さて、2019年8月最終週の今週、Twitter上にてめいろま氏(@May_Roma)とひろゆき氏(@
hiroyuki_ni)の「フランス生活の現実」に関する...というか「実際のフランスってどうなの?」的な議論が熱く繰り広げられていた?模様。(全部きっちりチェックしたわけではなく、断片的にしか拾い読みしてないので、盛り上がってたように見えました、という感想なのですけどね)
実際にフランスに行った経験はない私ですが、とある本を読んでフランスに持った人生初の第一印象は、実は「犬のうんこ」。
読んだ時は1980年代前半、1983年に出版されたエッセイ本『おしゃべりパリジェンヌ』が、その「読んだ一冊」でした。
作者はダニエル・ミミさん。
日本人男性と結婚したことで、出版元から「パリの生活について本を書いてください」と依頼があったのでしょうか、内容全体の雰囲気が「パリのことを知りたい日本人に向けて書かれた」感じだったと記憶しています。
日本国内だけで日本に流布されてるフランスの印象を見ると、「花の都パリ」をはじめとして美しくてファッショナブルでキラキラしてそう......とか、若い頃に他の女性たちが「フランス人とかに間違えられるんやったらええけど、中国人とかは嫌やな」と会話してるのを偶然小耳に挟んで「日本人はアジア人なのに何言ってるのか...って、中国人の美人はむちゃくちゃ美人なのに」とか、なんだかどうも「憧れのキラキラワールド」?と思ってる?気配。
でも、私のフランス、それもパリに対する個人的な第一印象はこの本から得たものだったので、「街の道路には犬のうんこ」がくっきりと刷り込まれてしまいました。
同居人ヒゲ氏は、2000年過ぎくらいまでの過去の話ではありますが、実際にパリに行ったことがあるので、
私「読んだ本のイメージで、"犬のうんこ"なんだけど」
と訊(たず)ねてみると、
ヒゲ氏「うん、そうだよ」
と即答されてしまいます。
こういう、「憧れと現実の落差」というものは、フランス・パリに限らず世界中のどこでも起こり得ることで、実際に日々起こっていることで、パリにおける「犬のうんこ」は無数にあるそれら落差の中の一つでしかありません。
なのですが、くだんの「Twitter上にて展開されためいろま氏(@May_Roma)とひろゆき氏(@
hiroyuki_ni)の「フランス生活の現実」に関する議論」は、苦しい庶民側の目線を知っているであろうめいろま氏と、おそらくバカンスの域を全く出てないであろうひろゆき氏の論陣が、お互い「分断された世界」の状態にあるので、議論としては真っ向から対立してしまう状況になってしまうわけですね。
私が住んでいたインドだって、「そのコミュニティの中でだけ暮らしてる分には警備も24時間体制で、コンドミニアムは広くて瀟洒だし、メイドだって雇えるし、内部でだけなら綺麗で安全キラキラ世界」という富裕層コミューンもあれば、「世界一の低所得」という厳しい現実も両方あるわけです。
ただ、どこの国でも基本的には「庶民や貧困層の数は、富裕層のそれを圧倒的に上回る」ものですから、その実態から鑑みると「現実のサンプル数としては、どっちの言い分の方がたくさん実在する?」となると、めいろま氏の庶民目線の方になってしまうのだと思います。
で、まあパリについては、この『おしゃべりパリジェンヌ』という本から受けた第一印象、実際に行ったことがあるヒゲ氏やSNSでやりとりしてるフランス現住の方々、Twitterのハッシュタグ「憧れの欧州生活」で読んだツイートの数々が「インド生活と大差ないなあ」と思った経験......などなどから総合的に見て、私個人の心の中では「街の道路には犬のうんこ」に結局落ち着いてしまう......ということに。
実際に行ったらまた多面的な感想を持つのかもしれませんが......
フランスに憧れを持つ日本人もまだまだいるであろうと推測される中、実際のパリジェンヌが執筆したということもあり、どうしてもこの『おしゃべりパリジェンヌ』の「犬のうんこ」が印象深く残っています。
学研まんがひみつシリーズ『忍術・手品のひみつ』を子供の頃に読んだせいで、「麻、大麻」と聞くと「ああ、跳躍力を鍛えるためにその上を飛ぶのね」としか連想できなくなったのと同様に、若き日に『おしゃべりパリジェンヌ』で得た刷り込みが「パリの道路には犬のうんこ」という形で私の脳裏に残ってしまっているのです。
(;^ω^)
- 単行本: 245ページ
- 出版社: 福武書店 (1983/01)
- 言語: 日本語
- ISBN-10: 4828811036
- ISBN-13: 978-4828811031
- 発売日: 1983/01