「忘却とは忘れ去ること也なり、忘れ得ずして
忘却を誓う心の悲しさよ」 (菊田一夫)
昨日、書店で立ち読み中、背中越しに
妙齢の女性から漂ってきた香水の匂い。
懐かしくもあり切なくもあり・・
目を閉じかすかな香りを逃すまいと
深く息を吸いつつ記憶を手繰り寄せる
若き頃の若さゆえの大きな過ち。
後悔と懺悔と未練と執着の日々
いっそ、忘れてしまえばどんなに楽なことか・・
あの日、友は言った。
「時間が経てば忘れるよ」
50年以上も時が流れてしまった。
時間は確かに特効薬かも知れない。
蘇った記憶に痛みは伴わない。
あの頃に戻りたいとは思わないが、
もう少し人生を大切に生きるべきであった。