聖なる酔っぱらいの伝説(’88)
原作:ヨゼフ・ロートの同名小説
監督:エルマンノ・オルミ
酔っぱらいのホームレスに、突如、舞いこんだ200フラン。
そこから次々と起こる奇妙な出来事・・・・・。
ヨゼフ・ロートは、飲んだくれて、死の数ヶ月前にこの原作を執筆したらしい。
パリ、ある秋の朝方。セーヌ川の橋の下に住む飲んだくれの浮浪者
アンドレアス(ルトガー・ハウアー)は、見知らぬ老紳士(アンソニー・クェイル)から
200フランを受け取る。 いつか返せる時が来たら、聖テレーズ像のある教会で
ミサの後に神父に渡す約束をして・・・・・。
それからというもの、彼の身に次々と不思議なことが起こり始める。
偶然に仕事がみつかったり、買った財布にお金が入っていたり
若いダンサーとの恋を楽しんだり。 そしてアンドレアスは
老紳士との約束を果すため、お金を返そうと教会へ向うのだが・・・・・。
金は天下の回りもの・・・・・とは、昔の人は良く言ったものです。
知らないオジさんから、お金をもらった途端
この酔っぱらいホームレスの金の出入りがやたら激しくなる(笑)
ただ、大金が転がり込んでも、さんざん飲んだくれても
教会に返す200フランだけは別によけて、次の日曜のミサに備えるんです。
いざ日曜になって、ミサの時間まで、教会の向かいカフェで一杯ひっかける。
時間になったら、べろんべろんに酔っ払ってしまって(笑)
ふらふらになりながら教会に入ろうとしたら、昔の恋人と偶然出くわして
積もる話があるのよ~って、二人で食事に行くことになって
結局、教会にお金を返せずじまいに・・・・・そんなことの繰り返しなんです。
聖なる酔っぱらいをめぐる奇妙な出来事や
教会にお金を返そうとしてもなかなか辿り着けない姿は
寓話のように描いていながら、人生の縮図を見ているような気さえします。
私たちも辿り着きたいところに、なかなか辿り着けないですよね(笑)
お金を返すことが出来なくて、良心の呵責にさいなまれたアンドレアス
彼の前に聖テレーズの幻影まで姿を現してしまう。
原作を読んで心揺さぶられたエルマンノ・オルミは
『ベニスに死す』 を想起して、映画化を進めたんだそう。
ワンシーン・ワンカット撮るたびに、ヨゼフ・ロートに
何かを返していると感じていたんだそうです。 何かいい話ですね。
ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作
ある酔っぱらいの浮浪者が経験する人生の奇妙な出来事とは―
芳醇なる、愛すべき大人の寓話!
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