- 著者: ダンテ アリギエーリ, Dante Alighieri, 寿岳 文章
- タイトル: 神曲〈1〉地獄篇
これまで古典といえば
受験用としか思えなかったのに
少し前に読んだ「ダンテ・クラブ」が
印象深かったので
つい原作に手が伸びたのがこれ。
正直引き込まれました。
もっとこういう本を
早い時期に読んでおいてもよかったなと。
読んだから何かが変わるわけでは
決してないのですが
たとえば自分のおかれている環境が
刻々と変化する中で
こういう古典は何度でも読み返すことができて
その度に感じることが違うんだろう
と思えるのです。
それは以前に「ファウスト」を読んだときにも
感じたけれど。
哲学は苦手だけれど物語になっていると
イメージしやすいし。
生きながらにして地獄を旅する機会を得た
ダンテが恩師ヴィルジリオの案内で
地獄でどういう目にあうのか
またその地獄に落とされた人々と会話し、
地獄を通過するまでを描いています。
地獄編というだけあって
まぁ結構むごいです。
地獄というのは何層にもなっていて
現世での生き様によって
受ける仕打ちが層ごとに違っているのです。
止まることができず
走り続けなければならない人
足の裏に火をつけられて
頭から穴に突っ込まれる人
生きているのにウジやハエに
食われて苦しむ人
虚栄心に満ちた生活を送ったあげく
異様に重く鉛で裏打ちされた
金ぴかのマントを羽織って
歩き続けなければいけなくなった人
糞尿に浸けられている人
蛇に咬まれて灰になり
またそれを繰り返し続ける人
その他とにかくたくさんの地獄と
その地獄に落ちることになった理由を
語るダンテの知人たち
挿絵がたくさん入っていて
当時のダンテ(物語の中ではなくて実在の)が
置かれていたバックボーンなど
解説も豊富なこの本のおかげで
単なる翻訳本なら「???」な部分も
ある程度理解しながら読み進めやすいと思います。
神曲を読んでみたいならこれ。
とりあえずまた時間があったら
読みたいなぁと思ったので
この続きとなる「煉獄編」「天国編」も
購入してしまいました。