次の事例を読んで、問いに答えなさい。

〔事例〕
Mさん(19歳、男性)は、染色体の異常による疾患で知的障害がある。特別支援学校の卒業後、自立した生活を目指して、両親から離れて、共同生活援助(グループホーム)を利用している。日中は、一定期間(おおむね24か月を標準とする)必要な訓練を受けることのできる日中活動のサービスを利用して、生産活動の訓練、職場体験の機会の提供などを受けている。
Mさんは、毎朝、このグループホームから駅まで歩いて、電車で日中活動の場所まで通っている。Mさんは、楽しそうに生き生きと訓練に励んでいる。

 

問題 123 Mさんの知的障害の起因疾患として、正しいものを1つ選びなさい。

1 脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration)

2 脳出血(cerebral hemorrhage)

3 筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)

4 ダウン症候群(Down’s syndrome)

5 脊柱管(せきちゅうかん)狭窄症(きょうさくしょう)(spinal stenosis)

 

 

解説
 
本文の気になる部分を抜き出していきましょう。
 
①「染色体の異常による疾患で知的障害」
→染色体は通常23対が46本ある。これに何らかの異常がある場合、染色体異常という。
大きく分けて、数的異常と構造異常がある。
・数的異常
 →トリソミー(染色体が1本多い)
  モノソミー(染色体が1本少ない)
・構造異常
→転座(染色体の全体または一部が他の染色体と不適切に結合している)
 様々な染色体または染色体の一部の欠損および重複
 
最近、母体血液検体から胎児のDNAが21トリソミー(ダウン症候群)か否かの出生前診断(ほかに羊水検査、エコー検査、絨毛検査、NIPTなど)に使用されている。出生前診断については賛否両論だが、陽性が出た段階で中絶も多いとか...自分の子の状態を知った上で、出産して育てていけるかどうか考えた結果だろう...
 
さあ、本文に戻りまして、ダウン症以外にも染色体異常はありますが、本文を読む限りそれらの手がかりはないので、ダウン症と考えて妥当だと思います。過去問からしても、染色体異常ときたらダウン症を疑い解くのもありですね。
 
よって正解は、4のダウン症となります。
 
1の脊髄小脳変性症(SCD)について。難病情報センター 
 小脳および脳幹から脊髄にかけての神経細胞の変性によって起こる。
 ふらつき、運動失調が主な症状。起立性低血圧、排尿障害、発汗障害など。
 神経疾患のため、知的機能に影響することはない。
 
2の脳出血について。
 脳実質内への血腫形成。
 危険因子は、加齢、高血圧、喫煙、糖尿病など。要介助また寝たきりになりやすい。被殻出血、視床出血では片麻痺が起こりやすい。
 知能に影響はない。
 
3のALSについて。
 運動ニューロンが変性し、徐々に筋肉の萎縮と筋力低下をきたす。
 進行すると→上肢の機能障害、歩行、嚥下、呼吸に障害を生じる。
 感覚神経、膀胱直腸機能、眼球運動は通常末期まで出現しない。知的な障害も表れにくい。
 
5の脊柱管狭窄症
 加齢により、脊柱椎管が細くなる→神経が圧迫され、腰痛、間欠性跛行などが起こる。
 知的な障害には起因しないと考えていいかも。
 
平成29(2017)年 第29回 問題123でした。