(総合問題3)
次の事例を読んで、問題120から問題122までについて答えなさい。
〔事例〕
Lさん(25歳、男性、障害支援区分5)は、大学2年生の時、交通事故が原因で頸髄損傷(cervical cord injury)となった。現在は毎日、居宅介護を利用しながら、母親と生活している。
Lさんは四肢麻痺のため自分で体を動かすことができずに、多くの時間をベッドで過ごしている。リクライニング式車いすに移乗するときは、移乗リフトを使用している。Lさんは、母親の腰痛が悪化していることを知っているので、母親に介助を頼むことを遠慮している。そのため、介護福祉職が来たときに、リクライニング式車いすに乗せてもらっている。Lさんは車いすで座位になると、たびたび起立性低血圧で気分が悪くなる。
日中はマウススティックを使用して、パソコンで友人とメールのやり取りを楽しんでいる。最近はパソコン教室に週1回は通いたいと考えて、「長時間の外出時の移動の介護をお願いしたいがどうしたらよいか」と介護福祉職に相談した。
問題 120 Lさんの現在の生活状況から、今後、発症する可能性が高いものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 てんかん(epilepsy)
2 仮面様顔貌
3 構音障害
4 安静時振戦
5 褥瘡
さあいかがでしょうか。
まず1のてんかんについて。
てんかんとは、大脳皮質神経細胞の過剰な興奮によって起こる、痙攣などの発作性症状を繰り返す慢性疾患です。
原因→不明、遺伝的素因、脳血管疾患、脳の先天奇形など
Lさんは頚損だが、てんかんにつながる可能性は低い。
2の仮面様顔貌について
仮面様顔貌とは、パーキンソン病、パーキンソン症候群などの神経系疾患、うつ病や認知症でもみられる、筋肉の異常のため表情に乏しくなるなどの特徴がある。
この質問に対する答えとしては不適切ですね。
3の構音障害
構音障害にはさまざまな要因がありますが、器質性構音障害と麻痺性構音障害、運動性構音障害など
運動性構音障害
→脳卒中や頭部外傷、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ジストニアなど、神経や筋に病変が生じることにより、話すことに必要な運動機能が障害される
器質性構音障害
→音声器官の形態上の障害によっておこる(先天的・後天的に唇・舌・口蓋・顔面などの形に問題があり、うまく発音ができない)
麻痺性構音障害
→唇や舌などの音声器官の麻痺により起こる(中枢から末梢までの中で異常が起こり発語運動障害が生じたもの。脳血管障害や脳腫瘍、外傷・炎症・変性障害・先天性異常・中毒など)
このようなことからこの5つのなかでは頚損での構音障害は考えにくいかな。。。
4の安静時振戦
振戦→大脳基底核の障害によって起こる、不随意運動のことです。
安静時振戦→安静時に出現、動作により減弱ないし消失する。
問題を見てパッとわかる人がいるかもしれませんが、1~4の選択肢はすべて何かの疾患に共通するものです...
そう!パーキンソン病です!
気を取り直して、正解は5の褥瘡です
Lさんは四肢麻痺で自力で動くことが困難です。そのため、ベッドで多くの時間を過ごし、かつ母に介護を頼むことを遠慮し、介護福祉職の訪問時のみ移乗を行っていました。しかし、車椅子で坐位になるだけで、起立性低血圧になるということは、長時間体位変換をしていないということでしょう。
ちなみに
「基本的に2時間以内の間隔で、体位変換を行うよう勧められる」
→ガイドラインでは推奨度Bです...
Lさんの現在の生活状況を継続すると、褥瘡になる可能性は高いと考えられますね
平成29(2017)年 第29回 問題120