【スーパーやまとが潰れた5つの理由 ②】 | 【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

老舗スーパー三代目→先代の赤字1.5億円を2年で黒字化→地域土着経営で中小企業の星に→中小企業診断士試験に出題→早過ぎたSDGs →2017年まさかの倒産→応援団がクラファンで3,000万円支援→破産処理後は「笑って泣かせる」講演講師に。『現代ビジネス』コラムニスト

 

前回の倒産理由『何でもかんでも社長が全部やってしまったから』に続き、今回は2つ目の倒産理由を。

②地域貢献は蔵を建ててからやれ!

「地域貢献」の旗の下、大手企業なら手を出さないことまで実行したが、話題にはなっても地域の消費者の購買を担保するものではなかった。

☝️「頼まれたら断らない」ではなく「頼まれてもうまく断る」べき。

自社の体力以上に行政のお願いばかり聞いていて企業イメージは上がっても、それが売上げに結びつく訳ではない。


👤「誰もやらないなら俺がやる。口ばっかのジ◯イ達に見本を見せてやる!」

その結果弊社「スーパーやまと」は地元の絶大なる支持を得て、旧態依然とした業界や行政に風穴を開けていく私個人の評価が爆上がり (笑) 

終いには最年少で県教育委員長に指名された。

「よく頑張ってるわねえ〜」と褒められても、それでお客さんが増える訳ではない。特段優れたこともない我がスーパーを通り越して、郊外のショッピングモールや国道沿いの大手ローカルスーパーに吸い込まれていく。

☝️「では、何もしない方がいいのか?」と聞かれたら否定するが、本業に関係ない地域貢献は大企業や行政に任せるべきだ。

・空き店舗に困る地域への出店
・移動販売車の運行
・高齢者・障がい者雇用
・家庭生ゴミの回収〜堆肥化

→まあここまでは良しとしよう。

✔︎潰れたスーパーの「敵討ち」でそこに居抜き出店
✔︎買い物弱者向けに自腹で「巡回バス」を運行
✔︎行政の泣き落としで「レジ袋有料化」の音頭取り
✔︎「補助金はお香典だ!」と格好つけて全て辞退

→これを「余計なこと」と仮定すれば、おそらく億単位(十何億?)の出費と累損は防げたはずだ。


👉👤『お前そんなことも分からないほどのバカか?』

私には「割に合わないこと」など十分理解していた。
しかしなんの取り柄もなく、資金力やノウハウもない田舎の個人スーパーが、巨大資本と戦うには、「やまとで買ってやれし!」という同情にも似た「判官びいき」の獲得と熱狂的なファンを増やすしかないと思っていた。

(その様は中小企業診断士試験の事例問題にまでなる)

自分のキャラを担保に銀行は金を貸してくれたし、「アンタのやることだから」とみんなが協力してくれた。しかしそれも長くは続かないものである。他社だって指を咥えて見ている訳でなく、キッチリ「お返し」をしてくる。

ナンバーワンより、オンリーワンを目指した井の中の蛙は、井戸の中で空を見ながらピョンピョン跳ねるのが精一杯だったのである。