【ポイントカードよ、どこへ行く】 | 【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

老舗スーパー三代目→先代の赤字1.5億円を2年で黒字化→地域土着経営で中小企業の星に→中小企業診断士試験に出題→最年少山梨県教育委員長→早過ぎたSDGs →2017年まさかの倒産→応援団がクラファンで3,000万円支援→破産処理後は全国の経営者に寄り添う日々



誰の財布にも入っているであろう「ポイントカード」、スーパーやドラッグストア等の小売店では、購入金額に応じてポイントが貯まり、次回以降の買い物に使えるサービスがある。来店ポイントなどもあり、とりわけ女性客向けにはマストの販促でもある。

200円に1ポイントが付き、イベント時にはそれが3倍や5倍、はたまた10倍にエスカレートし、競合店との差別化をする。当然私が経営していたスーパーでもやっていた。


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✅ちょっと計算してみよう。
ポイント還元の相場はわずか0.5%、200円買って1円もらえる。スーパーの買上げは平均2,000円くらいなので一回10円にしかならない。端数も切り捨てられるし、500ポイント貯まらないと使えないルールなら999円ポイントでも負担は500円で済む。加えて店舗は500円値引きしても、原価の400円しか腹は傷まない。

そして未使用ポイント額は簿外負債に計上され利益を抑え、一年間使われないと抹消されていく。(よく書いてあるでしょ?)
まあ何もないことに比べたらこれだけでもありがたいことだが…。

店側にはコスト以上にこの「顧客の購買履歴情報」が宝の山となる。どこの誰が、この商品(またはライバルの)を買うか?何人家族でどんな頻度で、どこのエリアで買うか?こんな美味しいデータを求めて、各メーカーがこぞって金を出す。

顧客の購買情報は「個人情報」であり、これを売買したとなると立派な犯罪成立となる。それを避けるためメーカー(またはメーカーに依頼された問屋)は「販促協力金」や「仕入れ値引き」「現物支給」等の名目で小売店に金銭を供与する。0.5%のポイント経費など無いに等しい。

県内大手スーパーが、自社のポイントカードの申込書に「お客様の購買情報を今後のサービス向上のために、弊社協力業者に公開する場合があります」の一文を書き忘れたばかりに、50万件の承諾書を取り直したことからもそれは分かる。(誰が刺したんだろう…笑)


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そして現在、ポイントカードの存在意義が問われている(私が勝手に問うているだけなんだけど💦)

PayPayポイントバックキャンペーン、AUたぬきの恩返し、地域プレミアム付き商品券等、キャッシュレス促進のための全国規模のキャンペーンが始まって久しい。

普段行かない店に行き、ポイントやプレミアム商品券で酒を買い貯め、普段値引きしない化粧品や衣料品を買い込む。そしてキャンペーンが終わればそこには行かない。それが昨今の「生活防衛」というものだろう。みんな必死!

来年は今年のデータは使い物にならない。既存の自社のポイントデータなど、もう何の価値もないし、買いに来るメーカーも減っていく。せっかく専門部署を作り、時給の高い分析専門のスタッフやコンサル会社を雇ったのに💧これからはキャッシュレス業者が顧客データを商品化していくのだろう。
ちなみにウチのスーパーは経費削減のため分析などせず、ただポイントを進呈するためだけに使ってました (笑)。利点→個人情報漏洩なし

お客さんはどこで何を買っても自由である。

⭐️『ポイントカードでお客さんの心は測れない』⭐️

 



本に嫌味を書いたら、朝日新聞の一面に載った私
(^O^)/(大爆笑〜)