赤線地帯 | Untitled


赤線地帯(’56)日本


監督は、今作が遺作となった、溝口健二


売春禁止法が何度も国会で審議されていた頃の、“赤線地帯” と呼ばれていた吉原で働く

娼婦たちの生き様が、生々しく描かれいます。

ジャン=リュック・ゴダール監督の 『女と男のいる舗道』 は、

今作の影響なしには存在しないとも言われてる。

公開当時の宣伝文句は


女が知らない女の世界! 巨匠溝口が描く文芸巨編!



すごいものを見せられました。

雨月物語』 の時にも書いたのですけど

美醜の両極があって中間がない

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結核で失業中の旦那と赤ん坊を抱え、通いで働く、木暮実千代(画像左から2番目)

あの眼鏡が、逆に艶っぽい。

旦那が絶望して、自殺を企てた時に、彼女が言い放った言葉


「子供のミルクひとつ買えないで、何が文化国家よ。わたしゃ死なないよ。

生きて、この目で見てやるよ。

淫売しかできない “おんな” が、次に何をやっていけるのか、見届けてやるのよ!」



鬼気迫ってました。

その中で赤ちゃんが、うぇんうぇん泣いているんですよね。

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妾をつくり母親を苦しめた、資産家の父親に反抗して、神戸から流れついた、京マチ子(画像中央)

眉毛のある京マチ子、初めて見ました(笑)

世間体のために彼女を引き取りに来た父親に、2階を指差して


「お父っつぁん、遊んだろか」


父親は身震いして、ぷるっぷるっして帰るんですよね。


「けったくそワル!大メロドラマやわ」


こう毒ついたり、身勝手な行動を取ったりしているのですが

逆に、彼女の哀しさを感じた。意外と情に厚いんですよね。


京マチ子中心に話が回っていくのかと思ったら

更に上がいましたよ。

若尾文子

めちゃ綺麗・・・・

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投獄された父親の保釈金のために身を堕とした彼女

「私は、貧乏が大っ嫌い!」

男を手玉にとり金をふんだくり、仲間の女たちへの金貸しもしながら

貯金を増やすという計算高い女

京マチ子も投げやりに 「あの娘は、賢いんや」

女性に暴言を吐くことで有名な溝口監督が、今作で、若尾文子に対して

「顔の造作が悪い」 と罵倒したそう。

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溝口監督は、“娼婦” の姿を決して、汚らわしいものとして描いておらず

かと言って寄り添うわけでもなく

そこに生きる女の、厳しさ、残酷さ、哀しさ、そして美しさを

剥き出しの映像で、見せてくれました。



※参考 Wikipedia



赤線地帯にあるサロン「夢の里」で働くさまざまな女性たちを描く群像ドラマ
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