皆さま

 

亀卜は古くは中国殷の時代から行われてきた占いで、カメの甲羅に熱を加えて、生じたヒビの形状を見て占うものです。

 

この占いは日本にも伝わり、今でも対馬では亀卜神事が行われています。

 

今回は、亀卜に関わりのある神社をめぐる旅について綴ります。

 

よろしくお付き合いくださいませ。

 

 

雷命神社

 

所在地:長崎県対馬市厳原町阿連215  

ご祭神:雷大臣命(いかつおみのみこと)

 

 

 

この神社は、対馬の数多くある神社の中でも私たちが特に気に入っている神社で、時間さえ許せば、必ず足を運んでいる場所です。霊的な目から見て、強い神霊反応の発せられるスポットです。

 

郷土史家の文献を調べてみると、「阿連」(アレ)という地名自体に大きな意味があり、これは「神婚」という意味になります。

 

「アレ」とは「誕れ」、すなわち神の誕生を意味する古語なのです。

 

阿連には昔から日神(オヒデリサマ)と雷神(イカヅチサマ)を祀る習俗があります。

 

また、雷命神社は、日本における亀トの発祥地とも言われています。卜部氏の本流がこの対馬だともいいます。

 

「対馬亀ト伝記」に、神功皇后に従って朝鮮に渡った雷大臣(いかつおみ)が、彼の地で亀トの術を習得し、帰途対馬にとどまって県直になり、卜部氏の祖となったという伝承があります。

 

やがて、対馬の占い(亀ト)が大和に伝わったといいます。ちなみに、雷大臣は神功皇后の審神の役割をとった人物とされています。

 

また、805年、遣唐使の乗った船が阿連にたどり着いたという記録もあります。唐での留学を終えた最澄が乗った船が阿連に立ち寄っています。

 

雷命神社の神さまは毎年9月末になると「お出船」の神事を執り行い、出雲に旅立たれる。その間はオヒデリサマが阿連の鎮守となる。そして11月1日、出雲より神々が帰還する「お入座」(おいりませ)という祭をして雷命を迎える行事が残っています。

 

対馬と出雲の交流、関係の深さを暗示する習わしです。

 

地理的に見て、対馬は朝鮮半島に最も近い場所に位置しており、魏志倭人伝にも出てくる倭国の玄関でもあったわけだから、対馬を経由して中国や朝鮮の文化が九州、出雲、大和に伝わっていったものと考えられます。その意味で、対馬は先進的な文化の発信地点だったわけです。

 

地図を広げてみると、朝鮮半島(釜山)、対馬、沖の島、筑前大島、宗像大社、宇佐八幡宮のリンクも見えてきそうです。釜山から宗像大社まではほぼ一直線に並んでいます。渡来人の流れも対馬を経由して筑前、豊前に至り、また他方は対馬海流に乗って出雲地方に流れていったのでしょう。

 

さて、雷命神社に向かっていくと、鳥居の両脇に軍艦の砲弾が置かれています。

 

日露戦争の時の戦利品であり、ロシアのバルチック艦隊を東郷平八郎率いる連合艦隊が対馬沖で迎撃し、ロシア艦隊を壊滅させたときのロシア戦艦の砲弾が置かれているのです。

 

有名な日本海海戦です。

 

今も昔も対馬が国防の要の島であることを改めて実感させられます。

 

雷命神社の入口。狛犬のところにバルチック艦隊の砲弾が置かれている。

 

鳥居をくぐって拝殿に向かうと、大きなご神木があり、その向こうが拝殿になっている。中にあがらせていただき、ひとしきり拝んでいると、やがて強い神霊反応が発生しました。

 

 

「ここには龍神様のエネルギーを強く感じる」

 

雷命神社は明治以前までは「八龍大明神」と呼ばれていたので、もっともなことです。

 

 

また、雷命神社の参道入り口のところに簡易式の祭祀場があります。これは地元の人々が願掛けに利用しているようで、真新しいろうそくが据えられていました。ここで山の神に向かって拝み、願望成就の儀礼をしているようです。

 

 

雷命神社からさらに車で少し東の方角を向いて山道に入っていくと、今度は日の神様(オヒデリサマ)の祠が川の向こうに見えてきます。

 

「オヒデリサマ」の祠 この一帯は聖域

 

阿連には昔から日神(オヒデリサマ)と雷神(イカヅチサマ)を祀る習わしがあります。

 

日照りの神と雷雨の神が地区の東西に祀られているのです。この祭祀法は中国のそれが源流のようで、中国の古代王朝は、天神と河神を祀って、シャーマンが祈りや占いを行い、日照と降雨の天候調節をしていました。

 

その習わしが対馬にも入っているわけです。対馬の古俗は、日本の神道を形成する上で重要な役割を果たしていたことは確かです。

 

ちなみに、阿連の雷命神社と共通項を持っている対馬の神社には、美津島町加志にある太祝詞神社、厳原町豆酸にある雷神社があり、どちらにも雷大臣命(いかつおみのみこと)が祀られています。

 

太祝詞神社

 

雷大臣命の墓と言われる宝篋印塔(ほうきょういんとう)が建っています。
太祝詞神社は奈良や京都にもありますが、本社は対馬です。

 

雷神社

 

雷神社では、亀卜に関する行事を卜部氏の末裔が毎年旧暦正月3日に行い、その年の吉兆を占う習わし「サンゾーロー祭」が今でも残っています。

 

このとき、トホカミエミタメ(とほかみゑみため)という唱え言葉を発します。

 

これは、亀卜を行う際に亀甲の裏に刻んだ5つの線で、「と・ほ・かみ・ゑみ・ため」と表記されます。焼いて表にあらわれる亀裂の形で吉凶を判断し、祈祷の際に唱える語となりました。

 

「とほかみえみため」は「神様・ご先祖様、どうか微笑んでください」という意味で、感謝の気持ちが込められている言葉です。

 

 

 

対馬に行くと、朝鮮半島に近いこともあって、その影響を見ることもできるし、中国文化の影響も見て取ることができます。

 

神道が神道としての国家的体裁を整える前の、遙か昔の浦や集落単位の習俗や民間信仰レベルでの原型的要素をこの目で確かめることができる島なのです。

 

海にまつわる信仰や天にまつわる信仰の原風景を体感することもできます。その意味で、神道の本質を海の民の視点からとらえるには格好の教材がそろっているのが対馬なのです。

 

日本の古い信仰について学びたい人は、ぜひ対馬を訪れてみてください。きっと多くの気づきを得られることでしょう。

 

 

 

 

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