インディア・ソング(’74)
![フランス国旗](https://emoji.ameba.jp/img/user/ck/ckenbow/87110.gif)
原作:マルグリット・デュラスの同名小説
監督:マルグリット・デュラス
『愛人/ラマン』 の原作者でもあり、アラン・レネの 『二十四時間の情事』 などの
脚本も手がけた、仏領インドシナ(現ベトナム)出身のマルグリット・デュラス。
彼女が筆を置き、映像で表現すると一体どうなるのか・・・・・。
それは、もう・・・・・・異次元の世界です(笑)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20160104/19/pyscipks/f6/00/j/o0316019813531791540.jpg?caw=800)
1937年、インドのカルカッタ。
フランス大使夫人アンヌ・マリー(デルフィーヌ・セイリグ)は
30代の成熟した女性。彼女は植民地の白人社会では女神のような存在で
娼婦のように男たちに身体を許している。フランス大使館でのパーティの夜
ラホールの元副領事(ミシェル・ロンダール)が招かれる。
噂では、以前副領事の時にハンセン病患者たちに向けて
発砲するという事件を起こし左遷されていたという人物である。
彼は、アンヌ・マリーを見た瞬間から彼女に惹かれる・・・・・。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20160104/19/pyscipks/07/b0/j/o0500036113531791541.jpg?caw=800)
パーティーが終わり、夜明けを待ちながら気だるくソファにもたれかかる大使夫人。
そして、彼女を取り巻く愛人たち。 上の画の状態のまま10分近くも続く(笑)
これに耐えられるか、眠ってしまうか、何かを感じ取るか・・・・・
静止画のような映像が延々と続き、動いたとしてもあくまで静的な動き。
そして、彼らに寄り添うように、お香の煙がゆらゆらとゆらめく・・・・・
大使館の大広間には大鏡があり、二重に映し出される彼らは
どちらが実像なのか、ともすれば、その存在すら危うい。
さらに、画の中の人物たちは、いっさい言葉を発しない。
聞こえてくるのは、ナレーションともつかぬ、誰だか分からない “オフの声”
その“オフの声”が、最初は女性二人で画の中の人物たちの事を噂話のように話す。
しばらくすると、男性の声になったり、そうかと思ったら画の中の人物の会話に
しかし、画の中の人物と本人の“オフの声”は明らかに一致していない。
アンヌ・マリーと愛人が唇を重ねても、本人の“オフの声”は語りを止めない。
その本人の“オフの声”は、いつ発せられたものなのかも分からない。
“映像” と “言葉” が完全に分断されてしまっているんです。
マルグリット・デュラスは 映像(映画)と言葉(文学)を共存させることなく
敢えて、お互いを喰い合うようなことをやっているんです。
ジル・ドゥルーズというフランスの哲学者は、この映画を
“映画が文学を殺し、文学が映画を殺す” と表現していて
どっちも一回壊してしまって、さて、そこから何が生まれるでしょうか?
みたいなことに挑んでいるようなんですけど・・・・・・
ま、これ以上の事は、映画でご飯食べている人たちにお任せするとして(笑)
とにかく、一筋縄ではいかない作品だけれど、心に深く刻みこまれた異種映画でした。
透き通るような白い肌を真っ赤なドレスで覆ったデルフィーヌ・セイリグが
だるっだるの倦怠感で、虚しい愛の日々を表現しておりました。
「愛人/ラマン」の原作者、マルグリット・デュラスが自ら監督・脚本・原作を手掛けたラブロマンス。
1937年のカルカッタを舞台に、フランス大使夫人の恋愛模様を描く。
インディア・ソング [DVD]/デルフィーヌ・セイリグ,マイケル・ロンズデイル,マチュー・カリエール
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