こんにちは。11月に入りました。早い!
この先、学生も社会人もビッグゲームが目白押しですね。
QBの皆さんがここまで培ってきたワザをビッグゲームで思う存分発揮出来ることを願っています!

強豪チームとの対戦でQBの大きな課題のひとつとなるのが、パスラッシュの処理。
今日は、このパスラッシュのかわし方について、少し書いてみたいと思います。

パスラッシュの処理は、大きく分けて
①ポケットの中でプレッシャーのかかりにくい場所に移動する
②ポケットから出て逃げる

①の動きのパターンを大別すると、
A. 前後(主に前)への移動
B. 左右への移動
C. 前後・左右の組み合わせ
という感じでしょうか...

①のケースの動きについては、
2011/5/10更新の<元立命館大学・松田大司選手の3rdダウンロングから学ぶ「ドロップバック→ヒッチステップ→スロー」
2011/5/03更新の<RICH GANNONの2ミニッツオフェンスから学ぶ「ドロップバック→ヒッチステップ→スロー」
で紹介したヒッチステップが基本となります。
横への動き、そこからのパスについては、改めて取り上げて書こうと思いますが、今回は割愛させて頂きます。

今回は「②ポケットから出て逃げる」について。
お恥ずかしながら、道場長は①の動きについては、現役時代、こだわって練習して、それなりにこなしていた(つもり)でしたが、②の動きについては、正直あんまりイケてませんでした(苦笑)
なので、道場長の現役時代を知っている方からは「お前が語るな」と言われてしまいそうですが、
気にすることなく(笑)、いろんなQBの動きから学んだことをシェアさせて頂きます。

②の形になるのは、基本的に...
*OLが完全にかわされてしまいDLがフリーで入ってくるケース
*LBのブリッツがノーチェックで入ってくるケース
ですね。

もちろんこのようなケースでも、ラッシュが大外からで、中にステップアップするスペースがあれば、
ステップアップしたほうがベターなケースもあるかもしれません。
今回は、ステップアップするか、外へ逃げるかのチョイスの基準についてではなく、
「外へ逃げるケース」のテクニックについて書かせて頂きます。


◎ポイント1「ポケットの外に出る時は基本的にラッシュが来た方向に逃げる」
  例えば、左から完全にフリーになったパスラッシュが来た時に、右
  へ逃げてしまうと、パスラッシャーはそのままの勢いでQBを追いか
  ける形になってしまいます。
  基本的にはラッシュが来た方向に逃げるようにしましょう。
  多くのQBにとっては当たり前の感覚かもしれませんが、あまり考えずに
  やっている人も少なからずいると思うので。

◎ポイント2「ポケットの外に逃げる時は一歩目でデプスをとる」
  ポケットの外へ出る時の一歩目を横方向を踏んでしまうと、最初に
  突っ込んで来たラッシュをかわすことが出来たとしても、その後、
  内からパシュートしてくるラッシャーとの距離を稼ぎにくい。
  結果、追いかけられて後ろに下がりながら投げざるを得ないケース
  が増えてしまい、ミススローの確率が高くなる。

  一歩目で後ろの脚を後ろ方向に踏むことで、圧倒的にデプスをとりやすくなる
  結果、次に追いかけてくるラッシャーに対しての距離をとりやすく
  なり、投げやすい体勢を作れる確率があがる。
  (あくまでも確率論であり、すべてのケースに当てはまる訳では無いと思いますが...)

<図>一歩目のアングルの違いによるパスラッシャーとの距離の差(イメージ)
$コーチ新生の「QB道場」ブログ-ポケット脱出

特に利き腕と逆サイド(右利きの左サイド)へ逃げる時の一歩目で、「前足」を
逃げたい方向の真横に踏んでしまうQBは少なくないと思います。
こうすると、ディフェンダーとの距離が近くなってしまうだけでなく、
利き腕側の肩をLOS方向に切ってしまう形になるため、
そこからもう一度投球動作に入ることが難しくなってしまいますね。

という訳で、利き腕と逆サイドへ逃げる際も、前述の通り「後ろ脚で後ろ方向に踏む」。
そうすると逃げる方向に対して、背中を向けた状態になっていますので、
そこから「身体をターンさせる」形になる、という訳ですね。

この形の実践例として、道場長がオービックシーガルズのオフェンスコーディネーターとして
出場した今春1月3日のライスボウルでの、シーガルズの菅原選手のビッグプレーをご紹介しておきます。
<1:43からのプレーをご覧下さい>


このプレーはOLとRBのコミュニケーションミスにより、立命#52の選手がノータッチで入ってきてしまいましたが、菅原選手が...
「ラッシュが来た方向に」
「後ろ足で後ろ方向に一歩目を踏んで」
「身体をターンさせて」
逃げた結果、#52の選手にサックされるという最悪の事態を回避することが出来ました。

ここからパスを投げることを考えれば、もう少し深く弧を描きなが逃げる形がベターだったかもしれませんが、
このアングルで逃げたからエンドゾーンまで走りきれた、とも言えるでしょう。

菅原選手の咄嗟の判断が生んだビッグプレー。
先に、「あくまでも確率論であり、すべてのケースに当てはまる訳では無い」と書いたのは、
こういう形でうまく行くケースもあるからですね。

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最後に...
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なお、今回の公開申込は11月末でいったん閉め切らせて頂きます。
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