定期的に郵送されてくる冊子の特集に「妊婦・授乳婦の質問に答える」という特集があり、とてもためになるので記載します。
①妊娠期の質問
Q1:妊娠中に『抗インフルエンザ薬』は使用できますか?
A1:妊婦さんがインフルエンザに感染してしまうと、【重症化】しやすく、「気管支炎」や「肺炎」などの合併の恐れがあります。
使用可能薬剤(商品名)は【リレンザ】【イナビル】【タミフル】です。
発症後、36~48時間以内の使用が望ましいとされています。
予防接種や手洗いなどを心がけ、万が一の時は早めの受診を!
Q2:『湿布薬』の使用は、胎児に影響はないのですか?
A2:『湿布薬』などの【外用薬】は、胎児の血中に移行する量は【ごくわずか】と考えられています。
しかし、「ケトプロフェン」などの【NSAIDs貼付剤】の「漠然とした使用」は避けたほうがいいでしょう。(通常量の使用であれば胎児への影響は少ないと考えられています。)
Q3:アトピー性皮膚炎で『ステロイド外用剤』を使用しています。
妊娠中に使用しても大丈夫?
A3:一般的な臨床使用量、使用方法であれば、妊娠自体や胎児への影響はありません。
ただし、【自己判断で中止】すると症状を【悪化】させてしまうことがあるため、必ず医師・薬剤師に相談するようにしましょう。
Q4:便秘のため、『便秘薬』を服用したいのですが。
A4:妊娠期の便秘の大部分は【機能性便秘】です。
食事療法や運動などを行っても症状が改善されない場合、薬物療法の適応となります。
薬物療法での第一選択薬は『塩類下剤(酸化マグネシウムなど)』です。
それでも効果がない場合は『大腸刺激性下剤(ピコスルファートナトリウム・ビサコジル・センナ・センノシド)』です。
必要以上の使用は大変危険ですが、通常量であれば必要以上に心配しなくても大丈夫です。
Q5:花粉症で『点鼻薬』『点眼薬』を処方されたのですが、胎児に影響はありませんか?
A5:花粉症で使用される『点鼻薬』『点眼薬』は全身への移行量はわずかで、胎児への影響はほとんどないと考えられています。
②授乳期の質問
Q6:風邪をひきました。『市販の風邪薬(OTC)』を飲んでも大丈夫ですか?
Q6:まずは【医療機関を受診】しましょう。
多くの『OTC』は、通常量を短期間使用する場合は授乳中の乳児には影響が少ないとされています。
しかし、鎮咳作用のある『リン酸コデイン』は母乳への移行により乳児で【モルヒネ中毒】が生じたとの報告があるため、注意が必要です。
また、『OTC』の多くは、製品ごとに【構成成分や比率が異なる】ため、確かめずに使用すると危険です。
どうしても受診できないなどの場合でも、『OTC』を使用する前には必ず医師・薬剤師に相談しましょう。
なお、通常量であれば授乳中に安全に使用できると考えられている『解熱鎮痛剤』は以下の通りです。
A:カロナール(アセトアミノフェン)
B:ブルフェン(イブプロフェン)
C:インテバン(インドメタシン)
D:ボルタレン(ジクロフェナク)
E:ロキソニン(ロキソプロフェン)
Q7:授乳中でも服用できる『花粉症治療薬』はありますか?
A7:授乳中でも安全に使用できる『花粉症治療薬』は以下の通りです。
A:デザレックス(デスロラタジン)
B:アレグラ(フェキソフェナジン)
C:クラリチン(ロラタジン)
Q8:虫歯の治療で『抗生剤』を処方されました。服用しても大丈夫?
A8:『抗生剤』を使用する場合、【乳児の観察を行いながら安全性の高い薬剤を選択】します。
特に『ペニシリン系』『セフェム系』は、乳幼児の治療にも使用される薬剤で母乳から乳児に移行する量も少ない薬剤のため、安全に使用できると考えられています。
Q9:授乳中に『緑内障治療用点眼薬』は使用できますか?
A9:緑内障治療用点眼薬の第一選択薬は『プロスタグランジン関連薬』や『β遮断薬』となっています。
これら点眼薬の乳汁中への移行量は少なく、乳児に有害作用が生じたという報告はありませんので、問題が生じることはないと考えられています。
③その他の質問
Q10:妊娠中の『胸部エックス線検査』は胎児には影響はないの?
A10:健康診断における『胸部エックス線検査』や歯科の『エックス線検査』の被ばく量はごくわずかです。
一般的な診断用の放射線検査では、胎児に影響を与える被ばく量になることは通常ありません。(全期間を通じて【100mGy未満であれば影響はない】とされています。)
Q11:『授乳中に、特に使用は適さないと考えられている薬剤』はありますか?
A11:以下の通りです。
A:アンカロン(アミオダロン、抗不整脈薬)
B:コカイン(コカイン、麻薬)
C:ヨードカプセル-123(ヨウ化ナトリウム(123I)、放射性ヨウ素)
D:ヨウ化ナトリウムカプセル(ヨウ化ナトリウム(131I)、放射性ヨウ素)
参考資料:クレデンシャル 2018/No.123
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