映画という、メディアを誰よりも、
自在に操る、世界の頂点に君臨
するスーパー・ディレクター。
手掛ける作品を、ことごとくヒットさせ
てきたので、監督作の表現的な
制限がゆるく、また、自身が、どんな
ジャンルでもこなすゆえ、SF
作品も少なくない。
スピルバーグのSF映画の特徴
としては、たとえば、『未知との遭遇』
(77年)、『E.T.』(82年)
『宇宙戦争』(05年)のように、宇宙
人との遭遇うや、侵略といった大状況
下において、個人や家族を描く
スタイルが、真っ先に思いつく・・・。
そして、これら”宇宙人部作”は、
最終的に、友好がテーマであっても、
どれも、登場までの、シークエンスが
ホラーのように、やたらと怖い
(08年 『インディ・ジョーンズ/
クリスタル・スカルの王国』の宇宙人
は、ルーカスのアイディアなので、
これは含まず)。
恐怖演出と言えば、『ジュラシック・
パーク』(93年)では、
生態が完全に解き明かされていない
恐竜を、「ナショナル・ジオグラフィック』
の動物ドキュメンタリーの
ような生物的リアリティで演出
しており、人間をエサとして、捕食する
Tレックスや、ヴェロキラブトルの
シーンは、恐竜パーク映画だと
思ってタカをくくって観ていると、
思いっきりドン引きする。
未来像を描いたものとしては、
『A・I』(01年)と、『マイノリティ
・リポート』(02年)があるが、
前者は、故スタンリー・キューブリック
監督の、衣鉢を継いで監督
したため、ダサめのプロダクション
デザインもキューブリックの企画を
踏襲。おかげで、あまりSF
センスがないのでは? と、疑われたが、
一転、後者では、タッチパネルや、
壁面広告など、現実と蜜にリンクした、
未来像を披露して、誤解を解いた。
でも、1番評価されたのは、
相手にぶつけて、嘔吐を催させる
「ゲロ棒」だったけど・・・。
備考:この内容は、
2012-8-21
発行:(株)洋泉社
「洋泉社MOOK 映画秘宝EX
映画の必修科目03
~異次元SF映画100~」
より紹介しました・・・。