卍(まんじ) | Untitled



卍(まんじ)(’64)日本

原作:谷崎潤一郎の同名小説

監督:増村保造


今回は、原作しっかり読み込んでからの鑑賞。

もう “谷崎ワールド” にどっぷり浸かって、何がノーマルなのか

何がアブノーマルなのか、感覚が麻痺して、わかりませんっ(笑)



弁護士の夫・孝太郎(船越英二)のある身でいながら、美術学校で知り合った

若き令嬢・光子(若尾文子)との愛に耽る園子(岸田今日子)

園子を愛していながらも、男たちの愛を弄ぶ光子。

光子の婚約者と名乗る綿貫(川津祐介)という男が現れ

さらには、園子の夫・孝太郎をも巻き込み、卍(まんじ)絡みの愛欲の世界へ・・・・・



「こんな綺麗な体してて、ああ、憎たらしい、うちあんた殺してやりたい!」

「殺して、殺して、うちあんたに殺されたい!」

絵のモデルとして裸体を見せて欲しいと園子に頼まれた光子が

二人きりの部屋で白い肌をさらし、女と女の殺したいほどの愛が頂点に達する。

若尾文子さんの出演作は、溝口健二『祇園囃子』『赤線地帯』 とか

二十歳そこそこの、少女のあどけなさが残った姿しか観たことがなかったので

女ざかりの、しかも、男はおろか女までも翻弄する色情狂の若尾さんの前に

岸田今日子の台詞じゃないですけど

「あんた、こんなに綺麗やのんに何で今迄隠してたん?」(笑)



知った原作の映像化作品を観ると、もう、がっかり~ イメージが崩れた~

なんていうことが少なくないですが、今回は、若尾さんをイメージしながら

原作を読んだということもあったり、新藤兼人の脚本をはじめ

増村保造が織りなす映像が、原作にかなり忠実だったということもあり

文章と映像とが、卍(まんじ)のごとく、いい感じに絡み合ってくれました(笑)

園子による氏名不詳の老作家「先生」に対する告白形式で物語が語られるところも

原作どおりで、岸田今日子が「先生」に、これまでの愛憎劇を赤裸々に語る。

オーラスの涙ながらに吐き出す、原作とおんなじ台詞に思わずシビれてしまった。

今後も “谷崎文学+映像化作品” で攻めてみようかしらん。





谷崎潤一郎の原作を得て、当時タブー視されていた女性同士の愛を瑞々しく描いた傑作!
弁護士の妻・柿内園子は美術学校で出会った若き令嬢・徳光光子に恋心を描いていた。
学校内で同性愛の疑いを掛けられた二人は、それがきっかけで仲良くなるが…。
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