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リモート ビューイング(遠隔透視)は、1960 年代後半に登場した超感覚的知覚(ESP)の実験的な形態で、適切な訓練を受けた人が瞑想状態で遠くの景色の地形を視覚化しようとする研究がその始まりでした。
アメリカの3つの科学グループによってかなりの成功が実証されており、そのうちの1 つは、情報収集の目的でアメリカ政府機関から長年資金提供を受けていました。
しかし、公にはリモートビューイングは成果無しとして、この国家プロジェクトは打ち切られています。
今回は、超能力研究の中でもかなり実績のあったリモートビューイングの研究と、その応用に関するアメリカの研究の動向について検討したいと思います。
よろしくお付き合いくださいませ。
リモートビューイングとは?
リモート ビューイング(遠隔透視)とは、ある人物、場所、物体、または出来事について、時間や空間、またはその両方によって隔てられているために通常は知り得ない情報を、個人が詳しく提供するよう求められる一連の非局所的意識( non-local consciouness )に関する手順の専門用語です。
つまり、感覚器官や物理的観測装置を使わずに、現在、過去、未来の人、場所、モノおよび出来事を「意識」を通じて認知することです。
このような現象を、超心理学では超感覚的知覚(変則的認知)と呼んでいますが、何も特別な現象ではなく、一般の人でも「直観」という形で分かることもあります。
巫師の場合は、これを極度の精神集中状態に誘導することで、意図的に行うことが可能です。それを「霊視」や「透視」と呼ぶことがあります。
これを拡張すれば、モノを触っただけで、それを以前に使った人物について分かるとか、現場に行っただけで、その場所で過去起こった出来事が鮮明なイメージとして浮かび上がってくると言ったサイコメトリーの能力にも通じます。
遠隔透視に関する研究は個人の研究者によって数多く行われてきましたが、組織的な研究活動はアメリカのスタンフォード研究所(SRI⇒後のSAIC⇒ さらにLFR)、プリンストン大学のプリンストン異常工学研究所 (PEAR⇒ 後のICRL)、ロサンゼルスのモービウス研究所という 3つの主要な研究所で行われてきました。
実験の典型的な手続きの例をあげると、実験者が被験者に以下のような教示を行います。
「明日の午後4時にターゲット画像をお見せします。それは地球上のどこかの場所です。その場所の様子について、今、できるだけ詳しく説明していただけますか? ターゲットが何なのかは私も誰にもわかりません。明日の午後3時59分にコンピューターによってランダムに選択されます。」
これが予知に関する三重盲検法の手続きの例です。実験データが収集された時点では、ターゲットは選択されておらず、それが何であるかは誰にもわかりませんでした。
PEARとSRI は、リモートビューイング研究の成功に用いられる非局所的意識が、まず存在することが証明されなければならないということから始まりました。
これに対し、モービウスの創設者であるステファン・シュワルツは、5年間にわたり超心理学の文献を詳細に研究し、また、これまでに集められたリモートビューイングデータの中で最大のもの、すなわち、エドガー ケイシーのリーディングを研究した後、研究室を設立しました。
シュワルツは1968年に遠隔視と名付けた実験を始め、モービウスが設立された 1976 年までに、非局所的意識の実在性は解決済みの問題であるとしました。
彼は、非局所的意識にアクセスするプロセスがどのように機能するか、そして、それにアクセスすることで何か有用なことが達成できるかどうかを中心に研究を進めたのです。
このため、モービウスの研究室での作業は、心理学的問題、研究者と実験参加者との関係性、そしてそれを最適化する方法に着目した研究に集中しました。
要するに、研究に関与している人間の意識状態によって、正確な情報が得られる場合と、何も起こらない、あるいは偶然レベルの的中率しか出ない場合があることが超能力研究では知られています。
公刊された研究結果の評価
3つの研究所で行われたリモートビューイング実験の結果は、長年にわたって驚くべき一貫性を示しています。客観的に評価できるデータの約75%が正しいことが証明されています。
結果を要約すると、次のことが明らかになりました。
1. 被験者が対象物を説明する「自由応答型」遠隔視覚実験は、被験者にいくつかの選択肢の中から正解と思うものを選ばせるよう求める「強制選択型」実験よりもはるかに成功した。
2. 事前に好成績を示した者だけを選抜した被験者グループが、選抜されなかった被験者の成績をはるかに上回っていた。選ばれた被験者が、さまざまな実験手順の下で一貫して他の被験者よりも優れた成績を収めたという事実は、実験結果の再現性を担保するもの。もし実験の方法に問題があるなら、選抜された被験者と選抜されなかった被験者との間には成績に差が出ないはず。
3. 事前のテストを希望した人の約1パーセントが一貫して遠隔透視に成功したことがわかった。これは、遠隔透視は運動能力や音楽の才能と同様に、一種の「能力」であることを示している。
4. 練習も訓練方法も、遠隔透視能力の向上に一貫して効果を発揮しなかった。優れた遠隔透視者を見つけるのは訓練するよりも簡単である。
5. フィードバック(事後に被験者に正しい答えを示すこと)は成績を向上させる可能性のある心理的な後押しになる。
6. ターゲットと被験者の間の物理的距離は、遠隔透視の品質に影響を与えない。
7. 電磁シールドは実験成績を阻害しない。
8. 被験者が説明をした後に対象を選択すると、予知が成功しやすい。
9. 「念力」すなわち精神的な手段による環境との物理的な相互作用を裏付ける証拠はない。
1995 年、米国議会は、非営利シンクタンクであるアメリカ研究所 (AIR) に、米国政府が以前資金提供した研究における遠隔透視の実在性を評価するよう委託しました。
議会への報告書の作成に携わった非局所的知覚のデータ解析を専門とする研究者、ジェシカ・アッツによれば
- 他の科学分野に適用される基準を用いると、超能力の働きは十分に確立されているという結論が下される。
- 調査された研究の統計結果は、偶然に予想される結果をはるかに超えている。
- これらの結果は実験の方法論的欠陥によるものであるという主張は、完全に反駁されている。
- 同様の規模の効果は、世界中の多くの研究室で再現されている。
- このような一貫性は、欠陥や詐欺の主張では簡単に説明できない。
リモートビューイングの諜報活動への応用研究
1995年7月に、CIAが1970年代にスタンフォード研究所で、リモートビューイングのような現象が諜報活動に役立つかどうかを調査するプログラムを後援していたことを明らかにする文書が機密解除されました。
これにより超心理学的現象(サイ現象)の調査に諜報機関が20年以上関与していたことが一般に明らかになりました。
この極秘計画をスターゲイト計画と呼びます。
スターゲイト計画は、アメリカ陸軍で超極秘計画に付されたコードネームであり、軍事作戦に遠隔透視能力を使用するものです。1995年にこのプロジェクトはCIAに移管され、「成果無し」と総括された上で終結しました。
スターゲイト計画は、当初のコード名「グリルフレイム」と呼ばれ、1972 年~1995 年にかけて約 2,500 万ドル(40億円弱)の国家予算が投入されました。
第1段階は被験者になる人物のテスト、採用およびトレーニングで構成され、その間にアメリカ国防総省に印象的な予備結果が共有されました。
1978 年以降、この研究グループは政府機関のクライアント向けに遠隔透視の運用に従事しました。
関係する政府機関には、CIA と連邦捜査局 (FBI) のほか、国防情報局(DIA)、シークレット サービス、空軍情報局、国家安全保障局(NSA)、陸軍情報保安司令部、米国沿岸警備隊、麻薬取締局が含まれていました。
実験に参加した人物には、陸軍士官だったジョー・マクモニーグル、写真家のヘラ・ハミッド、画家のインゴ・スワン、そして警察の仕事で日常的に超能力を使用していたパット・プライスがいました。
蛇足ですが、ジョー・マクモニーグルは「FBI超能力捜査官」などという肩書きで日本のTVにもよく出演していましたが、実際のキャリアは陸軍の軍人です。スターゲイト計画には被験者番号001として登録され、非常に良い成績を収めた「遠隔透視能力者」です。
いつもながら、日本のマスコミの浅はかさがよく表れています。
彼の透視については、別の機会にお話しする予定です。
さて、1973 年に行われたこの計画の最初のテストでは、CIA のエージェントが被験者に緯度と経度の座標を送信し、そこに何があるか説明を求めるものでした。
スワンとプライスは、透視のターゲット地点がバージニア州にある極秘の暗号レーダー盗聴サイトであると説明し、ファイル上のコードネームまで特定しました。彼らのコメントの極めて正確な内容が、CIA の調査のきっかけとなりました。
1974年、CIAは、被験者が「ソ連の非常に興味深い場所」を特定し、その座標を提供すれば、計画に資金を提供すると約束しました。
プライスは、衛星写真の情報とよく一致するガントリークレーンやその他の物体を描きました。
機密解除されたレポートには、旧ソ連のセミパラチンスクにあった軍事施設の遠隔透視実験の結果も載っています。この実験は成功と判定されました。
参考文献:H. E. Puthoff 1996 CIA-Initiated Remote Viewing Program
at Stanford Research Institute. Journal of Scientijc Exploration, Vol. 10, No. 1, Pp. 63-76.
スターゲート計画に従事した被験者プライスが描いた軍事施設のレイアウト
スターゲート計画に従事した被験者プライスが描いたクレーンのスケッチ
衛星写真に基づく実際のターゲット
衛星写真に基づくクレーンの描画(拡大)
アメリカ議会は、シンクタンクに諮問して、スターゲイト計画の継続の可否についての報告を求めました。
ところが、The American Institutes for Research(AIR)が1995年に報告したリモートビューイング・プログラムの総括的評価については、否定的な結論が提示されています。
前述の観察は、諜報機関内での計画の継続に反対する抗えない主張を提供している。たとえ統計的に有意な効果が実験室で観察されたとしても、遠隔透視という超常現象の存在が証明されたかどうかは依然として不明である。実験室での研究は、現象の発生源や起源に関する証拠を提供しておらず、また、彼らは、実験結果の判定の信頼性という重要な方法論的な問題に取り組んでいない。
さらに、たとえ超常現象が実験室に存在する条件下で発生することを明確に証明できたとしても、これらの条件は情報収集活動への適用性と有用性を制限する。たとえば、遠隔透視のターゲットの性質は、遠隔透視者に要求される特定のタスクと同様に、大きく異なっている。最も重要なことは、リモートビューイングによって提供される情報はあいまいであるため、実用的なインテリジェンスに必要な品質と正確性を備えた情報を得ることが不可能ではないにしても、この技術では困難であるということである。ゆえに、われわれは情報収集活動においてリモートビューイングを継続的に利用することは保証されないと結論づける。(The American Institutes for Research 1995 An Evaluation of the Remote Vewing Program: Research and Operational Applications より翻訳)
スターゲイト計画に関するwikiの解説によれば、なぜこの計画が中止されたかについて説明しています。
この評価は1987年にNRC(国立研究審議会)によって10年前に提出されたレポート(NRCレポート)が基になっており、「超心理学現象は30年間も研究されたが、科学的な正当性は何も得られなかった」と結論付けられている。このNRCレポートには「作成された経緯が中立的なものではない」という批判も出ている。
またCIAが下した評価については「スターゲート・プロジェクトが過去に出した肯定的な提出書」はどれも参照されず「極度に否定的な論調のNRC報告」のみが参照されている事や、「限定的な実験データから短絡的に結論を導いている」と批判する者もいる。一方でスパイ衛星などの技術が高まる中、スパイ技術としての遠隔視に実用性を認めなかったのは現実的であるとする見方もある。
このように、国家レベルになるととたんに、研究の評価が否定的になってしまうのは、背後に政治的な理由があるからです。
冷戦時代、アメリカはロシア(旧ソ連)をはじめとする共産圏諸国に比べて、超常現象に関する研究が遅れていることに対する焦りもあったようです。
そこで、秘密裏にアメリカ政府はサイ現象に関する資金援助を主要な研究機関に行い、基礎データを蓄積したわけです。
遠隔透視については、既に述べたように肯定的な結果が多く得られていますが、これを公式に認めてしまうと、従来の諜報活動の方法、たとえば軍事偵察衛星を使わなくても、たいしたコストもかけずに目標地点の状況を「透視」できるようになる可能性も出てきます。
これに対しては、航空宇宙産業の利権を脅かす可能性も出てくるわけで、アメリカの軍産複合体から見れば、既得権益の喪失につながるという政治的な思惑も働いたのではないでしょうか。
この辺の裏話は、学研のムーにお任せしたいと思います。
おわりに
私たちは政治的な問題には深入りしない立場ですけど、アメリカなどは超能力やUAP=UFOについても色々と情報を収集しており、少なくとも実用可能かどうかが確定するまでは、「とりあえず探求して、試してみよう」というフロンティアスピリットがあるように感じます。
かりに、公式に認められなくても民間レベルでの研究は自由にできる風土もあるわけで、この辺の懐の深さというか、自由さはさすがだと感心せざるを得ません。
先端分野に対する基礎研究に巨額の資金を投入して、何度失敗しても追求していく姿勢は大事だと思うわけです。
スペースX社のスターシップの打ち上げ試験が失敗しても、イーロン・マスクや従業員たちが大喜びしている様子を動画サイトで見ましたけど、日本ならロケットの打ち上げに失敗したら、みなショボンとして悲壮感を漂わせながら、釈明とか謝罪に回るのと対照的ですね。
失敗を恐れすぎるのが日本人の欠点です。
いずれにしても、意識に関する研究はまだまだ大幅に遅れているわけで、私たち巫師の世界では常識とされることも、世間の非常識というか、ぶっ飛び系扱いをされておしまいです。
ただ、アメリカに限らず、ロシアや中国の動向についても私たちは多少なりとも情報は持っていて、国によっては特異能力者を国家機密として管理下に置いているとも聞いています。
私たちに関係するところで言えば、「仙人」の存在などがあります。
日本には、裏陰陽師が絡んでいる秘密結社もあるといった「噂」もありますし。
ただ、下手に言挙げするとマズイ情報もあるので、この辺はドサクサに紛れて、どこかの記事に暗号として埋め込むかもしれません。
(たぶんつづく)
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