皆さま
出雲の神社には、どういうわけか稲荷が祭られていることがあります。
摂社、末社の形ではありますが、境内に必ずと言っていいほど稲荷社があるのです。
今回は、出雲の稲荷巡りをしたときの記録をご紹介いたします。
よろしくお付き合いくださいませ。
何で出雲に稲荷なのだろう?と考えてみました。
1つには、素戔嗚尊の神統に大己貴神(おおなむちのかみ)。大国主命=大己貴神は稲荷大神の一柱として崇敬される国津神でもあります。
稲荷主祭神である宇賀御魂命(うかのみたまのみこと)も素戔嗚尊の子孫という位置づけ。
素戔嗚尊の本拠地はまさしくこの出雲地方であり、その絡みで稲荷社が建てられたのかもしれません。
また、出雲商人の現世利益信仰として稲荷信仰が江戸期に流行った名残と考えることもできます。
守護神としての稲荷から凋落した野狐に対する恐れから、出雲地方ではかつて人狐、狐持ち筋といった憑き物信仰も根強かったのです。
稲荷神が秦氏の祖霊信仰から発展していったことは、過去記事で見ていますが、広い意味での秦氏と出雲とは遠縁でもあったので、稲荷の裏には秦氏ありと見ることもできます。
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都稲荷社
都稲荷社は出雲大社の歴代宮司を勤めてきた出雲国造家、千家氏の奉祭する稲荷神社です。
出雲国造家である千家の邸宅横に都稲荷社はあります。出雲大社の脇から少し歩くと人気のない道に朱の鳥居が見えてきます。ここが、千家の屋敷神でもある都稲荷社。
拝殿の向こうにお社が見えます。まず、ここには誰も参拝に来ません。静寂そのもの稲荷社です。
清掃、祭祀はさすがに完璧になされています。狐の置物もご覧のように棚に整理整頓されています。
出雲大社のすぐそばに、このような稲荷神社があるとは知らず、多くの人は素通りしてしまいます。
例祭のときに伺ったこともあり、参集者の代表として玉串奉納をさせていただいたこともあります。
私たちにとっては、深いご縁のあるお社です。
出雲地方を巡礼していて目にとまった稲荷社を紹介していきます。
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日御碕神社
島根半島の西端、日御碕に天照大神と素戔嗚尊を祀る神社が日御碕神社です。
ここにも稲荷社があります。
社の土台の石垣の亀甲紋は海神の象徴であり、出雲地方の神社の神紋としてよく使われています。
狛狐像。奥のものはすり減って顔も見えなくなっていました。
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素戔嗚尊の総本宮である須佐神社
出雲国風土記にも社名が見える古社です。
須佐神社の稲荷社。きちんと祭祀されており、清浄な状態に保たれている様子が感じられました。
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須佐神社の近くにある厳島神社の稲荷社(須佐神社境外攝社)
岩壁に社が埋め込まれていました。山の神としての稲荷神を祭祀しています。
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神魂神社(かもすじんじゃ)
国宝指定されている大社造りの社殿で有名です。その本殿左隣に稲荷社があります。
貴船社と並んで祀られています。
社殿の床下に狛狐の集団が…。
このように、どのような経緯があったのかはハッキリと分からないのですが、出雲と稲荷信仰との間にはとても深い関係があるように感じました。この点を深掘りしていくと意外なことが分かりそうです。
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