血圧の単位と言えば『mmHg(水銀柱ミリメートル)』です。
現在、家庭血圧の正常値は、最高血圧が「135mmHg未満」、最低血圧が「85mmHg未満」となっており、診察室血圧の正常値は、最高血圧が「140 mmHg未満」、最低血圧が「90 mmHg未満」となっています。(後期高齢者や糖尿病患者、タンパク尿のある慢性腎臓病患者は数値が変わります。)
さて、血圧を計るのに何故「水銀(Hg)」が関係するのでしょうか?
昔は「水銀血圧計」というものが一般家庭にもありました。だから「水銀」が関係するんじゃん!と思っている方も多いでしょうが、ではなぜ毒性の強い「水銀」をあえて使用しているのでしょうか?
『mmHg』の最初の「mm(ミリメートル)」は長さの単位、そしてそれに続く「Hg」は水銀の元素記号となります。(「Hg」は、ラテン語の「hydrargyrum」に由来し、「hydr」部分が「水」を、「argyrum」部分が「銀」を表す単語です。別名「生きている銀」「汞(みづがね)」とも言います。)
そして、この「水銀」は金属でありながら「液体」の性質を持ち、常温、常圧で凝固しない唯一の金属元素なのです。凝固しないということは、常に正確な数値を計ることができるということです。
しかも、「水銀」は比重が大きいため、非常にコンパクトになり使いやすいからです。
比重とは、水より軽いか重いかという「水の重さと比較した比率」のことで、比重が1よりも大きい物質は水に沈み、1よりも小さい物質は水に浮きます。体積が同じで重さが水の倍あれば、比重は2となります。
『水銀』の比重は0℃で「13.5951」、20℃で「13.5459」であり、「水」の約13.6倍と、とても大きいことが分かります。
比重が大きいとなぜ使いやすいのかと言うと、もし「水銀」ではなく「水」を使った場合、「水」は比重が軽いので水銀より「かなり長いガラス管」が必要となるためで、機器をコンパクトにするには「水」より「水銀」のほうがいいためです。
1気圧(約1013hPa)とつりあうには、「水」だと「10m(テニスコートの幅くらい)」近くの高さが必要になるのに対し、「水銀」では「760mm(76cm)(30㎝定規2本と半分くらい)」くらいの高さになります。もし、「水血圧計」というものが存在するのであれば、どえらい高さになり持ち運ぶのにも大変だし、メモリを読むのにも脚立では足りません。
ですので、「水銀血圧計」は「水銀(Hg)」を細い管に入れた時にどのくらいの「高さ(mm)」になってつりあうかという単位『mmHg』を使い、血圧の単位はこの『mmHg』となるのです。
「水銀血圧計」は圧力が加わるとタンクに入っている「水銀」が押し出され、メモリの付いたガラス管(水銀柱)に移動する仕組みを利用しています。
「水銀血圧計」で血圧を測る場合、ゴム球の排気バルブをゆるめ減圧し、水銀が下がってきて血管音が聴こえはじめたところが「最高血圧(心臓の収縮期の血圧)」、だんだんと小さくなってゆき最後に聴こえなくなったところが「最低血圧(心臓の拡張期の血圧)」となります。
現在、電子機器の発展により「水銀血圧計」を使う機会が少なくなっている、また『mmHg』は非SI単位で実は国際的な単位ではないため、この単位を使い続けるかどうかは微妙な時期になっています。将来的には「Pa(パスカル)」「Torr(トル)」が使われるのではないかと思われます。(ちなみに1 mmHg =133.32236842 Pa、1 mmHg=1 Torrです。「Torr」のほうが使いやすい!)
参考資料:
クレデンシャル 2019/No.124
参考URL:
https://blogs.yahoo.co.jp/ito_pharmacy/69903410.html (『血圧』を正しく測ろう!)
https://blogs.yahoo.co.jp/ito_pharmacy/69107023.html (血圧(高血圧と低血圧について))