【家庭の生ゴミ仕入れます!】 | 【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

老舗スーパー三代目→先代の赤字1.5億円を2年で黒字化→地域土着経営で中小企業の星に→中小企業診断士試験に出題→最年少山梨県教育委員長→早過ぎたSDGs →2017年まさかの倒産→応援団がクラファンで3,000万円支援→破産処理後は全国の経営者に寄り添う日々


 
私が現役時代に実施したことで、おそらく一番全国的に認知されたのは「家庭生ゴミ」を店頭で回収し、堆肥化の後、野菜を収穫して店舗で売る、という循環型システムを作ったことかもしれない。ワイドショーで紹介されたり、全国のニュースでも取り上げられ、「担当」の私は取材の対応だけで3ヶ月くらい無休となった(笑)
 
総務省での表彰や報道の影響で、数えきれないほど自治体や企業、学校、議員さん達が見学に訪れ、実際に導入していった。見学のたび人手不足の弊社の説明係は私が務め、社長に見えない(?)私に「今日はありがとうございました!社長さんによろしく言ってください」といわれた(^^ゞ 「分かりました、伝えときます!」と答える私…。

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☆システムはこんな感じ
 
1.店先に置かれた「生ゴミ処理機」にポイントカードを挿入
 
2.カードに5ポイント(5円)プレゼント
 
3.そこで初めてゴミの投入口のカギが解除されて、ゴミを投入
 
4.付属の洗い場でバケツや手を洗って、そのままお買い物へ
 
5.出来た堆肥で野菜を作って売る(または格安弁当の食材に!)
 
6.ゴミを捨てたお客さんが、自分のゴミからできた野菜を購入
 
7.またゴミが出るから捨てに来る
 
❌儲かる


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「民間企業が補助金も使わず、循環システムを構築した!」とお褒めの言葉をいただいたが、自分はそんな大そうな思い入れはなかった。
 
環境問題に取り組む若者たちか私の元を訪れ「他のスーパーを回って頼んだが全部断られた」というのを聞いて、協力しようと思っただけ。あまのじゃくの血が騒いだ結果の産物である。ただし一台750万円はちょっとキツかった(^^ゞ
 
◯ポイント稼ぎのために何回もゴミを捨てない様に、カードナンバーを管理して、2時間立たないと投入口が開かないように設定
 
◯家庭生ゴミからできる堆肥はとても優秀だが、肥料が大切な収益源である農協と揉めない様に、堆肥は販売せず、契約農家や学校の菜園に無償で譲渡。
 
◯肥料代がゼロなので、出来た野菜の価格は低価格で仕入れることができる。
 
なにしろこれを批判できる人はいない!笑
 
まだ環境への取り組みなど盛んでない中、若造の私がまた競合他社にケンカを売った訳だ。

「やれるもんならやってみろ、俺についてこれるか!」(また敵を増やすことになる 笑)
 
最終的に6店舗に機械を導入し、他の店はゴミを預かってポイントを差し上げ、本店の処理機に入れて堆肥にした。店ごとのサービスに優劣がついてはいけない。
 
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普通、ゴミを捨てるには町の指定ゴミ袋を購入して、決められた日時に出しに行く。言わば面倒くさい家事でもある。私はこれを逆手に取った!
 
ゴミを捨てるのにお金が掛からないばかりか、いつでも買い物ついでに捨てられて、家に保管しなくていい。おまけに「やまと」で捨てれば5円お駄賃がもらえるし、それが野菜になって、私も環境問題に協力できる!
 
お客さんは、納得できる目的とインセンティブを与えなければなかなか動いてくれない。これは見事にハマった取組みだった。
 
それに味をしめた私は、「レジ袋有料化」と合わせて競合店が名付けた『環境をエサに商売するスーパー』の称号を胸に、次々と「早過ぎたSDGs」を自社の強みにしていった。