友人夫婦宅へかみさんと遊びに行く。
お互い、爺さん婆さんですから
会話の内容はたいてい決まっとります。
昨夜は夜中に3度起きたとか、
いや、わしは4回だからわしの勝ちねとか。
おしっこに行くの我慢に我慢重ねて駆け込んだら
なかなか出ずに往生こいたとか・・
夜間頻尿には、ノコギリヤシが良かろう?とか
いや八味地黄丸が良さげとか・・・
あそこの眼科医はとにかく声が小さくて
何度も{えっ、えっ?」と聞いて嫌な顔をされたとか
あそこの内科受付嬢はやたら長い付け爪をしていて
鼻くそをほじるに便利だろうと密かに思ったとか・・
あっ、すんません、話がそれました。
篠笛の話に戻します。
篠笛を僕のために自作したというのであります。
ご丁寧に台座まで作って。
このわしに篠笛?なんで?
友人Sは器用な男で、なんでも自分で直す。
ちょいとした大工仕事から家電の修理まで。
プリンターが印字されなくなったと言っては駆け込み
パソコンが起動しなくなったと言っては駆け込み、
エアコン室外機のカバーまで作っていただいたりして。
過去に何度もお世話になっとるのであります。
ですから出来栄えもなかなかの代物でして。
実は僕、篠笛には憧れがあったのです。
吹く姿がなんかカッコいいじゃありませんか。
五条の大橋で弁慶が獲物を待ち受ける中、
華麗な装束で篠笛を吹きながら近寄ってくる牛若丸。
これに憧れましたねぇ。幼少の僕ちゃんは。
絵本を読みながら、篠笛吹きてぇ~と。
「どうや?」と差し出すから
おもむろに恰好つけて吹いてはみたが
空しく音無し口笛がフィ~~フィ~~と。
うんともすんともで手に負えない代物。
「やっぱりね、ヌハハハ♪」
さすが、リコーダーとは訳が違いますなぁ。
「今度顔出す時やぁわし、牛若丸ぞ」
あれから1週間。
なんか、わし、口が腱鞘炎になったみたい・・・