セールスマン | Untitled

セールスマン(’16)イランフランス国旗

監督:アスガー・ファルハディ

 

 

米国の入国制限令に抗議して監督と主演女優がアカデミー賞

ボイコットしたことがニュースになったりしていましたが

 

前評判が高かったとはいえ、その作品に外国語映画賞

受賞させてしまうこと自体に政治的な思惑が絡んでいるのでは・・・・

 

と、うがった見方をしてしまうのは私だけでしょうか?

 

 

教師エマッド(シャハブ・ホセイニ)と妻のラナ(タラネ・アリシュスティ)は

小さな劇団に所属し、俳優としても活動している夫婦。

 

ある日、夫エマッドの留守中に引っ越して間もない自宅で

妻ラナが侵入者に襲われてしまう。

 

警察に通報して犯人を捕まえたい夫と

表沙汰にしたくない妻の感情はすれ違いはじめる。

 

やがて、犯人は前の住人の女性と関係がある人物だとわかるが・・・・

 

その行く手に待ち構えていた意外な真実とは・・・・

 

 

妻ラナは暴行を受けたのか、未遂に終わったのか、それとも・・・・

イラン当局の厳しい検閲を逆手に取って、見せずに(っていうか見せられない)

謎だけが深まっていく演出は上手いですね~

 

事件の鍵を握る、前の住人である女性を、長~い影でお馴染みの

ヒッチコック 『レベッカ』のように全く登場させないんです。

この女は娼婦まがいのことをしていたらしく、これも、ふしだらな女を

あからさまに登場させられない事情を逆手に取ってます。

 

あと、事件を表沙汰にしたくないという妻の心情は、理解できるんですけど

イラン社会のおいて、暴行を受けた女性が世間的にどういう目で見られるのか・・・

っていうのが分かれば、もうちょっと映画に入っていけた気がします。

 

イランの近代化と昔からの因習とのせめぎ合いというのも

この映画の重要な要素なっているでしょうから、なおさらです。


 

一方、夫の方は、妻の無念を・・・というより、自分自身の尊厳のため

犯人探しに躍起になってしまいます。尊厳って言えば聞こえはいいけど

尊厳・・・・いや、面子ですね。半ば、エゴイスティックになってしまう。

妻の心のケアは後回し、いや、してませんね(笑)

 

妻が、昼は(怖いから)そばにいてほしい。夜は(怖いから)そばにいてほしくない。

どっちやねんビックリマーク って、夫がイライラする気持ちも分かるけど

しまいには、妻を責めるようになってしまうんです。

(重要な)何かを話していないんじゃないかって・・・・

 

 

心理サスペンスとして、息づまる緊張感で描くアスガー・ファルハディ。

アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」を劇中劇として

物語と交差させているのですが、これって・・・・それほど効果がありました?

部分的には頷けることができたのですが、わざわざタイトルにもするほど

リンクしているようには、私には思えませんでしたね・・・・。

策士、策に・・・・じゃないですけど、張り切りすぎちゃったかな?

 

アカデミー賞の話に戻ってしまうんですけど、授賞式ボイコットしたんなら

外国語映画賞も受賞辞退したら、もっと、かっこよかったのに・・・・。

ウチに同じのあるから、もういらないって(笑) 『別離』で同賞受賞

 

リベラル系のアカデミー会員が、いらんのかい!?

って、椅子からずり落ちてしまうの見たかった。

 

 

 

イランの名匠、アスガー・ファルハディ監督による心理サスペンス。

教師・エマッドとその妻・ラナは、小さな劇団に所属し、俳優としても活動している仲の良い夫婦。

ある日、エマッドの留守中に、引っ越して間もない自宅でラナが侵入者に襲われ…。

セールスマン [DVD] セールスマン [DVD]
4,104円
Amazon