ベニスに死す(’71)
原作は、トーマス・マンの同名小説
監督は、『山猫』 の、ルキノ・ヴィスコンティ
大オチを、タイトルで語ってしまっている本作
では、どのような生き様を描いているのか・・・
1,911年、夏のベネチア、リド島
初老の作曲家、ダーク・ボガードは、疲れた体を休めるために休暇をとっての一人旅
冒頭、朝焼けの中から、船が静かに登場する。
もう、すでに美しい・・・
ホテルに滞在中、この地に来ていた、ある少年を見かける。
ボガードは、この美少年を一目見るなり、心を奪われてしまう。
要所要所で、過去のつらい出来事をフラッシュバックで映し出していて
芸術家として、行き詰まりを感じていたボガード
この少年に、自分にはない、生まれ持ったものを感じたのだろうか
言葉は一切交わさない。ただ見つめるだけ・・・
男でも女でもない、性の区別を超えて、本当の "美" を見てしまう
少年が、ピアノで "エリーゼのために" を、たどたどしく弾いている。
それを、ボガードは何か神聖なものを見るかのように、たたずんでいる。
このシーン、私は自分の体が浮き上がるような感覚になった。
ヴィスコンティ酒に、完全に酔っ払ってしまっている。
そんな時、ガンジス川を源に、コレラが発生して、次第に、この南イタリアにやってこようとしていた。
それでも、ダーク・ボガードは、少年を見つめ続ける・・・
狂おしいほど愛しい・・・・
ぶざまに格好悪く・・・・
この想いを、ダーク・ボガードは役者人生を賭けて演じているように見えた。
少年が、静かな海を見つめている。
それを、ボガードが遠くから見つめている。
少年は何も知らない。
ボガードは、少年の面影を抱いたまま・・・
なんて、美しい映画なんでしょう・・・・
休暇をとってベニス(ベネチア)に静養にやってきたドイツの老作曲家が、まるでギリシャ彫刻のような容姿をした美少年に心を奪われてしまった。
ベニスに死す [DVD]/ダーク・ボガード,ビョルン・アンドレセン,シルバーナ・マンガーノ
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