なんとなく最近のサステナブル論議には疑問を持つ  | 広田鉄磨のブログ

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下位構造であるべきツールが ツールとしての位置を離れ 上に上がってきて 目的化しているという現象を生んではいけません

 

ツールはツールであって 目的達成のためには ツールをうまく使い分けることが必要です。ツールと目的の逆転が起きているというのは悲劇を生みます

 

例えば レジ袋反対という その目的は何なのか? レジ袋のほうがマイバッグより環境負荷は低い(LCAすれば明白です)、もちろん一回しか使えない(使ったら破れてしまう)紙袋よりも 環境負荷は低い。

 

脱プラこそ目的であるなら プラスティックのリユース食器は使ってはいけない。 リユースであれば CO2削減に効果的と 今度は CO2削減のほうに目的が置き換えられているのは矛盾でしかない。本当に CO2削減を目的としたいのであれば LCAからは プラスティック食器ではなく 陶器やガラスを使用しないといけない。一年に一回しか出番がなくても プラ容器は 10年もすれば 劣化して 黄変して 廃棄処分となる。陶器ならば 何十年でも繰り返し使用できる

 

食器洗いの洗剤は 石鹸でないといけないらしい。 確かに 河川など 淡水生態系への負荷は減るのだが CO2削減という目的の下では 石鹸は決して合成洗剤より環境負荷が低いとは言えない。まして 前に紹介したように 石鹸業界といえ 洗浄力を確保するには 純粋な油脂を使わないと無理 そうなるとパーム農園の拡大となり 地球全体でのCO2固定能は落ちてしまう、更には 象など絶滅危惧種の生存もあやうくし グローバルな生態系全体には 非常にネガティブな影響を与えかねない。合成洗剤というと 非常に特殊な印象を与えるかもしれないが 石鹸だって 化学を学んだものからいえば 合成洗剤以外の何物でもない。

 

有機栽培を奨励する、しかし それに使用する たい肥の製造方法には 疑問を挟まない。たい肥の製造には メタン生成が伴い メタンはCO2の10倍ほどの温室効果ガス。CO2を含むすべての温室効果ガス削減が目的であれば たい肥製造は密閉した部屋で行い 発生するメタンを集めて燃料化しないといけない。

 

まず 脱プラなのか、CO2削減なのか、温室効果ガス削減なのか、狭い地域の生態系保護なのか、グローバルな生態系保護なのか 何を目的とするのかをはっきりさせないといけない。サステナブルというのは聞こえがいい、 しかし サステナブルを実現するには 上記のいずれかを明確な目的としないと機能しません。耳にやさしい言葉を集めているだけでは サステナブルという巨大な壁を上ることはできないのです