厳密な統計があるわけではないが、
日本では、高校生の段階から、アルバイトをする人が
多い。もちろん、通学しながらなので、放課後や
週末にシフトを組むのが普通だ。
高校生には、専門的な知識が何もないので、
セブン・イレブンやマクドナルド、
ケンタッキー、レストラン、ガソリンスタンド、
物流センターなどの場所で肉体労働をすることに
なる。平均時給は、750円くらいだろう...。
アルバイトの目的は、単に、おこづかいのため、
学費・生活費を稼ぐためと言うように、
単純明快なのである。
ただ客観的に見て、彼らはアルバイトを通して、
お金を稼ぐこと以外にも、多くのことを
学んでいる。
たとえば、仕事の現場では、必ず
お客さまと接する。その時に、
「いらっしゃいませ」
「またどうぞ、お越しくださいませ」
と、ホスピタリティにあふれた声を出すことは、当然
として、メニュー・材料・カロリーなどを説明し、
そして、お客さまに困ったことがあれば、
進んで手を、伸ばさなければならない。
彼らが、16歳から、18歳までの間に経験する
こういった仕事は、バラエティーに富んでいる。
決して、単純な肉体労働ではないし、お客様に
心地良さを提供すればいいと、言うものでも
ない。
様々な人々と接することで、他人との
交流の図り方や、コミュニケーションが
学べるものなのだ。
このように、日本の学生がしているアルバイトは、
「お金を稼ぐ」と言う直接的な目的を達するだけ
ではなく、「コミュニケーション能力」も
高めることができるので、
一石二鳥のものである。
なにより、こうした社会勉強は、同級生との
交流とは違って、お金を払ってくれるお客様に、
失礼があってはならないから、自分の
応対に責任が求められる。
極めて合理的な
社会勉強なのだ...。
備考:この内容は、
2011-3-20
発行:ディスカヴァー・
トゥエンティワン
著者:加藤嘉一
「中国人は本当にそんなに
日本人が嫌いなのか」
より紹介しました。