【クリスマスケーキの思い出】 | 【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

老舗スーパー三代目→先代の赤字1.5億円を2年で黒字化→地域土着経営で中小企業の星に→中小企業診断士試験に出題→最年少山梨県教育委員長→早過ぎたSDGs →2017年まさかの倒産→応援団がクラファンで3,000万円支援→破産処理後は全国の経営者に寄り添う日々



私がまだスーパーを経営していた頃、12月に入ると店頭にツリーを飾り、クリスマスシーズン(売り上げ爆上がり)に向けて、従業員全員でクリスマスケーキの予約を競ったことを思い出す。

厳しいノルマもない我がスーパーも、年に一度だけ従業員にノルマを課した。

👤「一人最低1個でいいからケーキの予約をしてね!そして多くの予約を獲得した個人は表彰するから」

まあ最後は全店に社長の私から僅かばかりの報奨金を出すのだが、「あの店には負けたくない!」とのライバル心から、結構白熱して楽しかった。

『社長のお付き合いの枠を少し分けてください🙏🏻』とか、「本部の人はズルいです!取引先にまとめて頼んだりして」と、予約締め切りの12/15くらいまでヒートアップが続く。

ウチのスーパーはクリスマスケーキの事前予約のお客さんには『2割引』で販売するのが前からの習慣だった。定価3,800円のケーキが3,000円になる。こりゃお客さんも毎年当てにするはずだ。差額でチキンが買えちゃうのだから(^O^)/

私がメインで取り扱ったのは「Y社」のケーキだった。最近では小洒落たケーキ屋も出始めた田舎だが、やはり慣れ親しんだパン屋のケーキもレベルは高い。

ウチは山梨県内のスーパーの中でも、Y社のケーキの販売量が、ダントツでナンバーワンだった。(そりゃ2割引だし(^^;)

👤さて、もう現役社長ではないので口が緩むが、(小声で)ケーキの納入原価は70%、それに年間取引金額に対する分戻し(リベート)が3%、故に33%の利益率となる。

それを2割引で売り、ポイントもクリスマスで3倍などにアップ。早い話儲けは1割を切っている。

それでも一番の稼ぎ時である年末年始にお客さんが来てくれるように薄利多売の「販促」と捉えていた。

※ 今でもコンビニや大手スーパーの予約販売を見るたび「ボ◯たくりじゃんね(><)」と思ってしまう。(そんなんだから倒産したのかも💦)

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

ちょうど6年前、ウチが倒産した翌日、みんなが悲しみに沈んでる本社に、あの「Y社」の担当者が、食べきれないほどのサンドイッチや菓子パンを差し入れにやってきた。

そう「Y社」は災害時などに、パーキングエリアでパンを配っちゃうほどの太っ腹な会社でもあった。

👥『今まで長い間お取引頂いて、ありがとうございました!こんな時こそパンでも食べて皆さんで乗り切ってください』

その光景を目の当たりにした(倒産処理をしていた)事務員さんやパートさんは、Y社の担当者(女性)たちと、涙を流しながら互いに抱き合っていた。

ご迷惑を掛ける債権者なのに、こんな対応をしてくれた「Y社」。支払日でもないのに、夜10時に私の自宅まで取り立てに来た「P社」とはエラい違いである。

毎年私のクリスマスは、この光景を思い出すことから始まる。さあ残り一カ月、『終わりよければすべて良し!』、先生(師)と共に走り抜けましょう(^O^)/

 

https://www.kobayashihisashi.com