皆さま

 

祓いの現場では、生霊、死霊、動物霊などの想念体による憑依現象の解消が行われます。これらの多くは人が生み出した感情の塊が魔物化したものであり、あるいは亡くなった人の残留思念が生きている人の意識と同調現象を起こしているものだと私たちはとらえています。

 

たとえ人間の想像の産物であっても、それらは生きている人の意識に干渉して心身の不調をもたらす可能性はあります。霊的危機とは、そのような現象を説明する概念です。

 

 

 

 

今回は、加持祈祷の世界で昔からいわれてきた魑魅魍魎、魔物、物の怪についてわかりやすく解説いたします。

 

よろしくお付き合いくださいませ。



Q.眷属というのは、神との取り次ぎをする動物霊なのでしょうか。
 

A.いろいろな姿をしています。そういったものは、その信仰の中で培われてきたイメージ体なので、そもそもは人間が想像したものなのです。人間のイマジネーションが想念体という形になっているのです。

平安時代の陰陽師、安倍晴明の祈祷の中に出てくるのは<式神>でしたが、あれは鬼神といってもともとは自然界の精霊の力を利用して操る目には見えない存在です。動物霊とは違います。

 

私たちは「式鬼」(シキ)と呼んでいます。陰陽道は今で言う天文学。暦作りが本来の役目で、陰陽五行説に基づいて天の異変が地上の災いと連動するという世界観からおもに天変地異に関する祈祷を行ったのです。その他にも土地家屋の祓いや疫病など健康祈願、「穢れ」を祓い清める祈祷もやりました。

 

星読みこそが一番重要な役割なんですけれども、今では誇張されてしまい、小説、映画、マンガ、アニメなどの影響もあいまって陰陽師のイメージが実際とはかけ離れてしまっています。


神様というのはあまねくあるもので、存在そのものであって、眷属はその中間であるということです。一般的に神様といっているのは、実は眷属である場合が多いのです。神と人間の中間にいて、人間により近い存在です。だから眷属は感情を持っています。
 

眷属は人格神といっているものを思い浮かべれば想像しやすいでしょう。たとえば、ひげを生やした老人とか、昔から信じられてきた物の怪(け)の類であるとか、鬼とか、妖怪、動物の姿をしているものもいますし、そういったものに近い姿をイメージしたらいいですね。
 

Q.祈祷の世界でよくいわれている生霊、死霊、動物霊というのは、それぞれどういう存在になるのでしょうか。

A.先ほどもいいましたが、生霊は、生きている人の感情が相手の精神とか身体に影響を及ぼしているという状態です。その場合、身体的に変調をきたした相談者を霊視するとかして霊的な目で観ますと、感情を送っている相手の人の顔がそこに出てきます。それが一体だれなのかということで、相手の正体がわかれば祈祷で祓うことができます。もっと強い力で相手の体を支配してしまうと憑依になります。


生霊は霊的危機の中でも一番厄介で、恐ろしいものです。ただ、恐ろしいと言ってもそれなりの心構えを持っていれば祓うことができます。生霊とは生きている人間の念が来ているものだから、要は念と念のぶつかり合いです。生霊で他人の人生を狂わすこともできるし、人の体をこわすこと、害を与えることもできます。人の命を奪うこともできます。丑の刻参りや呪い釘を打つといった儀式を行うことでも生霊の効果は出てきます。要は儀式をやっているときの、その人の想いの強さが強ければ強いほど、距離に関係なく相手の心身に悪影響を与えてしまうのです。これは一種の生体念力(Bio-PK)であると解釈できるものです。

生霊の影響を受けている人には、共通した特徴が見られます。

・初期は異常に身体がだるくなる。
・同じ時刻になると,身体に異常を感じる。
・寒気,微熱が続く。
・吐き気 胃が痛む。
・左半身にしびれ,重みなどを感じる。
・下半身,特に腰や足に痛みが来る
・進むと,下痢,腹痛に悩む
・眠れない。いつもよりも朝早く目が覚め,熟睡できない。
・首から上の箇所(頭痛,目,口の中)に異常が見られる。首が締めつけられる、後頭部が痛む。髪の毛が抜けやすくなる。
・急にイライラして、反抗したくなる。
・目がショボショボしたり、目がかすむ。
・金縛りに頻繁にかかる。
・湿しんやじんましんが出る。
・末期には、声を聞いたり、黒いモヤを見たり、あるいは黒い人影を見たりする。
・自分の身体に何かがのしかかっているような重みがはっきりと分かる。


生霊に襲われたとき、まず強い意志を持って、心の中で絶対に負けないという気持ちを持つことが大切です。たとえ、相手が誰なのか分からない場合でも、決して気持ちの上で負けないようにしなければいけません。具体的な対処法としては、まず自分の守護神を呼んで助けてもらいます。また、祝詞やお経の力も使います。神社や寺院に詣でて神仏の助けを請うのもいいでしょう。神社やお寺で生霊返し行うときは、夜中の十二時を過ぎてから午前三時までの時間帯がもっとも効果があります。人が寝静まっている真夜中の方が相手の意識に影響を及ぼしやすいからです。これは自宅で神棚などに手を合わせて返すときも同じです。とにかく、気持ちの上で負けてしまってはいけません。正直言って相手への同情とか投げやりな気持ちが命取りです。


Q.それでは死霊はどのような存在なのでしょうか?

A.死霊は亡くなった人の思い、想念です。それが生きている人に影響を及ぼしているという場合です。それはその人にかかわる先祖とか、あるいは何かの形で死なせてしまって恨みを持たれるような場合、いわゆる怨念によるものです。

 

死霊には地縛霊と浮遊霊があります。これは本来、自分にはまったく関係のない霊体であり、いつ現れるか、いつ取り憑かれるか予想がつきません。幽霊が現れると評判のいわく付きの場所に行ったとか、自殺の名所に行ったとか、事故の多発地点に行ったときに、霊体と意識の波長が合うと、向こうから近寄ってきます。死霊と波長が合っていることを示す条件があります。

・水気が多く、雨の降っているとき
・夜明け前
・寒気や吐き気が来たとき
・後頭部に痛みや重苦しさを感じるとき
・身体にふるえが来るとき
・手や口の感覚が鈍り,自由が利かなくなるとき
・金縛りにかかりやすい


このようなときに、死霊と波長が合っていると言えます。でも、死霊は未然に防ぐことができないので、波長があったと感じたときに、祝詞やお経を使い、また神仏の力もお借りして祓うことになります。


Q.動物霊と呼ばれているものの正体は何ですか?

A.動物霊は、古来からある信仰からきているものです。そういったものが想念体になって動物の姿としてイメージされているものです。それが稲荷信仰であるならば狐という形で出てきますが、多くは蛇です。


日本の場合は稲荷系と蛇系に大別できます。日本では龍は蛇のイメージ体が進化したもので想像上の動物です。基本は縄文時代からの蛇信仰から連綿と続いてきたものですね。

動物霊についてまず誤解のないようにしていただきたいことは、神さまのお使いである眷属も動物であるということです。たとえば、稲荷は狐、天満宮は牛、春日大社は鹿、八幡宮は鳩、日吉神社は猿、弁財天は蛇、出雲大社は龍蛇神など、神仏にはいろいろな眷属があります。

 


島根県 出雲大社 ご神体は龍蛇神

 

しかし、これを動物霊とはいいません。動物霊とは神仏のお使いにもなれない低級霊であり、人間の邪気・邪念が動物化したものも含まれます。こういう動物霊は本当にたちが悪いのです。

たとえば、狐の想念体でも最低ランクに位置するものを野狐(やこ)といいます。野狐は人に取り憑いたり、人を狂わせるしか力を発揮することができません。また、蛇でも人を締めつけたり、お金を奪うだけ奪って経済的に困るようになる、さらに体の自由を奪う霊体もいます。こういう動物霊に取り憑かれた場合の症状があります。

・情緒が不安定になる(気分の浮き沈みが激しくなる、ヒステリー)
・無気力、何もする気が起きなくなる
・異常に食欲(肉類が食べたくなる)が出たり、逆にまったく食欲がなくなる
・多動、落ち着きがなくなり、いつもソワソワする
・風呂に入るのを嫌う
・明るい場所を嫌い、暗い部屋に閉じこもったりする
・身体や住んでいる部屋から悪臭が漂う
・微熱が続き、最後には高熱がでる
・やたら首が締めつけられるような感覚が来て、息苦しさを感じる
・いつも頭が重い。偏頭痛も起こる。


最後に意識がもうろうとし、自分の意志とは関係なく動物のような行動を取り始めます。うなり声を出したり、独り言も多くなります。

動物霊に取り憑かれたとき、眷属のおられる神さまのお力をいただいて除霊する必要があります。それでもだめなら、プロの力を借りて祓ってもらうことになります。

 

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