皆さま
稲荷信仰は明治の神仏分離以前は、神仏習合の信仰として長い歴史を持っていました。
今では、神社と寺院に分かれていますが、仏教系稲荷としては西日本有数の寺院が岡山県にある最上稲荷です。
よろしくお付き合いくださいませ。
最上稲荷(妙教寺)
所在地:岡山県岡山市高松稲荷712
本尊:最上位経王大菩薩
縁起:最上稲荷(さいじょういなり)は、岡山県にある仏教稲荷で、JR吉備線の備中高松駅や岡山自動車道の岡山総社インターから近い場所にあります。その起源は約1200年前にさかのぼり、開祖は報恩大師(ほうおんだいし)です。報恩大師は、752年に孝謙天皇の病気治癒を祈願している際に、白狐に乗った「最上位経王大菩薩(さいじょういきょうおうだいぼさつ)」を感得し、これを祀ることで天皇の病気を治したと伝えられています。
785年には桓武天皇の病気回復の祈願も行い、天皇の信頼を得て堂宇を建設し「龍王山神宮寺(りゅうおうざんじんぐうじ)」と名付けました。この寺は備前・備中で初の道場として繁栄しましたが、戦国時代に戦乱で多くの建物や記録が失われました。しかし、本尊だけは無事で、1601年に花房家によって再建され、「稲荷山妙教寺(いなりさんみょうきょうじ)」と改名されました。
昭和29年(1954年)には「最上稲荷教(さいじょういなりきょう)」として宗教法人となり、現在も多くの信仰を集めています。最上稲荷は伏見・豊川と並ぶ日本三大稲荷の一つとして知られています。
地元の人で最上稲荷を知らない人はいません。初詣のときには、数十万人規模での参詣客であふれかえります。
最上稲荷のランドマークになる大鳥居
その向こうに見える山がご神体山の龍王山
最上稲荷は私たちにとても深いご縁のある霊地です。初めて行ったときから、とても惹かれるものを感じ、以来ご縁があって何度もお参りに行きました。
仕事の問題だけでなく、ピンチや個人的な悩み事があったときには、四国からそんなには遠くはないので、お頼みしに行きます。
すると、いつも的確なアドバイスをいただき、しかもすぐに願ったとおりの結果を出してもらえます。
最上稲荷の新本殿である霊光院
現世利益という点では、ここほど即効性のある場所を私たちは知りません。それが具体的な願望であればあるほど実現するのです。
もちろん、その前提として、深い稲荷信仰を持っていることが重要であることは言うまでもありません。どこかに疑いの念があれば、想いは通じないのです。
妙教寺の僧侶は、とても激しい修行をしています。しつけも厳しく、立ち居振る舞いはすばらしく、しかも丁寧な方ばかりです。ここの祈祷の迫力は正直言って素晴らしいの一言に尽きます。
邪気、邪念がいっぺんに吹き飛んでしまうくらいの「拝む力」を持っている僧侶がそれだけ多いと言うことになります。たとえ、一枚のお札でも渾身の力を振り絞って、大勢の僧侶がご祈祷して下さいます。仏教と神道の違いはありますが、祈祷に対する姿勢は、私たちも見習うべき点がいっぱいあると感じます。
最上稲荷では最上三神といって三体の仏様をご本尊にしています。最上位経王大菩薩 (さいじょういきょうおうだいぼさつ)、八大龍王、三面大黒尊天(大黒天+弁財天+毘沙門天の三面を持つ仏)です。
ご本尊のイメージは、白狐の上に天女が乗っているもので、これは日本における典型的な荼枳尼天のイメージです。
本殿の正面写真 最上三神が祀られている
私たちは旧本殿で、線香をたてながら、周囲にある七十七天王(眷属)のお宮一社ずつお参りをしていきます。最後に旧本殿で祈りを捧げ、最上さまの「お言葉」をいただくようにしています。
旧本殿
旧本殿の周りを取り囲んでいるのが七十七天王社です。ここでいう天王とは眷族のことです。最上稲荷のお使いである七十七体の眷族のお社がずらり並んでいます。それぞれの社に鳥居も建っていて、神仏習合のスタイルを今にも伝えるところです。
七十七天王社
それぞれ鳥居も建っており、神仏習合の名残を残している。
最上稲荷のお使いをかたどったお狐様の置物は、多くが褐色。白狐の置物もところどころ見つけることはできます。
最上稲荷の狛狐は褐色
私たちの場合、巡礼先では、眷族とも「話」をします。眷族とのコミュニケーションを大切にしています。社寺によって、同じ社寺でも、それぞれの個性があります。
動物霊と毛嫌いされる人もいらっしゃいますが、眷族にも色々な種類があります。
その役目は、人間と神仏の間を取り持ち、仲介するものなのです。眷族とスムーズにやりとりができるようになると、やがて神仏とのコミュニケーションもスムーズにできるようになります。
眷族は巡礼先と、私たちの祈祷所を結ぶホットラインにもなり、自宅にいながら、巡礼先の現場にいるように情報のやりとりもできるようになります。
稲荷信仰においては、神系の人は神道の稲荷、仏系の人は仏教の稲荷を拝めば良いです。稲荷神には微妙な相性問題がありますから、自分に合ったお稲荷様にお参りされることをお勧めします。
参考文献
(1) 五来 重(監修)「稲荷信仰の研究」山陽新聞社,1985
巫師麗月チャンネル
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