【回転寿司に思う…】 | 【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

老舗スーパー三代目→先代の赤字1.5億円を2年で黒字化→地域土着経営で中小企業の星に→中小企業診断士試験に出題→早過ぎたSDGs →2017年まさかの倒産→応援団がクラファンで3,000万円支援→破産処理後は「笑って泣かせる」講演講師に。『現代ビジネス』コラムニスト



私の家は、昔から海なし県の山梨で魚屋を営んでいた。同時に宴会場も備えた『寿司屋』も経営していて、地域の社交場でもあった。今思えば、あの時目にしたキレイなお姉さん達は芸者さんだったのだろう。

昭和の時代、庶民にとって『寿司』はご馳走だった。お父さんが宴会でも箸を付けず、折りに入れて家族のお土産にしたものだ。夜遅くまで家でそれを待つ子供たち、懐かしい光景…。

寿司屋のカウンターに座り、板前と粋な会話をしながら旬の素材を楽しむ。価格は『時価』で客によっても値段が変わることもある。大人の嗜みであり、成功者の証かも知れない。「紫(醤油)」「上がり(お茶)」とか言ってみる (笑)

ミシュランでも星が付き、予約も取りずらい店もある。庶民のご馳走だった寿司がどんどん遠くに行ってしまった。

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昔ご縁があり「カッパ寿司」の創業者と何度もお会いする機会があった。寿司屋のせがれでもあった私は「日本人の文化である寿司をどうして回しちゃったのか?」と面と向かって聞いてみた。

👤「私は昔貧しくて、寿司なんか食べられなかった。自身のコンベア工場で、家族で気軽に寿司を食べたい!との一心から思いついたんだよ」氏は微笑む。

寿司が食べたいけど敷居が高い、値段が不明瞭、家族で行きずらい、常連じゃないと気まずい…でも寿司が食べたい!

✅その答えが『回転寿司』なのである。
そして大多数の人が「これで十分!」と結論付けてしまった。今ではご存知の通り、家族連れや女性にも人気の活況ぶりである。

デザートやラーメンまでカラフルな絵皿に乗って回ってくる。注文もタッチパネルで会話も不要。昔はサーモンやえんがわなんか無かったし、炙りもヅケも素人言葉じゃなかった。当然コーンマヨもない (笑)

💢「あんなのは本当の寿司じゃない!」
高級店での会話など、回転寿司の顧客に興味はない。顧客は棲み分けているだけで、高級店には別の価値がある。

カッパ寿司の創業者は、株式上場して140億円の創業者利益を得たという。寿司屋だけにそのアイデアに『時価』がついた訳だ。

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✅同じことををクイックバーバー(床屋)を見るたび思う。

髪は切りたい、時間がない、会話が苦手、常連じゃない→でもサッパリしたい!この需要がクイックカットを生み出した。

マッサージもそう、保険も葬儀も窓口ができた。学習塾もオンラインだ。サブスクで音楽や映画は見放題。もはや「貸しレコード」を知る年代はジジイだけ (笑)みんな初めは「そんなこと無理!」と思ったが、消費行動どころか『文化』までも変えてしまった。今は何でもアリの世の中である。

🌈来年は何が出てくるのか楽しみだ!
『これで十分ビジネスモデル』ネタは毎日の生活の中に潜んでいる。めっけたモン勝ちである。

さて「カニ風味かまぼこ」を買いに行こう(^O^)/