたと胸に染み込んでくる。形にならない

 

ような思いが、大きな雨粒になって、千賀子の

 

心をとめどなく濡らした。

 

 

 

 

夫は、本当に自分を許してくれるのだろうか? 

 

1人で、すねて家へ帰らなかったばかりに、

 

取り返しのつかないまでの時間、タクシーの

 

座席で、小声を●して泣きながら、千賀子は、ひたすら

 

願い続けた...。

 

 

 

 壮一郎さんが、ちゃんと目を覚ましますように。

 

私の方からも「ごめんなさい」が、

 

言えますように...。

 

 

 

 

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備考:この内容は、

2022-1-9

発行:泰文堂

編著:リンダブックス編集部

著者:原案:水森野露

   小説:田中夏代

「99のなみだ 空・

涙が心を癒やす短編小説集」

より紹介しました。

 

 

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