東海~近畿地方でも今夜から未明に雪になるかも知れないそうです
そんな12月14日、読了間に合いました。
決戦シリーズの中でも異色な位置付けになるのでしょうか
装丁が違うし、作家陣も筆頭の葉室麟さん以外は、馴染みのない方たち。
「眩 くらら」の朝井まかてさん以外は初見になるのもあって、それはそれで楽しみでした。
では、いつもの如く忘備を兼ねて1編ずつ。
(ちょっとネタバレ含みます。)
「鬼の陰」
内蔵助と堀部安兵衛の軋轢からの真の団結。
こういう本当の心が通うお話大好きです。
筆頭に相応しい内容でした。
「妻の一分」
飼い犬から見たりくさん中心の大石家の話を、仮名手本忠臣蔵の作者に聞かせる、面白い設定です。
しかも、私の大好物塩味饅頭の原型(?)(播磨屋HPに拠ると、その創業が1764年、塩味饅頭の創製が1853年とあるので赤穂事件1703年のずっと後)が出て来、
私の本籍地の尾崎の情景が詳しく描かれていたり、
『べっちょない』とか『業沸く』とか、私のじいさんがしゃべっていたような播州弁が出て来たり、
と私的一押し作品でした。
それに、朝井かまてさんの文章のリズムが「眩」と同じで、分かりました。結構好きな感じです。
「首無し幽霊」
夢枕獏さんに付いて行けず
「冥途の契り」
元々浪人していた不破数右衛門がなぜ討ち入りに加わっのか、受け入れる側の戦力としての意味合い。
「雪の橋」
タイトルの通り、清水一学を中心に吉良側のお話。
三河吉良の情景が出て来ると、こちらにも地元感を感じてしまいました。同情せずにはいられません。
最後の一文も何とも憐れ。
吉良家の死者は十七名、その後、重傷であった者が九名死んだ。そのほとんどの死者の法名も墓も不明である。
彼らも義士と称えられる日が来ることを願って已みません。
「与五郎の妻」
語るに語れない男への惻隠の情。
切ない、いい物語でした。
「笹の雪」
トリに相応しい新視点!
その日の泉岳寺。
こうして見ると、史実はともかく、やっぱり雪が印象深い演出をしてくれます。
(現実の明日からの雪は酷くなりませんように)