気がつくと海の中 匿名希望
3月の初めころ、飲み会の帰り、記憶を亡くした。
気がつくと海の中だった。
水の冷たさで意識が戻った。港の岸壁から落ちたらしい。
慌てて壁につかまると、牡蠣だらけだったので、、手が傷だらけになって、
爪がボロボロになった。階段があるところまでなんとか泳ぎ着き、陸に上がったが、
自分がどこにいるのかが
わからない。港は、同じような建物がいくつもあるし、酔っぱらってるので、
びしょぬれのまま2時間も、同じところをぐるぐる回っていた。
家に着いた時は、体はすっかり冷え切り、がたがたと震えて毛布にくるまって寝た。
起きたらシーツに血が付いていた。牡蠣で切った傷の血だった。
6万円入っていた財布は、海の中に落としたようだ。
ペンや箸を持つたびに牡蠣で切れた傷が開いて血が出るので、みんなに笑われた。
死ぬかと思った・・・。
備考:この内容は2009年8月20日発行 アスペクト
林雄二著 「死ぬかと思った 4」より紹介しました。