さる4月11日(金)、開店前には1,000人もの行列ができ、予定時間を2時間半も前倒しして4時半にオープンした山梨県の「コストコ南アルプス倉庫店」(正式名)
開店して1週間が経過しても落ち着く兆しはなく、毎日多くの来店客で駐車場は満車状態。ただ店内は広いため、店に入ってしまえば比較的ゆっくり買い物ができると聞いた。
ここは元々、南アルプス市が開発した〜地場農産品と食のテーマパーク〜『完熟農園』があった土地。それが一年も立たないうちに経営破綻し、時の市長が選挙で落とされる事態になったいわく付きの土地である。
破綻してから何年も「塩漬け」になっていた(お荷物だった)その土地に、「あのコストコが来るらしいぞ!」との噂が流れ始めたのが3年ほど前のことだった。
誘致の背景や出店までの経緯、政治的な思惑など、言い始めたらキリがない(から言わない)が、ともあれ県全体の人口が80万人を切る我が山梨県に、日本で37店舗目のコストコが″めでたく″開店した。
(出典:山梨日日新聞 2025.4.12)
☝️コストコの出店基準は「半径10kmに商圏人口が50万人以上いること」だという。
しかしこの南アルプス店は30万人もいない。
この基準を満たさない山梨の田舎町に、全国最大規模の売り場面積でコストコが開店した。
県外からの来店客を見込んでいるというが、現状では地元の客が大半である。
私も静岡県や長野県に「2年に一度」しか行かないしw
まあともあれ、これで大きな影響を受ける「地元商業関係者」の不安をよそに、ほぼ全県民が待ち望んだであろう「黒船」が着岸した。
『コストコの開店で、最寄りインターの出入口や周辺道路は、抜け道を含めて一日中大混雑した』と言いたいところだが、あいにくの雨もあって、交通規制や幹線道路の大渋滞はなかった。これは「混むぞ、混むぞ、会社に遅刻するぞ〜!」という恐怖のため、迂回通勤に協力した地域住民の協力のたまものとも言える。
👤コストコ日本法人の社長は、「初日は10万人が来店する」と胸を張っていたが、おそらく現実は(下駄を履かせても)その「3分の1」と推測する。夕方のローカルニュースでの「現場中継」も、ガラガラの店内が映ってしまう始末だった。
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☝️この出店により地域は大きく変わるだろう。
しかしコストコさえ出たら、自動的に自分の店の売り上げも増えると大きな勘違いをしている風潮は間違いである。何にもしないのに「棚ぼた」などあり得ない。行政も経済人もまだそんな「昭和の幻想」を抱いている人が多い。まあ夢を抱く人に水を差すのも嫌われるから言わないが。
私も以前、このエリアにスーパーを何軒も経営していただけに、「今でも店をやっていたら、100%コストコに潰されたな…(ー ー;)」と思っている。
最低賃金の1.5倍であるコストコの「時給1,500円」に労働力を奪われ、対抗策のなす術(すべ)もなく収益を削りながら閉店に向かう毎日を考えたら、「少し前に店が潰れたのは良かったのかも?」とさえ思う私の負け惜しみも、許してもらえるかもしれない。
これから地域のスーパーや商店街、そしてコストコに未来を託した地元のテナント業者も、私の「あの」苦しみを経験することになるのだから…。
(その②に続く)