みなさま。

 

私たち一族の先祖を辿ってみると、「秦」を名乗る氏族に突き当たります。これは実際に家系を調べてみて確認できたことです。

 

秦氏は、日本の文化と信仰に深い関わりを持っている渡来系氏族とも言われています。

 

私たちのルーツを辿る旅をこれまでに何度も行ってきましたが、その痕跡というか自分なりに納得のいく事柄もだんだんと分かってきたので、メモ代わりにブログとしてまとめておくことにします。

 

 


歴史書を読んでみると、5世紀前後の朝鮮半島は動乱の時代だったと記されています。

 

西暦390年~410年頃、朝鮮半島では倭と百済、高句麗と新羅が連合し、戦が続いていました。

 

これに追い打ちをかけるように新羅、百済ともに干ばつが続き、稲は枯れてしまい、イナゴが大発生。飢えた百済の農民たちが新羅に多数逃亡したと言います。

 

一方、半島南部の加羅の人々は海を渡って<倭国>に向かったようです。


このときの加羅からの渡来人の中に弓月の君(首長)、弓月の民(部民)が含まれていました。<百二十県の民>と日本書紀には出ているので、最大級の渡来集団が倭国にやってきたことになります。

 

それが秦氏です。

秦氏の出自は、秦の始皇帝の末裔だといいます。始皇帝と本当に血がつながっていたかどうかは疑問視されていますが、少なくとも、秦氏の首長の家系は朝鮮半島中部に設置されていた中国王権の出先機関である帯方郡、楽浪郡の漢人集団だったようです。

 

秦氏は、まず北部九州に上陸し、その周辺に定住したものもいました。やがて、ヤマト王権が古墳築造、河川の治水工事に関する技術者を積極的に畿内に呼ぶようになって、彼らは大和の葛城地方、さらに山城国に移住していったのです。

 

以後6世紀に至るまでの百数十年間に渡り、秦氏の朝鮮半島からの渡来は続きました。

 

ここでは、秦氏が祀った神さまについて書いておきます。



秦氏が信仰した神さまの痕跡は、以下に示すような神社を探訪してみればその片鱗を垣間見ることができます。

 

 

 



1.豊前国……(大分県)香春神社

『豊前国風土記』に新羅国神を祀るとある。銅を産出する香春岳には金属の神が祀られていた。また、宇佐八幡宮の元宮で、女神を祀る。神社の神官家のうち、赤染氏は秦氏系。

2.豊前国……(大分県)宇佐八幡宮    八幡神の総本宮

「ヤハタ」の神の祭祀が朝鮮半島での祭祀に類似している。ヤハタ信仰は、新羅・加羅の土俗信仰+仏教+道教+日本の土俗信仰だった。朝鮮の太子神、対馬の天童信仰との関連性。巫女を媒介したシャーマニズム。女神を本体とする。

3.大隅国……(鹿児島県)鹿児島神宮

豊前国から大隅国に秦氏系の人々が移住した。正統の八幡神を祀るというゆえに「正八幡宮」。海の向こうから空船(うつろぶね)に乗った母子が漂着するという伝説が由緒にある。

4.大隅国……(鹿児島県)韓国宇豆峯神社
    
霧島山を韓国岳という。神体山の韓国岳の里宮。もう1つの秦王国。大隅、薩摩を治めた島津氏は秦氏系。

5.山城国……(京都府)伏見稲荷大社 稲荷神の総本宮

稲荷山のある深草地区に秦氏が移住。それ以前の土俗信仰、古墳信仰に秦氏の信仰が習合されて稲荷信仰になる。

 

伏見稲荷大社 眼力社

6.山城国……(京都府)木島坐天照御魂神社    通称蚕ノ社

 

祭神は天御中主命、大国魂神、穂々出見命、鵜茅葺不合命。木嶋神社のある嵯峨野一帯は、5世紀以降朝鮮半島から渡来した秦氏の勢力範囲であり、製陶、養蚕、機織などの技術者集団がこのあたりに入植した。蚕ノ社という名称は織物の神、蚕養神を祀ることからついたもの。古来より祈雨の神としての信仰も篤く、巨樹が繁茂し、今でも清泉が湧き出でる場所に立地。

 


木島坐天照御魂神社 三角鳥居


7.山城国……(京都府)松尾大社

 

祭神は日吉大社の祭神で比叡山の守護神でもある大山咋神、宗像三女神の一柱である市杵島媛命。そもそもは秦氏の氏神を祀る。松尾大社は、賀茂神社との関係も深く、かつては松尾大社の祭礼も「葵祭」と呼ばれていた。「秦氏本系帳」によれば,葛野川(賀茂川の支流)で秦氏の女性が洗濯をしていたときに丹塗矢が流れてきて,それが松尾大明神であったという。中世以後,松尾大社は酒造りの守護神として全国の酒造家から信仰を集めてきた。

8.山城国……(京都府)大酒神社    

秦河勝が建てた太秦の広隆寺の境内に鎮座する。祭神は、秦始皇帝、弓月王、秦酒公。

 

大酒神社 秦始皇帝を祀る

9.加賀国……(石川県)白山神社  

越前の修験行者、泰澄が白山を開山。白山神と観世音菩薩を習合させた。泰澄は秦氏。白山神の源流は韓国神。「白山」 は、昔は「しらやま」あるいは「しろやま」 と呼ばれていた。「新羅人(しらぎひと) の山」 あるいは「斯盧人(しろひと) の山」 という意味もあったようである。白山比咩(しらやまひめ)神社の主神は菊理媛(くくりひめ)命である。

10.近江国……(滋賀県)白鬚神社   

 白神信仰。比良明神が老翁の姿で現れたので白鬚神という。新羅、高麗との関係。


11.播磨国……(兵庫県)大避神社    

秦河勝を祭神とし、播磨の秦氏によって祭祀された。



このうち、2は八幡神の総本宮、5は稲荷神の総本宮です。

 

神社本庁包括下の神社は、全国に約8万社で、そのうち稲荷神社が3万社を越え、八幡神社が1万5千社とも言われているので、神社の多くが秦氏に由来するものであることがわかります。

 

それほどまでに、秦氏の神祇信仰に与えた影響力は大きいといえます。

 

 

次回は、山城国に移住してきた秦氏の信仰の痕跡について、稲荷大神を軸に展開していきたいと思います。
 

(つづく)

 

 

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