我が家で作った昔の料理、今回は江戸時代の料理本「素人包丁」(文化2年 1805年刊)に紹介されている料理「玉子いりだし」だ。
今風にいえば「ポーチドエッグ」の「酢を入れたお湯」の代わりに「油」で加熱するもので、フランス料理の「Oeufs Frits(ウ・フリ)」にあたる。
「素人包丁」は、家庭での日常の料理や来客があったときの献立を紹介した本ということなのだが、この料理に関していえば、家庭で普通に作られる料理だったとは思えない。
火事の多かった江戸の一般家庭で油を使う料理をすることはあまりなかったと思われるし、庶民にとって油はかなり高価なものであったはずなのだから。
これは「煎り酒」を使った料理だ。
熱した揚げ油に、割った卵を流し入れ、卵白を卵黄に着せかけながら、卵黄が半熟になるまで揚げる。煎り酒を回しかけて食べる。
煎り酒について詳しくは
https://ameblo.jp/qpkokko71922/entry-12534872046.html
<材料>
卵
揚げ油
山葵
煎り酒
<作り方>
① 170度に熱した油に、器に割入れた卵を鍋肌に沿ってそっと流し込む。
② 箸で白身を黄身にかぶせるように着せかけながらきつね色の半熟状態になるまで揚げる(2分くらい)。
③ 揚げ網ですくってキッチンペーパーなどの上に置き、油を切る。
④ 器に盛り、山葵を載せ、煎り酒をかける。
江戸時代の百珍本の一つ「万宝料理秘密箱 前篇(通称『卵百珍』)」(天明5年 1785年刊)にはいまの「ポーチドエッグ」風の料理が載っている。
「磯菜卵」は、「玉子いりだし」の油を湯に替えたような料理。煎り酒か山葵醤油ともみ海苔を添えて出す。
「卵潮煮」という料理は、ポーチドエッグを温めた酒に少し漬け、その後、器にとって上から昆布だしをかけたものだ。
「昔の料理レシピ備忘録」のリストは
https://ameblo.jp/qpkokko71922/theme-10110748529.html