- 著者: パトリック・レドモンド, 高山 祥子
- タイトル: 復讐の子
私生児として苦労して育ったロニー。
母アンナに対して見せる愛らしい息子と
自分の愛するものを傷つける者に対して
容赦ない仕打ちをするロニーが存在する。
父を亡くしたスーザンは
母の再婚相手に8歳の頃から
セックスの相手をさせられる。
母を守るためには自分が我慢すれば
いいことだと信じて。
つらい体験をしてきたこの二人の子供が
出会ってしまう。
二人の間には愛情はあるものの
もっと深いところで
人に言えない辛さを共有する気持ちが
強く存在する。
そして自分が大切にするものを
傷つけようとするものを
協力して排除しはじめる・・・
タイトルどおり復讐の子なんですが
愛情を注がれていても
復讐心は芽生えてしまうのか?
愛情は注ぎすぎるとよくないのか?
と色々考えさせられる本でした。
後半に入るまでは
想像通りの展開といえなくもないですが
ラストぎりぎりまで
「どう終わるの?」と気になって
一気読みでした。
子供の頃の辛い体験って
どうやって消化するんだろう。
というか辛い記憶って
消えないと思うな。
楽しい事、面白かった事は
たまに取り出して眺める感覚なんだけれど
辛い記憶は自分の感情の底に
常に黒い層のように存在している気がする。
ともすれば、むくむくと
その黒い物体が
表層に出てきそうな時もあって
自分でも持て余す感情のような気がする。
記憶のくせに生々しい存在感があって。
悲しみは時がたてば癒されるけれど
憎しみも仕方のないものとして
諦められるけれど
辛さだけはいつ取り出しても
刃が剥き出しなのはなぜだろう。
それって私だけなのかな
なんて読後考えてみたりして。
まぁ、私の辛さなんてこの主人公たちに
比べたらちっぽけなものだったんですけどね。
ふと、黒い層を自らすくって
眺めちゃったもので。